« 大エルミタージュとベルギー王立美術館展 | トップページ | 竜脳菊 »

2006年11月 9日 (木)

本『石榴のスープ』

Zakuronosupu マーシャ・メヘラーン著『石榴のスープ』

題名がなかなかいい。saheizi-inokoriさんにニューヨークのインド系女流作家ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』を紹介していただき、この本の著者がイラン系女流作家ということで飛びついた本である。
著者は数奇な運命を辿った人。イラン革命直前に生まれ、家族と動乱から逃れアルゼンチンへ。中東風カフェを経営する両親の元、スコットランド系の学校で教育を受ける。両親の離婚、アメリカ、オーストラリア、ニューヨーク、アイルランド人の夫とアイルランドへ、またニューヨークへと多様な文化と生活を体験する。

本書は両親を亡くした若い三姉妹が革命に揺れるテヘランを逃れ、イギリスに渡り、やがてアイルランドの西にある小さな田舎町でペルシャ料理店を開くまでと、村の一角で繰り広げられる偏見と格闘の物語である。イランを脱出するまでの壮絶な苦難の世界と料理店を中心に繰り広げられる話が交互に織り交ぜてある。
今でも異邦の地で祖国を逃れて生活する人は世界にどのくらいいることか。祖国での悲惨な思い、移住地での辛い生活、それはそれは苦難の連続である。自分の生まれた国で普通に生活をしている人には想像もつかない。主人公の魅力ある料理が人々を惹き付け、明るさや勇気で困難を乗り越える姿、また数人の魅力ある村の人に惹きつけられる。
各章冒頭にはレシピが掲載されていて、全部で13あり、文中に出てくるのである。私たちも作ることができるようになっている。勿論表題の「石榴のスープ」も。石榴を食べたのも遥か昔、一体このスープはどんな味がするのだろう。

|

« 大エルミタージュとベルギー王立美術館展 | トップページ | 竜脳菊 »

コメント

こんばんは。

『石榴のスープ』なんて魅力的なタイトルでしょう。
原題と同じなのでしょうか?
素敵なタイトルの本に出会うとそれが原題なのか、それとも翻訳者の考えた邦題なのかが気になります。
もちろん、どっちらであってもいいのですが(笑)

ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』、買ったまままだ手付かずの状態で、先に『その名にちなんで』の方を読んでしまいました。
これもすばらしい本ですね。
「最初に言って消える者がいるから、その上に積もって残れる者がいる。」
痛いようなせつなさ、そして暖かさ・・・
こちらはインドからアメリカへ渡った親子2代の物語でしたが、この「石榴のスープ」はイランからの移民の物語なのですね。
マーシャ・メヘラーン、初めて知る作家です。早速本屋さんに注文いたしましょう!

投稿: aosta | 2006年11月 9日 (木) 21:06

★aostaさま

早速にコメントありがとうございました。
aostaさんはジュンパ・ラヒリの本をもう既に読んでいらっしゃるのですね。
『その名にちなんで』は読んでいませんでした。機会があったら私も。

『石榴のスープ』多分原題と思います。
この作者の暮らした国、様々ですね。最期(?)がニューヨークとアイルランドの行き来だそうです。
本の中の登場人物、何と言っても長女が凄い。それにイタリアやブルガリアからアイルランドに渡ってきた人もそれぞれ魅力です。読んでいて映画を見ているようでした。
何時の時代も革命は人々をどん底に貶めますね。一方でお料理がなごやかな雰囲気を醸しだしていて何とも言えない雰囲気の本でしたが、私のひとりよがりかも。

投稿: tona | 2006年11月 9日 (木) 21:36

今度は私が教えていただきました。読んでみます。「その名にちなんで」もいいですよ。
今日はエルミタージュとベルギーと仏像と精力的に観てきました。ベルギーが最後で駆け足でしたが、結構良かったです。もう一度生きたいと思ってマス。無料の強み^^。

投稿: saheizi-inokori | 2006年11月 9日 (木) 23:31

それでもって、作られたのですか?

難民で思い出しましたが、海面上昇で島がなくなってしまうとか、海岸の浸食で家が海に飲まれてしまうとか、確実に温暖化が進んでいるようです。温暖化難民、これはそう遠くない将来の大きな問題になりかねませんね。

もう数十年後に、北極の氷は全て融けてしまうというシミュレーション結果に、ぞっとしました。

投稿: Stanesby | 2006年11月 9日 (木) 23:34

装丁の挿絵がすてきですね。
色彩、構図ともに好きです。
絵画的な装丁が少ないこともありますが、
増えて欲しいですね。
内容については不勉強で・・・。

投稿: YUKI-arch | 2006年11月10日 (金) 06:20

★saheizi-inokoriさま

本を紹介していただかなかったら、手に取らなかったかもしれません。ありがとうございました。

本当に精力的ですね。
ベルギー良かったでしょう。15世紀から20世紀まで絵がくるくる変化していくのも楽しめますね。

投稿: tona | 2006年11月10日 (金) 08:04

★Stanesbyさま

ありがとうございました。
石榴のスープ、石榴がすぐ手に入る頃ならすぐ作ったのですが、見当たりませんでした。
今は想像するだけです。
モルディヴ諸島でしたか。もう沈みかけているとか。イヌイットも犬ぞりで氷上が融けていて走れないとか、聞きますね。
日本も今世紀の終わりには真夏の午後、40度世界で蒸しているから生きていくのが大変とか、全員が難民になってしまいます。
恐ろしいです。私たちの子孫のことを考えると居ても立ってもいられない気分になります。

投稿: tona | 2006年11月10日 (金) 08:13

★YUKI-archさま

仰るとおり、色彩がいいですね。
私も好きです。
それに構図も、ほんと、じっと見ていると実に素晴らしいです。
装丁も大事な要素なんですね。
これはなんじゃいというのも随分ありますから、洗練された装丁が増えればまた楽しみも増えると言うものです。
中野孝次さんの『ガン日記』読みました。また『「閑」のある生き方』を読んでいます。何と私がこのところ考えていたことが書いてあって嬉しくなりました。どうもありがとうございました。

投稿: tona | 2006年11月10日 (金) 08:26

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/146506/12618586

この記事へのトラックバック一覧です: 本『石榴のスープ』:

« 大エルミタージュとベルギー王立美術館展 | トップページ | 竜脳菊 »