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2007年9月24日 (月)

フェルメール「牛乳を注ぐ女」

Gyuunyuuwososoguonna [フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展]が、あさってから国立新美術館で開催されるに先立って、市で小林頼子氏の講演がもたれた。

「牛乳を注ぐ女」はフェルメールの比較的初期(26歳頃)の作品である。
16世紀末にオランダがスペインから独立したとき、宗教への反感もつのり、プロテスタントになった。カトリックは宗教画や装飾が中心であったが、プロテスタントは装飾を拒否する宗教であったため、オランダの画家達は教会というパトロンを失った。
そこでオランダでは物語画(宗教・神話・古い歴史)から、美術の中で低く位置づけられていた風俗画(日常の中からテーマをとってくる)が主流となったわけである。

「牛乳を注ぐ女」を見に行く人は、次の点をよく鑑賞するように言われた。

①色づかい:種類が多くない。3原色(赤・青・黄)と補色(赤と緑、青と黄色)でまとまっている。
②明暗の操作:窓から遠い方が明るく、近いほうが暗い。女性の背を暗く、胸を明るく描くことによって人物が前に出てくる効果があり、女性が際立つ。
③形が単純。
④モチーフの数の少なさと丁寧な彩色。
⑤巧みな透視法の利用:窓枠の線を延ばすと消失点がミルクポットを掴む手の上方になり、目を注ぐミルクへ向ける。

壁の釘の痕や、右下の足温器が描かれる前に描かれていた大きな籠の痕も是非眺めてくるようにとのこと。
この絵に奇妙な不自然な1箇所がある。それは右手とミルクポットとスカートで囲まれた部分である。絵の具が剥落したのではないかという先生の考えであった。

小林頼子氏は目白大学教授で『フェルメール論』や『フェルメールの世界』の著書がある。
他に『フェルメール全点踏破の旅』の著者、朽木ゆり子との共著『謎解きフェルメール』があって面白そうである。
フェルメールは43歳で亡くなるまでの約20年間に60数点を制作しているが現存しているのは32点あるいは37点と言われている。
全作品を並べてみても、レンブラントの「夜警」1枚分にしかならないそうなのである。
私はフェルメールが大好きで、全踏破なんてさらさら思わないけれども、今まで見た9枚の絵は忘れられないです。

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コメント

そちらはいろんな企画があって羨ましいです。
私はNHKの迷宮美術館で、この画家のことを詳しく知って、以来惹かれるようになりました。美術についてはかなり晩生です。

今回は日本で初公開とか。
これは未確認情報で、誤報になる可能性が大ですが、10月29日(月) 午後7:00~8:00の迷宮美術館 (BShiの2006年度アンコール放送)で フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展をやるかもしれません。

もしガセネタだったら申し訳ありませんが、一応番組欄をチェックしてみて下さい。

(詳細未定)

投稿: ねむウサギ | 2007年9月24日 (月) 17:56

私は絵をそのように分析的に見ることができずなんとなく眺めていいなとか、勿体無い見方です。
フエルメールは見たことがないように思います。たまたまキップを頂いたので行って見ようと思っています。

投稿: saheizi-inokori | 2007年9月24日 (月) 19:45

美術館で作品を観る前に、このような鑑賞の観点の講演があるのは、とても良いですね。

まして、tonaさんはフェルメールの作品に傾倒されていらっしゃるご様子なので、興味深く鑑賞されたことでしょうね。

またこのような企画のある文化的な環境に恵まれていらっしゃるのがいいですね。

投稿: anikobe | 2007年9月24日 (月) 19:50

tonaさんゴメンなさい。
次回番組で取り上げられるのは別のものでした。
今夜きちんともう一度確かめてからにするべきでした。

前評判上々の催し。楽しみですね。

投稿: ねむウサギ | 2007年9月24日 (月) 20:14

★ねむウサギさま

もしかして新日曜美術館の方でやるかもしれませんね。
ご親切にお知らせ下さってありがとうございました。
新国立美術館でも小林頼子さんの講演会が11月24日(土)午後2時から4時まであるそうです。多分同じ内容だと思われます。
台所を主題にした他の画家たちの風俗画も数多く出品されるそうです。豪華な工芸品もです。
アムステルダム国立美術館でも見たのですが、ぼーと見ていました。今回はいろいろ指摘された点をしっかり見てきます。

投稿: tona | 2007年9月24日 (月) 20:37

★saheizi-inokoriさま

私もsaheiziさんと全く同様です。私の場合よけい印象が散漫であとに何も残りません。
ですからsaheiziさんがいらっしゃってブログで紹介された展覧会のは印象がずっと違うのでした。
17世紀から19世紀までのオランダ風俗画の油彩画40点、水彩画9点、版画51点が展示され、豪華な工芸品16点も展示されるそうです。遅くなると混むそうで、やや早めの方がいいと言われました。私も講演会で切符をいただきました。いつもありがとうございます。

投稿: tona | 2007年9月24日 (月) 20:45

★anikobeさま

そうですね。NHKで日曜美術館でもやっていますが、この講演会はとても良かったです。ですから毎回このような講演があれば素晴らしいことです。
奈良、京都は日本古来の芸術、文化に関する催しが目白押しですね。欲張れないので、そちらの素晴らしい展覧会などはすべてパスで残念です。

こちらは美術展がたくさんありますので月に1回は美術館を巡っています。
有難うございました。

投稿: tona | 2007年9月24日 (月) 20:57

再度お邪魔します。
今夜9時過ぎNHKで「牛乳を注ぐ女」の放映がありました。
tonaさんが惹かれるのが理解できたような気がします。
何気なく見ていたら、いまtonaさんのところで拝見したばかりだと、気が付いて、しっかりテレビに見入っていました。

投稿: anikobe | 2007年9月24日 (月) 23:19

★anikobeさま

わざわざありがとうございました。
それは残念なことをしました。
そちらと番組が違うこともあるのかもしれませんね。
今回のことで何事もできるなら事前に勉強していくと、同じ見るのも随分違って見られるということがよくわかりました。今頃気がついても遅かったですが、以後心していきます。

投稿: tona | 2007年9月25日 (火) 08:34

この絵はとても有名ですね。
恥ずかしながら絵と作者の名前がなかなか結びつかない私でも
ちゃんと作者名を言えます(^^;ゞし、いいなぁ、好きだなぁと
思っている絵でもあります。

そんな時代的背景や、緻密な計算のもとに描かれているとは
解説していただかない限りとても自分では分かりません。
tonaさんがここに書いてくださったことをひとつひとつ
追いながら上のポスター写真に見入りました。

投稿: ポージィ | 2007年9月25日 (火) 13:24

tonaさんのすきな画家さんですか?

暖かい絵ですね。

市の方で、講演会をしてくださって、予備知識があると、観る時に違ってくるでしょうね。

やっと秋らしくなってきて、芸術の秋ですね。

美術館めぐりも良いでしょうね。

私は、なかなかできませんが・・・

投稿: もみじママ | 2007年9月25日 (火) 14:36

@niftyトップページ「旬の話題ブログ」コーナーにて、
本ページの記事を紹介させて頂きました。
紹介記事については、「旬の話題ブログ」バックナンバーで
半年間、ご覧いただけます。
今後も旬な話題の記事を楽しみにしておりますので、
引き続き@niftyをご愛顧の程、よろしくお願い致します。
ありがとうございました。

        @nifty「旬の話題ブログ」スタッフ

投稿: 「旬の話題ブログ」スタッフ | 2007年9月25日 (火) 15:15

長崎では、そちらのように、いろいろな美術展はないのに、その少ない美術展すら、あまり見に行きません。
本当に、tonaさんは知的好奇心旺盛でアクティブ!

ちょっと前にラジオで、人間は「知らないと見えない」と言っていました。
子どもたちにアリを見せながら、描かせても、正確に書けないそうです。
アリの仕組みを説明して書かせると、実物のようにかくそうです。

無心に見るのもいいですが、背景を知って見るのもいいですね。

投稿: otayori | 2007年9月25日 (火) 16:33

★ポージィさま

風俗画として、17世紀の庶民の女性の生き生きした姿が、何か懐かしいやさしい温もりを与えてくれる絵ですね。
とそのくらいしか、感想が持てませんが、講師の先生の指摘でこんなに絵が工夫されていることを知りました。
ポージィさんも絵を見ながら理解してくださったようで嬉しいです。
コメントありがとうございました。

投稿: tona | 2007年9月25日 (火) 16:44

★もみじママさま

王侯貴族と違って、その辺りにいそうな健康そうな女性を見ていると、風俗画も楽しいですね。
近々、お目にかかってこようと思いますが、講師の先生に教えていただいたことを、よく観てこようと思います。
そうなんですね。芸術の秋になったのですね。それにしては今日もまた暑いのですが。
コメントありがとうございました。

投稿: tona | 2007年9月25日 (火) 16:50

★「旬の話題ブログ」スタッフさま

記事を紹介くださってありがとうございました。厚くお礼申し上げます。
このページを知りませんでしたので、いろいろな方のも楽しませていただきます。

投稿: tona | 2007年9月25日 (火) 16:58

★otayoriさま

どうもありがとうございました。
「知らないと見えない」
素晴らしい言葉ですね。まことにそのとおりですね。
>子どもたちにアリの仕組みを見せながら・・・・
なるほど、これもいいお話を聞きました。これは学校で教える際にとても重要ですね。
なるべく知って見ることを心がけたいと思いました。

投稿: tona | 2007年9月25日 (火) 17:04

おはようございます。

「牛乳を注ぐ女」すごくいいですね。

女性もさることながら、手前に描かれたパンや、流れ落ちる牛乳などにまで、命が宿っているかのように輝いてみえます。
すべてのものが優しい静寂に包まれているかのようなフェルメールの作品。
tonaさんは、旅行先でも何点か見ていらしたのですよね。
感動もいかばかりであったかと思います。

投稿: aosta | 2007年9月27日 (木) 07:04

★aostaさま

おはようございます。
「真珠の耳飾りの少女」もいいですが、この絵もなかなかですね。
>命が宿っているかのように輝いてみえます。
本当のそうですね。小林先生のよれば、フェルメールはごくごく丁寧に彩色をほどこしたそうで、画面をじっくり眺めるとわかりますということでした。
オランダには全部で10点ありますが、6点を見ることが出来ました。ぼーと見ていたあのときと違って、いろいろ角度から鑑賞できるのが楽しみです。

投稿: tona | 2007年9月27日 (木) 08:30

> 絵の具が剥落したのではないかという

いや、意図的なものを感じます。
作者の意図か、権力の意図か、
なにかそんなものを・・・。

投稿: Papalin | 2007年9月29日 (土) 19:24

★Papalinさま、こんばんは。

ははは、Papalinさんの説、いいですね。
私は絵の具が剥げ落ちたようには見えませんでした。厚く塗りたくったように見えました。
いつも面白いコメントをいただいて喜んでいるtonaです。ありがとうございます。

投稿: tona | 2007年9月29日 (土) 20:14

コメントありがとうございました。
これからも応援しています!

    @nifty「旬の話題ブログ」スタッフ

投稿: 「旬の話題ブログ」スタッフ | 2007年10月11日 (木) 16:48

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