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2006年8月15日 (火)

畏敬の人

Kinnsakutyuu Yakannutikiri

歩いていたらi飲食店の前にこんな看板があって可笑しくなりました。夜間打ち切り500円の方は心惹かれても、夜10時ごろまで待てそうにもありません。
亡き團伊玖摩さんは家のあちこちに「ただ今昼寝中」などのたぐいの、買ってきた木札をぶら下げていたということを思い出してしまいました。
内田百閒は玄関に「日没閉門」を掛けていたそうです。久世光彦『百閒先生月を踏む』にも百閒が「日没閉門」を「世の中に 人の来るこそ嬉けれ とは言うもののおまへではなし」に掛け替えて来訪者を玄関払いしようとしているとあります。これは文句なしに笑えました。

コーラスの仲間の友人が体の変調を感じ、医者へ行きました。
現れたいろいろな症状から癌の疑いがあるので、更に細胞検査をというのを丁寧にお断りをして帰ってきたそうです。
彼女は常々、最期は椅子に座ったまま誰にも気づかれず静かに1人死んでゆくのが理想といっている方です。
この度のことは親友に電話で告げたものの、同居のお嬢様にも告げないようです。電話では結構落ち着いていて、体を無理に手術で開いたり、薬漬けの治療は遠慮するわと言ったそうです。ご主人も同じ箇所の癌で亡くなっていて、同じだからこれも面白いわね、ですって。
もう既にリューマチと十数年闘っていて、日頃はめげずに囲碁やハーモニカに明け暮れています。昨年は一緒に2泊3日の麻雀をしたとき1人だけものすごい負けが高じていても、全然慌てず騒がず、言い訳など一切なしの、実に静かな態度で終始一貫した態度を取っていたので、この人は何ものぞと畏敬の念に打たれたものでした。

私が癌にかかったら(可能性は大いにある)どうでしょう。お先が真っ暗になり、病気の進行以前に気分的に立ち上がれなくて悪化してしまうと確信しています。癌闘病記の本をたくさん積み上げて読み、かつうろたえ、泣いている自分が見えます。
これを聞いてから半月以上もなるのに電話も見舞い状も渋っている自分が情けないです。今日は思い切って踏み出しましょう。

我が家の三カズラ
テイカカズラ、ノウゼンカズラ、フウセンカズラ
今はフウセンカズラだけが元気です。今年も可愛い種が一杯出来そうです。

Teikakazura Nouzennkazura Huusennkazura

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コメント

今日は亡妻の命日。癌でした。ぼろぼろになってしまって苦しんで、こんなことなら何もしないでいたらもう少し長生き(半年?)できたかもと思いました。しかし医術の進歩もあるし難しい判断ですね。

投稿: saheizi-inokori | 2006年8月15日 (火) 21:22

ご自分の「生き方」に信念を持っていらっしゃる、気丈な方ですね。
なかなかそういう風に凛とした静かな逝きかたを選択できるものではなく、
まさしく畏敬の念に打たれます。
こうした信念をまっとうできるためにも、日本の痛みに対する
ケアが早く欧米並みになることを願います。

うちも以前、遊びに行った先で買って来た「ただいま金欠中」の
木札を玄関にぶら下げていたことがあります。(夫のジョーク)
でも、こういう文字でセールスを追い払おうとしている家は
気弱ととられてかえってターゲットになる、とTV番組で言っているのを
聞いてぶら下げるのをやめました。ぶら下げていてもいなくても
来る人は来ますが…(^^;)

カズラトリオ、綺麗ですね。
ノウゼンカズラは今年の日照の少ない雨の多い気象で、どこも
花付きが悪いようです。
フウセンカズラはもう風船がいっぱいですね(^^)

投稿: ポージィ | 2006年8月15日 (火) 21:50

tonaさん、はじめまして。
先ほどは私のHPを覗いて下さってありがとうございます。
テイカカズラの写真の中に、ベロベロネが写っていますね(*^_^*)
tonaさんのお庭は、きちんと手入れされていて
暑い夏でもお花がたくさん咲いていて、涼しそうですね。
我が家の雑草だらけの庭とは大違いです(^^ゞ

味のある文章を拝見させていただきました。
そして、内田百閒とパソコンで変換できたことに
感心しました(笑)

投稿: らん | 2006年8月16日 (水) 00:25

★saheizi-inokoriさま ありがとうございます。

8月15日が奥様のご命日でしたとは。
お盆でsaheiziさんのところへ帰られて、今日また彼岸のかなたに去っていかれるのですね。奥様もさぞ大変で無念だったことでしょう。そしてご家族もまた並々ならぬ苦しい日々だったことでしょう。
癌は治る可能性のものと絶望的なのがあるというのは、近親の場合でわかりました。本当に難しい判断を迫られる病気です。

投稿: tona | 2006年8月16日 (水) 08:19

★ポージィさま ありがとうございます。

痛みに対するケア、1部に病院ではすでになされていることを、先だっての癌特集で知りましたが、まだまだですね。こういうことこそ一番先に手をつけて欲しいところです。

ポージィさんの家にも「ただ今金欠中」がぶら下がっていたのですか。私が近くだったら毎日通るたびに笑い転げて、お家の方を垣間見て喜ぶと思います。でもテレビで言っていた落とし穴があったとは。

ノウゼンカズラ、そういうわけで花があまり咲かなかったのですね。その代わりにと言ってはなんですが、黄色のツルバラは5月から絶え間なく咲き続けています。これは不思議です。

投稿: tona | 2006年8月16日 (水) 08:29

★らんさま ありがとうございました。

パキスタキス・ルテアと間違えて失礼しました。良く似たのがあるのですね。
「植物園へようこそ!」の掲示板で教えていただいたのですが、コリウス・カニナかどうか断定はできませんでした。というのもそっくりなのですが、我が家のは花が1度も咲かないのです。

たくさんのお花で一杯の素敵なHPとブログでいろいろ勉強させていただきます。

投稿: tona | 2006年8月16日 (水) 08:38

誰しもこういう理想を持っていると思いますが、それを貫く勇気に心底敬服します。
この方が精密検査を拒否されたお気持ちは、もし手術が可能という結果が出たとき、決心が揺らぐからだと思いました。

この方もこれから先の選択肢やお嬢さんの負担を案じられ、こういう決心に行きつかれたのではないかと推察します。

病院(老人病棟での話ですが)でのおせっかいな医療行為を目にしていますと、人間の自然な「死に時」を邪魔しているという怒りさえ覚えます。

私はその方を見習いたいと思いつつ、今まだ心の弱さが克服できているという自信も無いので、とりあえずはアメリカ式の病院を探そうと思っています。

投稿: ねむウサギ | 2006年8月16日 (水) 09:25

素晴らしい信念を持ってらっしゃる方ですね。
強さと潔さ。。。憧れますね。
私も常々そうありたいと思ってるのですが、いざとなったらどうなりますやら。。。
自信ないですねぇ。

でも、私がお嬢さんの立場なら、話して欲しいなって思います。
そうして話し合った上で、相手の気持ちや考えを尊重したいと思います。
じゃないと、何も知らずにいた自分をずっと責め続けると思います。
だから大切な人の事は知っておきたい。

私の伯母は脳腫瘍でした。
数年の闘病の末、彼女が、というよりご夫婦で選んだ道が夫婦での心中でした。
当時20代半ばだった私は、不謹慎にも胸打たれ、羨ましいとさえ思いました。
格好のいい悪いでなく、どんな形であれ、自分の人生は自分の意思で決めたい。
他の方の意思も尊重すべきだ。
深く深くそう思いました。

投稿: ちょびママ | 2006年8月16日 (水) 15:33

★ねむウサギさま ありがとうございます。

私もねむウサギさんと同じように考えました。
もしかして癌ではないかもしれないのだからと思ったり、早期発見なら手術で完治するのではと考えたりしたのですが、ねむウサギさんの推察通りだなあと改めて思いました。
普段お付き合いしていても、静かなのに芯は強いし我慢強いし普通の人と違います。悟っているような人ですね。

老人医療に於いては今いろいろ問題になっていて、本当に怒りを覚えますね。真の医療行為に目覚めて欲しいです。
アメリカ式病院といいますと、あの千葉敦子さんがニューヨークで受けたように、入院しないでなるべく自宅で生活する方式でしょうかしら。

投稿: tona | 2006年8月16日 (水) 19:22

★ちょびママさま ありがとうございます。

本当に素晴らしい方なんです。ご実家はお父様が海軍大佐だか聞きそびれましたが軍人だったそうです。リュウマチも島根や千葉の療養所に何年も1人で行きっぱなしだったそうです。

せめてお嬢さんには知らせて仰るように話し合った上で自分の意思を尊重してもらった方がいいですよね。

伯母様のお話、そこまでの道は壮絶といっていいほどの悲劇、絶望が伺えます。そのときのちょびママさんの気持ちもお書きになっていることだったのですね。
人間にはある日天国から突然地獄に突き落とされる時があるんですね。その時の心の準備をと思いますが、なるようにしかならないとも思ったりして複雑です。

投稿: tona | 2006年8月16日 (水) 19:37

不勉強で千葉敦子さんの本は読んでいませんが、ただただ生きながらえるのではなく、一言で言うと「生きることの質」に重きを置く医師といった意味で言いました。
人それぞれで形は変って来るでしょうけど。
ドイツ式医療と対比して使いました。

投稿: ねむウサギ | 2006年8月16日 (水) 20:50

ねむウサギさま

アメリカ式とドイツ式医療、初めてで私こそ不勉強でした。
「生きることの質」に重きを置くとは病院の暖かい精神が伝わってきます。
そのアメリカ式病院をこれから探されるわけですが、またいろいろわかったら教えてください。ありがとうございました。

投稿: tona | 2006年8月17日 (木) 08:21

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