井上ひさしの『ボローニャ紀行』より
イタリアの1つの都市ボローニャを通してイタリアを深く考察した書です。
街の中を歩いた物見遊山かと思いきや、様々の人々と語り合って、国や街の成り立ちを政治面、芸術面など様々な場面から現在のイタリアの深部まで掘り下げていたり、日本との比較も面白い本でした。
その中で「えっ」と思ったり「おお」と思った箇所がありました。
ボローニャの聖堂前庭石棺横の立て札に書いてあることだそうです。
134頁「我々法学生はここに自治団体としての学生組合を結成する。そして学生組合が招いた教師たちに、我々は次のことを要求する。
○学生の許可なしに講義を休んではならない。
○教師は始鈴とともに講義を始め、終鈴とともに教室から退出しなければならない。ただし難問を説明しないうちは、その退出を禁止する。
○講義を飛ばしてはならない。その学問について一から十まで丁寧に講義すべきである。
これらの要求が満たされないときは、我々は教師に対する報酬を支払わない」
学生は学校に行って休講を知ると喜ぶものであるが、月謝を払っているのだし、本当は喜ぶべきことではないのです。時間内にきちんとたくさん学んで、さらに勉強して社会の目標地点に着地しなければならないのです。就職氷河期を迎え学生は教師を逆手にとるくらいに邁進しなければならない時代で大変です。
次はイタリアとかなり違う日本の銀行の話。銀行関係者は世の中にたくさんいて、私が書いたわけでないけれども、迷惑に思われる人も多いかと思うのですが、税金が多く流れた点は否めないと思います。
196頁「預けるときはえびす顔だが、解約するときはエンマ顔で、しかも信じれないくらいたくさんの書類を書かせる日本の銀行。経営不振に陥るとすぐ税金を投下しろと政治家や官僚に圧力をかける日本の銀行。女子行員にもっともらしい制服を着せて慇懃に振舞わせながら、かげでは悪辣な高利貸たちに資金を提供している日本の銀行。わけのわからない外来語を並べて客を釣って日本語をめちゃめちゃにしている日本の銀行。1千万円の定期預金に八千円の利息しか付けない日本の銀行。1千万円で1473万円もの利益をあげながら姑息に居直る日銀総裁を頭にいただく日本の銀行」
イタリアでは例えば、ミラノのダ・ヴィンチの『最後の晩餐』の20年間にわたる修復の費用のすべてを、ミラノ投資銀行財団が負担している。あるいはローマのコロッセオの19年間にわたる大規模な修復工事の費用はすべて、ローマ投資銀行が負担したというのです。
イタリアといえば、歴代首相の中に数名の普通と逸脱した怪人物がいます。またマフィアや汚職にまみれた恐ろしい社会で、裁判官、警察の長など次々と殺され、どうにもならない国とずっと思い描いていましたが、国はあてにならなくても、地方自治体でしっかり街つくりをし、特にボローニャ方式で世界の注目を浴びていることを知リ得た1冊です。随分遅れましたが、改めて井上ひさしさんのご冥福を祈ります。
よその塀に垂れ下がっていたサボテンの花
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コメント
恥ずかしながら井上ひさしさんの本は読んだことがないかもしれません。
このようなものもお書きになったのですね。
tonaさんがピックアップされた記述のところ、鋭いですね。
まさにその通りだなぁと思いながら拝読しました。
はい、私休講になるとやった!と喜んだ口です。数学や物理は逆立ちしても
受け付けないものがありましたが、せめて自分が興味を持った分野だけでも
どうしてもっと一生懸命勉強しなかったかと今にして思います。
と、こう書きつつ今でも変わらず怠け者なのですから救いがたいです。
銀行の方に対しては、私も言いたい文句があります。もうずいぶん前のこと
ですが、あまりに熱心に勧められ、自分の心は疑問を感じていたにも関わらず、
専門家がこれだけ自信を持って勧めるのだからその通りなのだろうと
受け入れた商品のおかげで現在大損。自分の心の声こそ信じておけばよかった。
半分は自分の責任ですけど、あの自信満々の話し上手は、家々を回ってくる
勧誘セールスの口達者と同じです。銀行員だからといって鍵を簡単に緩めちゃ
いけませんでした。苦い教訓です。
あらら 井上さんの言わんとしていらしたこととはズレてしまいました。
私憤を(恥を?)ぶちまけてしまって失礼しました(^^;)
塀から垂れ下がって咲くサボテンの花。日本じゃないみたいな雰囲気ですね。
南国のよう。綺麗ですね♪
投稿: ポージィ | 2010年9月 6日 (月) 21:44
★ポージィさま
井上ひさしの本で自伝的小説は結構面白かったですが、「お米の話」?だったか、日本の米に関する評論は読みがいがありました。ずっとご無沙汰で、久々です。
本当に休講は嬉しいものでしたね。就職もそんなに厳しい条件でなく働くところはありましたから、今ほど在学中に資格を取ったり、特技を磨かないでもなんとかなったので、猛勉強はしておりませんでした。
ポージィさんもそうですか。私も実はそうなのです。そのことを思うと自分が馬鹿だったと思うと同時に、怒りが湧いてきます。
昨年あたりから今年のも勧誘を全てお断わりましました。銀行に出向くというのに、わざわざ来ていただかなくてもお伺いします、というのが怪しいというのも気付くのが遅かったです。後の祭りでしたね。
めったに咲くのを見たことのないサボテンですが、きっと日当たり1等地でとても条件が良いのでしょうね。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2010年9月 7日 (火) 08:56
大学では授業に殆ど出なかった私には厳しい。
銀行には本当に腹が立ちますね。かといってないと困るし、、。
投稿: 佐平次 | 2010年9月 7日 (火) 09:13
★佐平次さま、ありがとうございます。
能ある方は授業に出なくても卒業・就職に支障来たさないですよ。出席されなくてもその間、英気を養い、思索に耽り社会に出てからの栄養補給をされていたのでしょう。何だか羨ましくさえあります。
銀行、そうなんですよ。このごろ振込だの色々通っていてないと困るんですねo^-^o
投稿: tona | 2010年9月 7日 (火) 14:11
tonaさん、こんにちは(^-^)
またご無沙汰ですm(_ _)m
三度の霜取りで漸くまともに働き始めた冷蔵庫に胸をなで下ろしています(^O^)
颱風の影響は如何でしょう(・・?)…こちらはまた暑い日々が…(>_<)
当然の要求だと思いますが…イタリアの学生たちはしっかりとしていますね~♪(*^m^*)
そんな子どもたちが育てば、国はあてにならなくても…自分たちで街造りを出来るような
大人になるのでしょうね~♪(^-^)V
>196頁…
銀行に関しては全く同感!(^O^)
銀行だけでなく金融関系すべてに当てはまる!と思いました~♪
特に保険会社は信用できない!(^O^)
あの慇懃無礼さに接するだけでも不愉快な思いをします…
今、日本の大手企業が不振なのは創業の精神を忘れ去った所にあるのではないでしょうか…
社会に還元するという精神はまったくないようです…初心に還って欲しいです…
投稿: orangepeko | 2010年9月 9日 (木) 14:08
★orangepekoさん、こんにちは。
台風から雨と涼しさを頂き生き返るようでした。昨日は25℃、今日は28℃で、昨日は寒いくらいでした。
冷蔵庫良かったですね。家も製氷がボタン操作を繁く行わないと出来なくて、毎年だましだまし使っている状況です。
井上ひさしさんのレポートは良いとこどりではなくて実にしっかりしています。
2人目の奥さんがイタリアのシェフをしていたみたいでイタリア通で、頼りになさっていたようです。
日本の学生も少し目覚めたら大したものなのですが。
全くおっしゃるとおり、保険会社もずるいこともして問題になりましたね。
人の弱みにつけ込んでやりたい放題の感有りでした。
創業の精神を忘れている・・・なかなか鋭いです。
イタリアの社会に還元する精神と何でも壊さないで利用することなど利益のみ追求の一点張りと随分次元が違いますね。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2010年9月 9日 (木) 16:33
日本の酷暑をしり目にいい旅だったようですね。
羨ましい限りです。「スメタナは絵も上手だった」~「チェコ=6」まで拝見しました。
驚いたのは人骨だらけの墓地教会。なぜ、こんなものが作られたのでしょうね?
記事を拝見していて、一寸驚いたのは、すさまじいまでの
日本の銀行批判でした。
なにか腹にすえかねたことでもおありだった
のでしょうか?
とにかく、素晴らしい行動力に驚嘆しています。
投稿: 茂彦 | 2010年9月 9日 (木) 20:10
★茂彦さま、こんばんは。
コメントありがとうございました。
今年のヨーロッパの夏はロシア、ポーランドの一部を除いて極端に暑くなかったようです。仏、伊も。チェコはもう秋の気配が感じられる涼しさでした。
やはり人骨教会には驚かれましたか。
全く日本人には考えられないことですね。
誰でも銀行など金融機関には多少不満を持つことがあると思いますが、井上氏はイタリアの銀行のあり方に感動して比較されたのだと思われます。
茂彦さんも次から次へとお世話やいろいろチャレンジされてとても真似できません。されることはどれも私は苦手です。
投稿: tona | 2010年9月 9日 (木) 20:31