« 日本人だから日本の食べ物は世界一 | トップページ | ドングリの発芽 »

2011年1月23日 (日)

『間宮林蔵』 吉村昭著

saheizi(佐平次)さんがもう3ヶ月も前にご紹介下さった 『間宮林蔵』を今頃になってやっと読みました。
私としては1番寒いこの季節に読んでいても、あの樺太の寒さは想像もつきません。
今のように着るものも履物も装備もしっかりしたのがなく、力のつく食べ物もなく、交通手段も犬ぞりもなく、6人で漕がなければならない船で沿岸沿いを行くのですが、これこそ想像を絶する探検です。
どう考えても無理な、アイヌ人でさえ首を振る奥地の探検を異常とも言える情熱で、押し切ってやり遂げてしまったことです。とうとう西洋人にも見つけることが出来なかった間宮海峡を発見したのでした。
さすがに手を凍傷で一部失い、半年以上も寝たきりになってしまったのも無理ないことでしょう。
何がこの人をこんなに駆り立てたのかはお読みいただくとして、探検家として世界の10指に数えられるでしょう。南米が大変だなんていうのも恥ずかしい気分でした。

林蔵と同じ時代に生きて関係あった人が、伊能忠敬、シーボルト、水野忠邦(老中)、川路聖謨、徳川斉昭(水戸藩主)、藤田東湖、渡辺崋山と日本史に出てくる錚々たるメンバーなのも初めて知って驚きました。
また、後半生は幕府の隠密として活躍したことも知りませんでした。
もう1つ驚いたことがあります。
農民であった林蔵が後に武士になったのも、好奇心に富み、利発だったので、村上島之允が雇ったことが発端だったのです。
その師の村上が凄い健脚で日に30里(118km)ずつ10日も20日も歩いて少しも疲れを見せなかったそうです。20kmで小休止するのも立ったままだったとか。後に林蔵も見習って健脚になって探検や隠密の仕事ができたわけです。
現代人は1日40kmが限度でしょうか。マラソン選手なら2時間ちょっとで走り切るのですが。

きれいな石畳:南米ペルーのリマ、日本人経営のお店の前の石畳。細かく手が込んでいてこんな美しい石畳は初めてです。
でも石畳は歩きにくいです。

Photo

Photo_2

|

« 日本人だから日本の食べ物は世界一 | トップページ | ドングリの発芽 »

コメント

本当に手のこんだ石畳ですね。日本人がむこうの人に作らせたのでしょうか。

間宮林蔵が見つけた間宮海峡は唯一世界地図に載る日本人の名ですね。
一歩遅れてロシア人がこの海峡を見つけて大変悔しがったそうですね。
間宮は樺太に行く前に自分の墓を作ったと聞いています。死の覚悟で今誰が何かに挑戦するでしょうか。
この時代の方が崇高ですね。
日本最北端の地・稚内に間宮の銅像がありました。

投稿: matsubara | 2011年1月24日 (月) 08:30

栄養学やら医学やら現代の方がずっと進んでいるのに間宮の行動力、思考力には現代人の誰も敵わないかもしれませんね。
「漂流」も面白いですよ。

投稿: 佐平次 | 2011年1月24日 (月) 10:36

小学校中学年のころ伝記を読んだかもしれませんが何も覚えていなくて、
名前を知るばかりの方です。(恥ずかしながらそんなことばかり言ってます)
 
身体的なこともですが、それほどの推進力、精神的エネルギーは
どこからくるのかと思います。現代人が想像する大変さの比ではない
労苦ですね。先日ご紹介くださった鑑真といいこの方といい、
人間の秘めたる力を感じます。とうてい真似できそうにはありませんが。

投稿: ポージィ | 2011年1月24日 (月) 11:19

追伸
 ペルーの石畳の細かな作業にも脱帽です。
 美しい模様ができていますね。
 
 でも、歩きづらい。 ですね。想像付きます。

投稿: ポージィ | 2011年1月24日 (月) 11:21

★matsubaraさま

石畳のデザインはペルーの人でしょうか。
このようなアイデアを実際に考えたのは経営者の日本人か?不思議なスペースでした。後の祭りですが、日本語が通じるのですから聞けば良かったです。

間宮海峡は世界に誇れる名前だなあと初めて気が付きました。
ロシア人が大変悔しがった話は知りませんでした。そうでしょうね。体力的にも地理的にもずっと有利だったのにと。
死を覚悟して挑戦するというのはあまり考えられません。
同じ日本人かと信じられないほど当時の偉人の内面は計り知れません。
稚内に銅像があるのですか。最北端の地をまだ踏んでおりませんので、もし出かけたら銅像に手を合わせてきます。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年1月24日 (月) 14:46

★佐平次さま

勝手にリンクしてすみませんでした。
お陰さまでじっくり読めました。
ありがとうございました。
進んだ現代の医学、栄養学をもしのぐ偉業には、ただ頭が下がるばかりです。
本当に凄い人ですね。
複雑な現代ですが、政治家にも優秀な人が出ないものかと思ってしまいます。
そうそう、『漂流』もこの本に劣らず引き込まれましたね。色々な方たちに読んで欲しいです。

投稿: tona | 2011年1月24日 (月) 14:52

★ポージィさま

スケールと大変度が現代の私たちからはかけ離れた感があります。
その精神力と、医学も発達していなくて、また満足な食べ物もない時代でも頑健だった体力はどのようにして培われたものかと驚いてばかりです。
私もいつも小学生の偉人伝以外は何も知らないことばかりで、こんな歳になって初めて知った次第です。
私のさらなる老後の糧になったらいいなあというのが願いです。

昔は巨石を操り、現代は小さな石を集めてこのアートとも呼べる石畳を作ったペルー人(欧米人かもしれませんが)が面白く感じたことでした。あと、ナスカの地上絵のように石をどけて作ったのも面白かったですし。
コメントありがとうございました。

投稿: tona | 2011年1月24日 (月) 15:04

「相模湖の嵐山とサルノコシカケ」、「日本の食べ物は世界一」、
「間宮林蔵」などまとめて拝見しました。
tonaさんのブログからは、毎度々々tonaさんの知識欲の旺盛なことに
驚かされます。
間宮林蔵と言えば、昔々小学校で歴史上の偉人として教わったことが
懐かしく思い出されます。
まだ、科学知識の乏しいかった江戸時代に、
日本には間宮林蔵や伊能忠敬といった偉大な
地理学者、測量家などがいたのは、
日本人の誇りだと思います。
科学の振興には、時代は異なれ、いつの世でもお金が必要なようで・・・。
「なぜ2番ではいけないのですか?」と発言した大臣がいました。
あのセリフすっかり有名になりましたね。

投稿: 茂彦 | 2011年1月26日 (水) 20:34

★茂彦さま

いつも丁寧にご覧いただきありがとうございます。
世の中には私だけが知らなかったことが多すぎです。
アンテナの張り方が足りないことを痛感します。
それでもネットのお蔭で沢山の方からいろいろなことを毎日のように教えていただき、このことがとても幸せです。

歴史で習った人物をかなり深く掘り下げた小説はとても魅力的です。
この本の中には伊能忠敬の部分で、家庭的に不幸だった話も出てきて意外な思いを抱きました。

「どうして1番でなければならないのですか」というその前の発言があったうえでのこの発言であったという見方が多いそうですが、上に立つ方の発言は1つ1つ注意しなければならないので、普通の神経ではやっていかれませんね。
日本にはお金の使い方がへたで自分のことを中心に動く政治家が多い。小沢さんのように「国民のため」と格好を付けて言いながら自分のことをごまかしているのには呆れます。

投稿: tona | 2011年1月27日 (木) 08:43

 おー、長平さんのことを書いた吉村さんの本ですか。これもおもしろそうですね。
 間宮林蔵、以前TVで観ましたが、確か、樺太だけでは気がすまずに、大陸までのこのこ渡ってアムール川を遡っていったとか。
 鎖国の江戸時代には、海外は世界の外みたいなものでしょうから、ほんとの冒険家ですね。
 ただ、幕府もそれを黙認したということは、幕府の密命があったのかもしれませんね。

 江戸時代には、けたはずれの「偉人」がほんとうに多いような気がします。
 戦いが無いので、歴史の表舞台に出てくるような英雄は少ないかもしれませんが、みんな、ありあまる才能やエネルギーをいろいろとおもしろい方向に注いでる人ばかり、誇りに思います。

投稿: Nora | 2011年2月 1日 (火) 16:34

★Noraさま、ありがとうございます。

そうなんです。樺太から大陸に渡ったのです。民族的な問題もあってとても危険だったのです。事実危険な目にあって連れていってもらった人に助けられました。彼は死を覚悟して行ったのです。
確か渡る前には幕府の方に樺太は島であったことを発見したことを人に伝えるように託していたのです。
この情熱のすごいこと!
おっしゃるように、江戸時代には今の時代では考えられない大人物が続出したのですね。

早稲田の講座は江戸学に力を入れていまして、歴史だけでなく、古文書、芸術、文学、建築・庭、演劇・映像などたくさんあります。

投稿: tona | 2011年2月 1日 (火) 19:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/146506/50667456

この記事へのトラックバック一覧です: 『間宮林蔵』 吉村昭著:

« 日本人だから日本の食べ物は世界一 | トップページ | ドングリの発芽 »