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2006年8月22日 (火)

石の家

Memori ルーシー・M・ボストン自伝『メモリー』

作者のことは何一つ知らず、表紙の見事なパッチワークにつられて読んだ本です。
ケンブリッジで学び、准看護婦として大戦中に活躍し、結婚後は絵に打ち込み、離婚後は12世紀に建てられた領主館(マナーハウス)を購入し2年かけて修復。97歳で亡くなるまで庭園を作り、パッチワークや絵や音楽パーティに精力的に取り組む。60歳過ぎから6冊の「グリーン・ノウ」シリーズなどファンタジーを発表する。とまあ、こんな人なのですが・・・

1番感心してしまったのが家のことです。
イギリスでは古い家のほうが価値があって新築の家が安いとか。わざと古い建材で建てるとか。多くの人は古い家を買い何年もかけて修復し、不便を厭わず住まい続けるとか。日本では精々もって40年、普通は30年経つと建て替える。新建材で家の中も最新式の便利なものを揃え快適に暮らそうとする。
高校時代石の文化と木の文化の違いだと習った記憶があります。

作者ルーシーも1120年頃に建てられた家を購入しその厚さ1mもある壁や、暖炉やアーチにこだわり、壊しては昔の部分を見つけ修復して、見事に作り変えてしまうのです。ターシャ・テューダーも1820年代に戻していたけれども、こちらはイギリスで最も古い家に住んだのです。
グリーン・ノウシリーズの『グリーン・ノウの石』を読んでも石への思い入れがすごくて、日本人と遠く隔たったノルマン人、ゲルマン人、ケルト人などの頑固なまでの実行力に驚きを禁じ得ません。

イギリス人のガーデニング好きはこれまた世界1、その移民が多いニュージーランドの庭も素敵だそうだ。
国土の割りに人口が少なく、電信柱と広告看板、洗濯物が見えないきれいなヨーロッパ。家々には花が咲き乱れ、雑草がはびこっていなく、工場の周辺すら清潔感に溢れ、環境・景観を大切しているのも、不便な生活、人々の努力・忍耐の上に築かれたものと言ってよい。
国土の3割しか平野部がなく、そこに人が密集し、里山や美しい景観が宅地造成でどんどん切り崩され、もうゴミさえも捨てるところがなくなってしまった汚い日本、これ以上自然を壊さないように立ち上がっている多くの人に賛同して、なんとか努力したいものです。
と話は全然別方向へとずれてしまいました。

国分寺駅のコンコースへさしかかると地元早稲田実業の祝優勝の垂れ幕がJRの駅の中や西武線の入口に下がっていました。店もお祝い気分一色です。
2度の決勝戦、両校共に甲乙つけがたい内容の素晴らしい試合でした。高校野球で久しぶりの感動をもらった試合だけでなく、試合後の感謝の言葉、疲れを全然見せない爽やかな顔に大きな拍手を送ってしまいました。

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コメント

この本、何か惹き付けるものを感じます。tonaさんの解説のせいもあってか。
外国に行くと石の家は、外からの視線を頑固に拒絶しているような感じを受けます。
すると余計に、その内に秘められたものを覗いてみたくなる。。。森の存在が大きく係わっているせいでしょうか。

安房列車は面白かったです。ありがとうございました。

早稲田実業が国分寺に引っ越した事を、今回初めて知りました。何処ら辺だろう。南口の方かしらと想像しています。

本当に両校とも素晴らしいでしたね。ただ老婆心から、選手たちがちやほやされすぎて潰されないことを念じています。

投稿: ねむウサギ | 2006年8月22日 (火) 15:39

★ねむウサギさま  

コメントありがとうございました。
石の家、確かに中にどんな人が住んでいるのだろうかと外から覗きたくなりますね。中は実際には外の石の硬さとはうらはらに、暗いけれどもあたたかなインテリアで目を瞠ってしまいますね。

「阿房列車」面白かったですか。よかった。
何冊かあるのですが私はまだ全部読み終わっていないのです。

早稲田実業は2001年に来ました。
場所は駅北口を出てすぐ右に曲がり、国分寺街道を越してすぐです。男女共学、小学校まで出来ました。どこかの会社の跡地です。

斉藤選手たちも一頃の松坂のようになって欲しくないですね。

投稿: tona | 2006年8月22日 (火) 16:09

斎藤選手はきれいな顔立ちの、田中選手はいい面構えの、、、という感じでしたね。

一部に、瞬間的に熱狂する人たちがいると思いますが、今まで通りの暮らしができるといいですね。

外国の家(日本の家でもいいですが)にはとても興味があります。

投稿: シーサイド | 2006年8月22日 (火) 20:06

家に対する観念があんなにも違うなんて、我々日本人の普通の感覚からすると全く考えられないことですね。富士山にもゴミが一杯だとか、悲しいことです。
それにひきかえ、高校野球のさわやかなこと。これぞ日本文化と外国人が感嘆していました。

投稿: 茂彦 | 2006年8月22日 (火) 20:11

★シーサイドさま

本当にその通りですね。言い得て妙です。
斉藤選手、野球関係のメディアかメジャーリーグにも行ってみたいと言っていました。
驕ることなくこの清々しい顔で力強く進んで欲しいです。体力と精神力には圧倒されました。

外国の家、種類がいっぱいあって勉強するにも何年もかかりそうですね。コメントありがとうございました。

投稿: tona | 2006年8月22日 (火) 20:31

★茂彦さま ありがとうございました。

本当にそうなんですよね。
DNAに組み込まれているのが全然違うみたいです。勿論食べ物も考え方なども全然違うのですから面白いですね。

高校野球って1つの文化なのですね。外国人がそのように感じるということを初めて知りました。

ゴミについて考えると日本人って決して環境をきれいに維持できる国民とは言えませんね。

投稿: tona | 2006年8月22日 (火) 20:43

ルーシー・ボストン!
tonaさんのブログにお邪魔したばかりなのに、どうしてこんなにも私の琴線に触れる内容が多いのでしょう?!
「グリーン・ノウ」シリーズ、大好きです。中でも「グリーン・ノウのお客様」が!
 もう10年以上前になるでしょうか、安曇野にある「森のおうち」にボストン夫人の息子さんであり、このシリーズの挿絵を描いていらっしゃるピーター・ボストン氏がおいでになったときは、読み古した「グリーン・ノウのお客様」をもって駆けつけ、サインをしていただきました。

投稿: aosta | 2006年8月23日 (水) 00:16

★aostaさま

ありがとうございました。
まあ、驚きです!
もう10年以上も前に「グリーン・ノウ」シリーズに出合っておいでとは。
ピーター・ボストン氏が日本においでになったとは。今もサインをして戴いた本が手元におありなのですね。凄い。
「グリーン・ノウのお客さま」アフリカにいたゴリラがイギリスのこの森に来るまでの不思議ないきさつや少年との心通うお話の内容はいろいろなことを警告しているのですね。
動物園の動物を思いやってしまいます。
この自伝を読んだことからたくさんのことを知ることができました。

投稿: tona | 2006年8月23日 (水) 09:21

ステキな暮らし方ですね。憧れます…(不便に耐えられるか自信ないですが)

日本も、昔の家は100年以上ももっているものもありますし、
江戸時代は素晴らしいリサイクル社会だったと聞きます。
いつから今のようになってしまったのでしょう。
家などは、狭い土地に小さな家を建てんがために様式が変わり、
高湿度の日本では長持ちしなくなってしまったのかしらとも思います。
太い柱を使った頑丈な骨組み、深い軒、戸を開け放てば家中に風が通る造り
そういうものは今の家には見られませんものね。
でも、少しずつ長持ちする家を作ろうという動きも出てきているようで
いいことだと思います。

高校野球は決勝戦の再試合をTVで見ましたが、両チームとも
よく頑張っていて感動しました。
早実の斎藤投手は、涼やかな顔立ちも手伝って、過熱ファンに
もみくちゃにされるかもしれませんね。ちょっと心配です。

投稿: ポージィ | 2006年8月23日 (水) 11:29

★ポージィさま ありがとうございます。

室内と庭が美しいと不便は耐えられるものでしょうか。私も自信がありません。
ポージィさんが言われている通り、なんとも安っぽいチャチな家ばかりですぐスラムのようになってしまいますね。白川郷の合掌造りの家の中に入って驚きました。まあ、あの建物は屋根に維持費がかかりますが、土台や柱は本物です。洋の石造りの世界遺産に対して、和の世界遺産として頷けました。
子、孫の代まで持たせて暮らすという観念が核家族化でなくなってしまったから、また復活したら素晴らしい。

斉藤選手、本当にいい顔していて、私が高校生だったらきゃーきゃー騒いでしまいそうです。

投稿: tona | 2006年8月23日 (水) 16:42

義母の実家は、それはもう見事な萱葺き屋根の家でゆうに百年は超えてたそうです。
義母の自慢で事あるごとに話して聞かせてくれました。
が、3年ほど前にその家は壊され、今はやりのモダンな家に生まれ変わりました。
義母の嘆きはハンパじゃなく、義母が脳梗塞で倒れたのはそのせいじゃないかと思ったほどです。
義母が言ってました。
愛着があるから不便を楽しめるんだ
不便を感じなくなったら愛着もなくなるって。。。
tonaさんの石の家の話を聞いて、義母に聞かされた話を思い出しました。

今年は高校野球、じっくり観戦しました。
見たが最後、目が離せなくて。。。
最後まで諦めず、全力を振り絞ってプレイする選手達、みな美しかったですね。

投稿: ちょびママ | 2006年8月23日 (水) 22:49

>愛着があるから不便を楽しめるんだ
不便を感じなくなったら愛着もなくなるって。。。

ちょびママさんのこの言葉が心に滲みました。
結婚以来続いた転勤で、大きな町しかしらなかった私、今の田舎暮らしに愛着を感じるようになったのは、やっとここ数年です。
それまでは、田舎の物質的不便さ、精神的不自由さ(地域のなれないお付き合い)といったマイナスのないものねだりばかりで生活を楽しむことができませんでした。
 でも今は、毎日が楽しい・・・
山の空気や風が少しずつかたくなだった私の心を開放してくれたのかもしれません。

投稿: aosta | 2006年8月24日 (木) 06:56

★ちょびママさま  ありがとうございます。

義母様のご実家の感動的なお話ですね。
今では少なくなった萱葺き屋根の下に太い大黒柱に支えられた広々とした家が壊されたときの義母様の悲嘆が、病気を招いたのは本当でしょう。
>愛着があるから不便を楽しめるんだ
 不便を感じなくなったら愛着もなくなる。。。
ああそうなんですね。イギリス人たちが不便な家に愛着を持って住み続けるのは。
どんなに立派な便利な家でも100%幸せとは限りませんものね。失って初めて気がつくことも残念に思うことも多いし。
伝統や重みを失っていくのは寂しいことです。心に留めておきたいと思います。

ちょびママさんも観戦なさっていたんですね。今年は特に良かったです。それにしても選手の体力のあること。鍛えることと、若さが生み出すものと実感しました。

投稿: tona | 2006年8月24日 (木) 07:00

★aostaさま ありがとうございます。

私もこの言葉に感動しました。
こうした言葉が出るお義母さんの悲嘆はどんなだったでしょう。病に倒れてお気の毒です。

今住んでいらっしゃるところはもう長いのでしょうか。
都会に住んでいると感じない不便さを、aostaさんはいやと言うほど感じたでしょうね。良く分かります。私は北九州市の若松に4年ほどいましたが、あそこはまだ中心が都会だったかもしれません。とても良い所だったので、向こうに親戚がいたら永住したいくらいです。
都会にない良さをたくさん発見されて、毎日が楽しいとのこと、そのことをどんどん発信されてお便りやその空気を送ってください。

投稿: tona | 2006年8月24日 (木) 08:15

tonaさん、こんにちは。
ちょびママさんの言葉に嗚咽しました。
不便だから愛着がある・・・
人間の体も然りです。
私も不自由になりさらに愛しく思います。
愛着は一緒に長く生活された方にしか
わからない感情かもしれませんね。

家に対する価値観の相違、
イギリスの家はすばらしいですね。
私もそう思える年代になれました。
なんにでも愛着は持ちたいですね。
不満に執着せずに明るく過ごします。

来週からは涼しくなるとの予報、嬉しいですね。

投稿: 未歩 | 2006年8月24日 (木) 10:40

梨木果歩さんの小説(裏庭だったかな)にも英国のガーデニングのことを扱っていました。
こういう暮らしは素敵です。でも私には到底一日ももちそうもないです。掃除一つ考えてもノイローゼになりそう。週末桧原湖に行きましたが、あれは友人が古い民家を買っていろいろ手を入れたり民具の骨董(高いものはない)を集めておいたりして楽しんでいる。お客としていく分には最高!でもみんなが帰ったらまったく一人で・・と考えると友人がスゴイ人物だと思えてきました。

投稿: saheizi-inokori | 2006年8月24日 (木) 14:27

★未歩さま ありがとうございます。

未歩さんも感銘を受けられましたね。
普通の今の生活からはこんな言葉は出てきませんね。このことは未歩さんの不自由になったお体にも言えたのですね。本当に気がつきませんでした。もっと高齢になってどうにも体が動かなくなったときにどうなるかも考えてしまいました。

イギリスの方たちは最低でも100年以上も前の家に住みたいのですって。日本だったら井戸を水道に変え、電気、ガスの導入するくらいなら建て替えた方がとなるかもしれません。
私も不満に執着しないで、希望を持って過ごします。

投稿: tona | 2006年8月24日 (木) 19:35

★saheizi-inokoriさま

梨木果歩さんの小説はまだでした。ガーデニングと聞くとあまりしないのに反応してしまいます。次に読む本として図書館で探します。楽しみ。ありがとうございました。

saheiziさん、1日は大丈夫でしょう?お掃除でノイローゼだなんて、そんなやわなsaheiziさんではないでしょう。なんて言っても大きな不便な家だったら音をあげてしまいますね。
桧原湖の家はご友人の家だったのですか。囲炉裏がありましたね。火を熾してそれを絶やさいようにするだけでも大変ですね。
聞けば聞くほどその方は自己主張があってそれを守っていく凄い人ですね。それにしても、寒い冬は大変厳しいでしょうね。

投稿: tona | 2006年8月24日 (木) 19:49

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