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2006年4月10日 (月)

こんにゃくの中の日本史

Besuto1 Besuto2 『こんにゃくの中の日本史』武内孝夫著(講談社現代新書)

こんにゃくはあくまでも食卓の脇役で、そのものは無味である。なくても困らないし、あっても決してメインにはならない。
そんなこんにゃくを作者は次のように表現する。

[おでんや煮物の材料の1つとして、あるいはすき焼きのしらたきとしてその存在を主張することなく分をわきまえ、それぞれの料理の味付けにうまく染まって、ぶるぶると身を震わせている。
それ自体うまくもなければ栄養もないのに、1,000年以上も食べ続けられた、どこかユーモラスで田舎料理に似合う素朴さ。
人はこんにゃくと聞くと嘲笑の表情を浮かべるが、昔から相場変動の激しいこんにゃくは、ときには農家や問屋を破産に追い込んだ恐ろしい一面を併せ持つ。]

今ではその食物繊維マンナンが便通を整え、肥満を予防し、発ガン物質を抑えると言うことでもてはやされるようになった。こんにゃくゼリーが子どもの喉にひっかかって問題を起こしたが。

そのこんにゃくが日本の歴史の中で活躍していたのである。

◎桜田門外の変の資金源がこんにゃくだった!
 井伊大老を襲撃した水戸浪士をバックアップしたのはこんにゃく豪農だったわけである。
 今でこそこんにゃく産地は群馬県の下仁田や赤城だが、当時は水戸だったからである。

◎太平洋戦争のときアメリカが恐れた「風船爆弾」の気球の原料がこんにゃくと和紙だった。   
 風船爆弾とは水素を詰めた気球に15キロの爆弾と数個の焼夷弾を吊り下げ、これを太平洋上の偏西風に乗せてアメリカ本土攻撃を行ったものである。
 9000発のうち推定1000発がアメリカ大陸に到着し、各地に山火事を起こしたそうだ。全くアメリカまでの長旅に耐えた気球の原料がこんにゃくだったとは、60年以上経った今日とても本当のことに思えない。

まだまだ、松尾芭蕉に愛されたとか昭和天皇に一目おかれたとか、日本史の中ではなかなかの活躍ぶりを示すこんにゃく、食べ物でありながら人から「うまい」と褒められることもなく「まずい」と叱られることもないこんにゃくは、歴史の中に奥深く存在し続けたのでした。

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コメント

なかなか面白そうな本ですね。
風船爆弾は以前「江戸東京博物館」で実物大を見たことがあります。大きなものでしたが、蒟蒻の糊ってどんなのかしらと思いました。

人間もあまり個性の強くない方が、重宝がられたり、息の長い継続が出来るのかもしれませんね。

蒟蒻の白和え、大好きです。

投稿: ねむウサギ | 2006年4月10日 (月) 21:29

そうそう 昔戦争時代にこんにゃくを使った風船爆弾の話を聞いた事がありました。
あの頃の日本人って絶対に勝つって思ってたんでしょうね…。
地上から竹やりで飛行機を落とせますかって!

こんにゃくは好きですよ^^
おでんのこんにゃくとか、イカとサトイモ・大根こんにゃくなどの煮物とか、そうそうこんにゃくゼリーなんてのもありましたね^^
味噌おでんも好きです。
なんかこの時間になると小腹が空きます。
つい…こんにゃくなら~~(笑)

投稿: pochiko | 2006年4月10日 (月) 23:44

作並の山寺の坂道を登っていったところで売っていた鍋イッパイのこんにゃく。丸い玉を串にさして芥子をつけて食べた。こんにゃくは人生のいろんなシーンにも登場します。

投稿: saheizi-inokori | 2006年4月11日 (火) 07:55

●ありがとうございました。


★ねむウサギさま

楽しい本でした。1つの食べ物にいろいろな歴史があるということが。
風船爆弾の実物をご覧になったのですか。すごい!戦争中こんなものがあったとは驚きです。
個性が強い人はそれなりに魅力があってはたで見ていると羨ましくなる面もありますが、自分はそうでなくていいです。こんにゃくで。
私はさしみこんにゃくが好きです。

投稿: tona | 2006年4月11日 (火) 08:17

★pochikoさま

pochikoさんは風船爆弾ご存知だったのですね。私ははっきり知らずおもちゃかと思っていました。さにあらずで、びっくりです。

pochikoさんの作られるこんにゃく料理、何かよだれが出そうになる、美味しそうなのが浮かんできます。合わせる調味料によってこんにゃくは変身するんですね。
お腹がすくのは健康な証拠で幸せの1つです。

投稿: tona | 2006年4月11日 (火) 08:24

★saheizi-inokoriさま

作並どこにあるのか調べてしまいました。
仙台方面にある温泉ですか。いい温泉なのでしょうか。
山寺の坂道を上ったところ・・・そんな所で食べたらさぞ美味しいことでしょう。
人生のいろいろなシーンに登場とは、また角度が違って1つ私の頭にインプットされました。ありがとうございました。

投稿: tona | 2006年4月11日 (火) 08:31

田舎では畑で蒟蒻を栽培し、自分の家で食べる分は作っていました。蒟蒻の葉が出た状態の写真見てみたいと思いネット検索しましたがありませんでした。茎の模様は鹿の斑点模様と記憶しています。
蒟蒻を使ったの料理は、週1回はします。(1丁100円と安い)こんな揺るがす歴史があったことを知り話題が広がりました。お教え有難うございました。

投稿: T.O | 2006年4月11日 (火) 09:32

鹿児島の実家の裏の畑の周りにこんにゃくがありました。先代が植えたのでしょう。栽培してるわけではなかったのに、お袋が大きくなった芋を使って自家製こんにゃくを作っていました。3年経った芋を使っていました。

蒸した芋をすりつぶし、木灰の灰汁を混ぜながら捏ね、弁当箱にいれ、または丸めて形を作り、木灰の灰汁でことことと長い時間をかけて煮る。黒こんにゃくの出来上がり。
煮物は歯ごたえがありおいしかった。お袋の味だ。

こんにゃくの幹は茶色の斑点があり、蛇の肌を思わせる。花は黒味がかった紫で、カラーの花に似た花、強烈な匂いがする。芋はごつごつした感じでグロテスク。いずれにしろ感じはよくない。

風船爆弾の気球の原料とは知らなかった。
そのものは味もなければ栄養もない。料理では脇役的存在に徹底しながらも、またなくてはならない存在だ。たしかに日本の歴史の中で活躍している。

投稿: 夢閑人 | 2006年4月11日 (火) 10:56

tonaさんのおかげでまた一つ賢くなれた気がします。
こんにゃくにはそんな歴史が隠されていたんですね!
和紙とこんにゃくで風船作ってアメリカまで飛ばそうという
研究をした人の発想には驚きです。すごい!

先日たまたま見ていたTVで、こんにゃくライスなるものを
初めて見ました。ご飯と一緒に焚いて、満腹感を得ながら
炭水化物摂取カロリー摂取をおさえ、ダイエット効果を
狙うのだそうです。
食べて見たいと思いましたが、まだ見かけたことありません。

投稿: ポージィ | 2006年4月11日 (火) 15:51

追伸
写真アップしてみましたら、手編みのベスト!
tonaさんの手作りですか?前側の変化が面白いですね!

投稿: ポージィ | 2006年4月11日 (火) 15:53

●コメントありがとうございました。

★T.Oさま

栽培なさっていたのですか。出来上がるまで3年も5年もかかるのだそうですね。
茎の模様も面白いのですね。

先日教えていただいたこんにゃく料理美味しかったです。100円だと週1で作れますね。
お腹のお掃除もできるようですから、体によいので食べましょう。

投稿: tona | 2006年4月11日 (火) 19:49

★夢閑人さま

ご実家にあったのですね。しかもお母様が作られていたのを見ていらっしゃる。素晴らしい体験ですね。とても手がかかるのですし、作りたてですからさぞ美味しかったことでしょう。
こんにゃくの茎、花の色や形やにおい、芋の状態がよく分かりました。ありがとうございます。
食べ物としてだけでなく、そのほかペニシリンの培養液など様々な用途に使われていたようですね。

投稿: tona | 2006年4月11日 (火) 20:03

★ポージィさま

研究したのは大学の先生だそうです。
軍のため、あらゆる知恵を絞って武器を開発したようですね。
こんにゃくライスとはどんな味に仕上げた食べ物でしょう。
ダイエットブームで寒天とこんにゃくの果たしている役割も大きいそうですね。

ベストですが、年頭より2ヶ月以上かかって仕上げました。何度も解いては編み、結構大変でした。複雑なので頭の訓練になりました。

投稿: tona | 2006年4月11日 (火) 20:12

「こんにゃく」は、イマイチ…
「イマイチ」は、栃木県!、こんにゃくの産地は隣りの群馬やろ?…と一発ギャグ(汗)

こんにゃくは、子どもの頃から苦手。糸こんにゃくは大丈夫でしたが…(笑)
ただ最近、牛スジ肉と細切りにしたこんにゃくを油で炒めた「スジコン」を食べられるようになりました。
ポン酢につけて食べますが、イケるんですコレが(笑)

宿題をいただいてましたので…
枝垂桜↓
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/d7/131a9f443495f2d4b8f8eb380178887a.jpg
枝垂れの雰囲気はありますが…
知り合いの家なので、勝手に入っちゃいました(大汗)

桃↓
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/c1/300e7700e3e646293b29b20829f63c1b.jpg
昨日からの雨風で、かなり散ってしまってました。
なんとか花びらが5枚残っているのを探して撮りました。

投稿: 讃岐の団塊オヤジ | 2006年4月11日 (火) 20:27

★讃岐の団塊オヤジさま

写真をわざわざありがとうございました。
お忙しいのに、すみませんね。
色がとても綺麗です。

あら、こんにゃく苦手。そうでしたか。
でもご紹介されているスジコン美味しそうですね。
本はその辺にあるからいつでも見て料理はできますが、ブログで紹介されたのはどんどん過去へ押しやられてしまいますからすぐ真似した作ることにします。

投稿: tona | 2006年4月11日 (火) 21:22

間違えました。作並温泉というのは仙台と山形を結ぶ仙山線にあります。紅葉がみごと。その近くに「山寺」という駅があります。芭蕉の「静けさや岩に染み入るセミ・・」の俳句で有名な山寺があります。下からお寺までフーフー言いながら登るとこんにゃくと絶景が待っているのです。

投稿: saheizi-inokori | 2006年4月12日 (水) 11:46

こんにゃく、侮れませんねぇ。
そんな歴史があったんですね。
今日からちょっと見る目変わるかも。
私、コンニャク大好きですよ。
あの大味なとことプニョプニョした食感が癖になります。

こうしてtonaさんはじめ、皆さんのブログ拝見してると、私ってつくづく物を知らないなぁって情けなくなりますよ。
また勉強させてくださいね。

投稿: ちょびママ | 2006年4月12日 (水) 13:42

★saheizi-inokoriさま

わざわざありがとうございました。
そうなんですか。山寺駅、何て素敵な名前の駅でしょう。
絶景ですか。芭蕉の世界にも浸れますね。
いつか行きたいと思います。


★ちょびママさま

お忙しいでしょう?ありがとうございました。
こんにゃく体にいいそうで、好きだそうで大変結構なことですね。

私こそちょびママさんから毎日のように教えていただいています。覚えたそばから忘れるのも若いちょびママさんと違うところで、困ってはいるのですが。宜しくお願いします。

投稿: tona | 2006年4月12日 (水) 20:53

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