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2006年1月16日 (月)

月光王と森鴎外「うたかたの記」

momizibazeranium 月光王こと第4代バイエルン王ルートヴィッヒ2世といえばノイシュヴァンシュタイン城(新白鳥城)を作った王様である。
この城はディズニーの白雪姫だかシンデレラ姫だかの城のモデルとなったもの。外観に比して薄暗い城内はワーグナーの楽劇に取材した壁画で埋め尽くされていて、思い出深い城である。
月光王の悲劇的な生涯はビスコンティ監督の映画「ルートヴィッヒーー神々の黄昏」で、広く知られている。
説明によると、18歳で即位した若き美貌の王は、ワーグナーのパトロンとなる一方で、城の建築に国費を注ぎ込む。次第に厭人癖をつのらせ、夢想に沈み込んでいった彼は、政務を顧みなかったために狂気を宣告され、不可解な死を遂げる。死の年40歳の王は不格好に太り、ただ焦点の定まらない夢見るような目つきだけが昔のままだったという。

森鴎外の『うたかたの記』を読んでいたら、びっくり、今でも謎のこの王様の死が書かれていたのである。
湖畔を医者と散歩していた王が、王の昔恋した女性の娘が舟に乗っていて、王はその顔を見て湖に入っていって溺れ、助けようとした医者まで溺れた。王を見た娘も気を失って落ちて死ぬ。というロマンティックな物語になっていたのである。
鴎外はドイツ留学の3年目の1886年(明治19年)6月13日に、月光王がウルム湖の水に溺れて亡くなったという報に接していた。このことが欧外の『独逸日記』に記されていたのである。
ただぼーっとその昔読んだ『うたかたの記』と、何の下調べもしないで見学したノイシュヴァンシュタイン城が今頃結びついたわけである。

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コメント

またtonaさんに新しいことを教えていただきました。
月光王ことルートヴィッヒ2世のことも、
ノイシュヴァンシュタイン城のことも森鴎外の「うたかたの記」も
何も知らなかった私です。
検索してノイシュヴァンシュタイン城の姿や、
ルートヴィッヒ2世の悲劇的な生涯にまつわる話を見てきたところです。
城の繊細でメルヘンチックな美しさと、王の生涯と謎の死が
相まって、人々のロマンチックな思いに火をつけるようです。
物語を作ってしまった鴎外も例外ではなかったのかもしれませんね。

投稿: ポージィ | 2006年1月16日 (月) 12:09

★ポージィさん、お忙しいでしょうにわざわざ調べてくださったのですね。ありがとうございました。
森鴎外が居合わせたという事実に驚きを禁じ得ませんでした。
佐藤春夫が「森鴎外のロマンティシズム」に書いています。欧外の洋行によって近代文学が誕生したと。
ルートヴィッヒ2世は政治を省みず、ダメ王様でしたが、自分の好きなことに没頭できて、そういう面では幸せな人だったなあと思います。家臣や人民は大変だったけれども。

投稿: tona | 2006年1月16日 (月) 16:03

ノイシュヴァンシュタイン城は、何年か前、行ったことがあります。美しい外観とは裏腹に、暗い歴史の一面があるのですね。
それにしても、tona さんのブログでは、いろいろ新しいことが勉強できます。本当によく調べていますね。感心します。
何も勉強しないで、ただ見てきただけの私が恥かしいです。

投稿: 茂彦 | 2006年1月16日 (月) 18:18

★茂彦さん、コメントありがとうございます。
私も何も勉強しないで行きました。
同じお金を使うならやはり事前に調べていった方がずっと得であることは分かっているのですが。
でも今は自由になりましたから、関係するところは勉強しようと心がけています。
言うは易く、行うは難しです。

投稿: tona | 2006年1月16日 (月) 19:56

はじめまして

鳥だけではなく書籍にも詳しいんですね
コメントありがとうございました
とっても嬉しかったです

投稿: ももみ | 2006年1月16日 (月) 23:01

うわっ、tonaさんすごい!
私、3回くらい読み直したけど全く知らない事だらけでした(^^;ゞ
かろうじて、森鴎外の名前だけは知ってるという有様です。
tonaさん、いろんな事に造詣が深いですよね。
ちょっと自分が恥ずかしくなりました。

投稿: ちょびママ | 2006年1月17日 (火) 01:15

★ももみさん、コメントありがとうございました。
素晴らしい写真の数々、プロの方でいらっしゃいますか。ずっと男の方と思い込んでいました。
犬の走っているのもどうやって撮るのかなど、いつもショットの素晴らしさに感心していました。
これからも楽しみにしています。

投稿: tona | 2006年1月17日 (火) 08:15

★ちょびママさん、コメントありがとうございます。
昨晩はデビルの夢を見そうな感じでした。
でも大丈夫でした。
本のことはたまたまです。
読書力は衰え、読んでいても頭はあちらの方へ行ってしまうので、時間のロスばかりのこの頃です。

投稿: tona | 2006年1月17日 (火) 08:21

こちらにコメントさせていただきます
以前にも「男」と思われてしまったことがあったんですよ
流し撮りばかりしているからですよね
数打ちゃ当たるの繰り返しで
カメラはまだまだ初心者なんです^^;
今日はありがとうございました

投稿: ももみ | 2006年1月17日 (火) 21:28

★ももみさん、コメントありがとうございました。
URLを間違えていないと思うのですが、どうも出ないようです。申し訳ございません。
カメラがあまりに素敵で男性と思ってしまったのです。

投稿: tona | 2006年1月18日 (水) 08:24

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