« 妙義山の奇岩 | トップページ | お鷹の道へ花散歩 »

2011年5月 1日 (日)

三つ峠と御坂峠

昨日行った三つ峠は、そもそも太宰治が『富嶽百景』に「富士には、月見草がよく似合う」と書いたところかと思っていました。
ところが違っていました。太宰は御坂峠頂上の天下茶屋に昭和13年初秋に滞在していて、3日に1度麓の河口湖畔の村に郵便物を取りに行く。とある日帰りのバスで車掌が富士を愛でると車内で皆どよめくが、一人背を向けている老婆がいた。
太宰は自分もあんな富士のような俗な山、見たくもないと共鳴の素振りを見せてあげたく、老婆にすり寄っていった。その時老婆が「おや、月見草」と言って路傍の一箇所を指差した。
以下文中
「さつと、バスは過ぎてゆき、私の目には、いま、ちらとひとめ見た黄金色の月見草の花ひとつ、花弁もあぎやかに消えず残った。三七七八米の富士の山と、立派に相対峙し、みぢんもゆるがず、なんと言ふのか、金剛力草とでも言ひたいくらゐ、けなげにすつくと立つてゐたあの月見草は、よかつた。富士には、月見草がよく似合ふ。」

太宰治は茶屋の娘さんに「きれいな富士は好きじゃない」「まるで風呂屋のペンキ画だ」と言ったそうだが、果たしてバスの中のこと以来だったのか、最初から好きでなかったのか?天の邪鬼だったのか?富士山が好きでない人もいるとは。

昨日はバスが通ったであろう道から富士山を眺めたが、途中から三つ峠へと曲がったので、天下茶屋を見ることは出来ませんでした。また太宰が眺めたであろう月見草もまだ芽も出ていませんが、花が咲くころに来たかった。

御坂峠と間違えた三つ峠は、太宰の嫌いな富士山を一番美しく見る事が出来る山として知られる。開運山(1786m)、木無山、御巣鷹山(日航機事故とは違う)の三つのピークからなるために付けられた山。
高尾山級の易しい山で、たくさんのハイカーに出会いました。

                           ↓高速から見えた三つ峠山 中央より左の山

Photo

                                          ↓三つ峠からの富士山

Photo_2

Photo_3

太宰が見た初秋の富士山には初冠雪があったかどうか、あまり雪がない富士山だったでしょう。

                                ↓山頂付近はアンテナなどがいっぱい

Photo_4

Photo_5 

|

« 妙義山の奇岩 | トップページ | お鷹の道へ花散歩 »

コメント

もう25年も前から御坂峠と天下茶屋には行きたいと思いながらまだ果たしていません。
と申しますのも、22年前月見草という歌集を発刊したとき、巻末に書いたからです。
富嶽百景のことを・・・

トレーニングらしいことをせずには、山歩きは無理ですのでもうかなり前から諦めています。

この記事を大変うれしく思います。
ありがとうございました。

投稿: matsubara | 2011年5月 2日 (月) 09:24

完璧で何の悩みもないように見える富士に対する鬱屈でしょうね。
みんなが好いというものを好いと言いきれない照れもあるのかあな。
富士が嫌いならあんなところに行くはずがないです。

投稿: 佐平次 | 2011年5月 2日 (月) 12:49

★matsubaraさま

先日いただいた第22号に月見草のことと種のことが載っていますね。
太宰治が見た月見草はいわゆる月見草でなく、黄金色なのですから、オオマツヨイグサかあるいはアレチマツヨイグサとも言われているようですね。
メマツヨイグサは繁殖力強く、あたりで生えているのは殆どこれだそうです。
ですから昭和13年ですとこれの可能性は少ないのでしょうか。
月見草が見当たらないと書きましたが、ちゃんとロゼットで芽が出ているのですね。単に気がつかなかったでけです。

私がトレーニングをせずにいきなり鹿島槍ヶ岳の登山をしたのが67歳です。行く前の3ヶ月階段を8階まで上ることだけしました。
ですから大丈夫ですよ。
本当の月見草を見ませんので、見たいですね。
こちらこそ月見草についてありがとうございました。

投稿: tona | 2011年5月 2日 (月) 13:26

★佐平次さま

ああ!なるほど。
太宰治ならそうだと考えられますね。
鬱屈とか照れとかをこんな形で表すなんて。
いかにも作家らしくさらりと富嶽百景に表現しているのですね。
やっぱり改めてこの作家を見直しました。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年5月 2日 (月) 13:32

富士山の姿を初めて見たのはいつのことだったかしら??
おそらく新幹線の中か車の中からだっただろうと思うのですが、
ごく自然にその雄大な姿に感動を覚えたような気がします。
今でも見るたびその感動は変わらないです。
でも、好きじゃないという方もいるのですね。人の感じ方は
それぞれですし、もしかすると、皆が良い良いというものは
同じように良いとは言いたくないという人もいるのかもしれませんね。
太宰治の場合は本当に富士山が嫌いというわけではないような気もしますね。
「富士には、月見草がよく似合ふ。」の一文で何となくそんな
気がしました。

投稿: ポージィ | 2011年5月 2日 (月) 17:16

★ポージィさま

日本人は誰でも富士山に感動すると決めつけていました。
私も大好きで、多分小学生の時、箱根で見てからです。
それが年齢とともにますます好きになって、富士山が見えるツアーや登山は優先順位が高いです。そして馬鹿ではないかと思うくらい写真を撮ります。
「月見草がよく似合ふ」を思い出して『富嶽百景』を読んだら意外なことでびっくりです。
そうですね。大嫌いだったわけでなく、月見草を引き立たせ、それが富士山をより美しく見せていると間接的にほめているようにも思えますね。
いろいろな見方で示唆していただきありがとうございました。

投稿: tona | 2011年5月 2日 (月) 19:18

tona様難しい問題ですね。
私の印象は富士さんは遠くから見ると実に美しい山ですが、良く聞くのは上まで登ればゴミが沢山あってげんなりすると云う話です。
この老人は多分、上まで登った事があったのでしょうか。若い頃に・・。

「本当の富士さんはみんなが思っているような山ではないですよ」と云っているような気がします。

長嶋が富士なら、自分は月見草と云った野村監督は有名ですが、派手さよりも人目に付かず夜間ひっそりと咲く月見草を忘れたらいけないよ!といっているような気がします。

それを太宰が言いたかった、と。
月見草の人生も味わうことのできる人間は貴重です。味わいがありますね。

投稿: macchanny | 2011年5月 3日 (火) 10:03

津軽富士のことをどう見ていたか、「津軽」を読みなおしてみようかなどと、、。

投稿: 佐平次 | 2011年5月 3日 (火) 11:27

深田久弥氏も富士山を「偉大なる通俗」と書いていますね。
太宰にとって、あまりにも民衆的な山、国民的な山を称賛するのはヨシとしなかったのでしょう。

私は俗人ですから、富士山を見るのは大好きです。
でも今まで「登りたい」とはあまり思いませんでした。
お花がさしてない山、ゴミ問題も深刻で、その正体を知るのが怖い気もしました。

三つ峠から眺める富士はサイコーですね。
10年位前の5月3日~4日と、「三つ峠駅」かた表登山道を登り、頂上で一泊。
翌日は「清八山~本社ヶ丸~鶴ヶ鳥屋山~春初狩駅」と縦走したことがあります。
ロングコースでしたが、富士山の眺望が素晴らしくて忘れられません。
やっぱり「富士山」は眺める山だと思います。

投稿: naoママ | 2011年5月 3日 (火) 12:16

★macchannyさま

富士山には登ったことないですが、本当に登るとうんざりするように汚くて、途中からは高いために植物もなくなって味気がないそうですね。
やはりその美しい姿を遠くから眺めるのがいいのですね。
老婆のこと、macchannyさんのように考えもしませんでしたが、そんなこともあったかもしれないですね。想像すると楽しくなります。
長嶋の富士と野村監督の月見草の逸話は有名ですね。野村監督の本は読んだことがないですが、含蓄のある内容で良いと聞きました。
以前、カルチャーセンターで「太宰を読む」に出たことがあるのですが、まだまだ深く読んだら素晴らしいものを引き出せる作家かなあと、みなさんのコメントで思ったことです。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年5月 3日 (火) 15:53

★佐平次さま

『津軽』、どんな内容でしたっけ。
すっかり忘れています。
私も津軽富士へ今年は出かける予定ですので読んでみます。
教えていただいてありがとうございました。

投稿: tona | 2011年5月 3日 (火) 15:56

★naoママさま

百名山に入っていますが、深田久弥が富士山をそのように見ていたのですか。読み飛ばしてしまったような。
おっしゃるように実際登ろうとすると、汚くて殺風景で登っていても楽しくはないそうで、私も登らないでしょう。

でも離れて見るとその美しい容姿にいつもいつも眺めて感動しています。
特に雪がまだまだ融けてない時が最高ですね。
それにしてもnaoママさんは2日に渡って縦走されたそうで、もう富士山三昧でしたでしょう。2日目の清八山からのコースの名前を1つも知りませんでした。
登山も年季がはいっていらして、毎回いろいろ伺うのが楽しみです。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年5月 3日 (火) 16:06

文学的な事に全く興味がわかない神戸家ですが、三つ峠は40年前に4~5回登っています

”富士は眺める山であって登る山にあらず”が持論で、富士が見える山には数々登りました(ハイキング程度に)

三つ峠は、何といってもご来光に間に合うよう登り、陽を浴びて富士山の色の変化を楽しむのが最高fuji

また、目の高さで霧が流れるのを観るのも一興
山頂の花畑での昼寝は至福の一時happy01
(今は花畑は柵があるのでしょうか?)
ハンガリーへお気をつけて行ってらっしゃい

投稿: OB神戸家 | 2011年5月 7日 (土) 11:16

★OB神戸家さま

コメントありがとうございました。
今日、11時頃、ハンガリーから家に帰って来ました。

本当に富士山は周りから眺める山でしょうね。
私も今年は高尾山、下曽我の展望台、そして三つ峠と富士山を楽しみました。
三つ峠にもう4,5回も登られていらっしゃるそうで、それもご来光を御覧になったのですね。
素晴らしい光景でしょう。まだ1度もないです。
まだお花の季節でないのでどこにお花畑があるのかもわかりませんでしたが、フジアザミの鋭い歯が芽を出していました。
若い日の神戸家さまがお花畑でお昼寝の図を想像してみました。

投稿: tona | 2011年5月16日 (月) 13:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/146506/51549385

この記事へのトラックバック一覧です: 三つ峠と御坂峠:

« 妙義山の奇岩 | トップページ | お鷹の道へ花散歩 »