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2011年6月 3日 (金)

算額と『天地明察』

冲方丁著『天地明察』は渋川春海(安井算哲)の半生を描いた小説です。
江戸時代(家綱・綱吉時代)の天文暦学者、囲碁棋士、神道家。本因坊家と並ぶ囲碁の安井家の長男で御城碁に出仕、会津藩主保科正之や老中酒井と碁を打ち、光圀公にも大事にされる。
そんな春海は算額に夢中になり、得意の算学から天文暦学へ進み、遂に改歴に漕ぎつけた人物である。

その算額を蔵の街「栃木」の神明宮で見つけました。東京にも神田辺りにあるのですがまだ未見です。高い位置にあり、薄れていて問題もよく見えません。見た人が正解を書くと、出題者が「明察」と書く。
算額は、和算において、数学の問題が解けたことを神仏に感謝し、ますます勉学に励むことを祈念して、神社・仏閣に奉納したもの。幾何の図形が多かった。
今全国に975面現存し、最古のものが1683年のもの。小説にも同じ年頃として登場する和算の祖・関孝和は算額を見てどれもたちまち解いてしまったとか。
昭和初期まで伝統は継承されたが、近年価値が見直され、最近奉納する人が増えているそうで日本人の数学好きの表れで、世界でも類を見ないそうだ。最近のは何処に奉納されているのか?江戸時代の日本人って凄い!

       明治10年(1877)10月 田村与兵衛源正知門人 3題奉納

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[蔵の街・栃木散見]
栃木は例幣使(日光東照宮へ向かう朝廷の勅使)街道の宿場町として、また巴波(うずま)川の舟運によって栄え、豪商達が白壁土蔵を建てていった町です。
新幹線を通さないという方針で、今では宇都宮に繁栄を譲ってしまって寂しい町と化してしまったが、蔵を修復したりして観光化に努めているのが伝わってきました。

↓代官屋敷・岡田家
岡田家は武士から土豪となり、名主役や代官職を勤め、舟運でも富を築いた。財団法人になっていないのでかなり広い家と敷地の固定資産税は年間一千万円だそうだ。

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画家・富岡鉄斎の絵や陶芸家板谷波山の作品などの陳列にとどまらず、翁島という別荘が凄い。

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用材はすべて銘木を使い、桧はすべて木曾産、また廊下には長さ六間半、幅三尺、厚さ一寸の桧の一枚板を数か所に使って、今の価格になおすと5億円だそうだ。昔のお大尽は凄いこだわりでお金を使ったものです。

     ↓桧の廊下                ↓から傘天井

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  ↓生誕の地でもある山本有三の墓    ↓下野新聞社

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↓美しい花嫁さんが人力車に引かれてお披露目。見ていたら後ろのお父さんらしき人からリボンを結んだ5円玉を頂いた。

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↓1番右は「塚田歴史伝説館」の三味線ばあさんロボットで三味線を弾きながら歌ったり話したり。手前のおじさんも人形。

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              ↓巴波川(うずまがわ)
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[花之江の郷ー野の花自然園] 栃木市郊外にある15000坪の山野草園
雨も降ってきたし、端境期でちょっと寂しかった。

                  ↓エビネラン

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                      ↓ニッコウキスゲ

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                        ↓ノアザミ

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                     ↓アヤメとホトケノザ

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                   ↓ナンジャモンジャの木

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コメント

 以前、神田神社で、算額コンクールの優秀作品が奉納されているのを見ましたが、実は、江戸時代の古いものは、まだ見たことがありません。
 やはり江戸時代のものは、りっぱですね!
 この蔵の街には、いつか行って見たいと思います。

投稿: Nora | 2011年6月 3日 (金) 22:53

★Noraさま、ありがとうございます。

算額を本の中で見つけた時に、真っ先にNoraさんのブログでとりあげていたことを思い出したのです。
古いこの算額を見たときは胸が踊りました。

翁島にはその贅沢な材料に仰天でした。
是非行ってみてくださいね。

投稿: tona | 2011年6月 4日 (土) 06:56

じっとしてませんねえ、相変わらず。
負けずに私も歩きましょう^^。

投稿: 佐平次 | 2011年6月 4日 (土) 08:25

栃木へ行っていらしたのですか?日本の歴史を感じさせる町や建物も自然も
いいものですね。気持ちが落ち着きます。
「算額」って見たことありませんでした。感謝をこめ、これからの決意も新たに
奉納するものなのですね。熱心だったのですね。学ぶ喜びを知っていたという
ことなのでしょうね。いつも嫌々だった私とは大違い(^^;)
寺子屋が広まったことが日本人の識字率や勉強意欲を高めることに
大いに貢献したのでしょうね。

山野草園、端境期で寂しかったとのことですが、それでも色んなものを
ご覧になれて、綺麗ですね。ニッコウキスゲといい、アヤメとホトケノザといい、
なにかこう、自然な植生を生かしたままにしてあるようなコラボレーションが
楽しいですね。

投稿: ポージィ | 2011年6月 4日 (土) 09:49

先日はクサノオウの写真と情報をありがとうございます。

栃木は、日光と足利学校しか行っていませんので珍しく拝見しました。

和算の算額は、以前住んでいた兵庫県加古川市の神社にとても精細に書かれたものがありましたので、40年前から関心がありました。複雑な式が書いてあり、そこへ行くと解けないのに幾何学の数式に迫ろうとしたこともありました。
今もあれは謎のままです。
図も数式もかなりレベルの高いものでした。

写真を撮っておけばよかったと悔やんでいます。

投稿: matsubara | 2011年6月 4日 (土) 09:55

tonaさんご無沙汰しています。
名前気まぐれであらためます。元もこもこです。新メールアドレスもご確認ください。

「和算の館」というホームページを知っておりまして、これはこのタイミングで是非お教えしてさしあげよう、と思いました。
(私は無関係なページですが)

メールさしあげればよいところお伝えしたとおりで連絡不可でしたのでこちらに。
失礼いたします。

ハンガリーの旅楽しまれたご様子ですね!
これから訪れる国はじっくり見ない・読まないほうが?などと思いつつ、
旅行社説明会よりtonaさんのまとめが^^

ますますお元気で。
私もtonaさんには体力及ばないながら日々鍛えて最近快調です。
感謝しています。ではまたいつか、お役にたてそうな時に。


投稿: prometh | 2011年6月 4日 (土) 10:57

★佐平次さま、ありがとうございます。

どんどん歩きましょう。
ところが今日の暑さの中でかなり歩いたら、珍しく疲れを覚えました。古希を前にしては仕方がないかしら。暑さに弱いです。

投稿: tona | 2011年6月 4日 (土) 19:04

★ポージィさま、ありがとうございます。

川越などと同じく、メインの道路には電信柱がありません。しっとり落ち着いた町並みです。
江戸時代の人たち、算学(数学)が好きな人がたくさんいたようです。解いた喜び、問題を作る喜びを神社仏閣にまで報告して奉納するというのは世界で日本だけだそうです。
これほどまで学問を愛した先人たちに額を見てただただ感心するばかりです。
この時期やはり世界1の識字率は素晴らしいことだったのですね。

山野草園は山林や湿地が自然のままで、箱根の湿生花園に少し似ていました。
ニッコウキスゲやアヤメはいかにも今の時期にふさわしい美しい花ですね。

投稿: tona | 2011年6月 4日 (土) 19:16

★matsubaraさま、ありがとうございます。

こちらこそ載せていただきありがとうございました。
今日もたくさんのクサノオウが咲いているところを歩いてきました。花期が長いですね。

私はまだ足利学校へ行ってないのですよ。
日光は何度行っても発見がありますね。

私は最近になって算額を知ったわけでして、それに出会えて嬉しかったです。でも見ても問題がどんなのかわかりません。難しそうですね。
matsubaraさまはもう40年前からご存知でしかも、解こうとされたなんてただものではありませんね。レベルが高いということは江戸時代にすでに世界的レベルだったのでしょうね。

投稿: tona | 2011年6月 4日 (土) 19:26

★promethさま

ご訪問いただきありがとうございました。
また、「和算の館」を教えていただきありがとうございます。
お陰様で私が神明宮で見たのがわかりました。
江戸時代でなくて。明治10年10月(1877)に、田村与兵衛源正知門人が3題出題とわかりました。
全国のを全部なかなか見られませんが、近くに大国魂神社もあったりで楽しめそうです。ただ全然わからないです。高校の時に何を勉強してたんだかですね。
少しお元気になられたそうで、私もだんだん衰えつつありますので、負けないようにやっていきたいです。
ハンガリー編も読んでいただきありがとうございました。

投稿: tona | 2011年6月 4日 (土) 19:49

tona様
山岳の話、初めて知りました。栃木の神明宮の事、関孝和の事をお聞きし、日本人の優秀さの原点に気付かされた思いです。
日本人は必ずや早い復興を成し遂げるとの確信を持ちました。
素晴らしい元気の出る記事です。
頑張らなければなりません。有難うございます。

投稿: macchanny | 2011年6月 4日 (土) 20:08

うっかり山岳と書いてしまいましたが「算額」に訂正です。それにしてもお嫁さんとお父さんの想いが伝わってきました。

投稿: macchanny | 2011年6月 4日 (土) 20:17

★macchannyさま、ありがとうございます。

関孝和は世界の数学者と方を並べる、あるいは突出していたそうです。凄いことですね。和算を編み出した人でもあるわけです。
残念ながら当然ながら、当時は女性は皆無、今も男性には圧倒的に多い数学の世界です。
日本人の優秀さを埋もれさせないで、どんどん伸ばしていくことが教育の役目ですね。

このお嫁さんはしとやかで私たちにも丁寧にお辞儀されたのですよ。お父さんもとても誇らしげで嬉しそうでした。
日本人だからこそ、和装はとても似合いますね。

投稿: tona | 2011年6月 4日 (土) 20:48

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