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2011年9月 2日 (金)

鹿の害ー高ボッチ高原・鉢伏山

8/29に植物観察会で長野県の高ボッチ高原(1665m)と鉢伏山(1928m)へ行ってきました。殆ど頂上まで車で行かれる。
昨年は霧と雨で全く見えなかったが、今年は曇り、ちょっと晴れ間が覗くといった天気でまずまずでした。

10年前にこの場所に来た人たち曰く、高原も山も一面のお花畑であったのだそうだ。
今は鹿にとっての毒草(ツクバトリカブトやマルバタケブキ)以外の花が、鹿によって食べ尽くされ、お花畑が消えていました。
最近の異常気象もあるでしょうが、3.4年前より鹿が異常に繁殖し、それは数千頭に及び、駆除が追いつかないと小屋の人が言っていました。
鹿の天敵がいないのでしょうね。
山から下りてきた猪、鹿、そして熊などが畑の作物を食い荒らし、人間と動物の共存の難しさが叫ばれて久しいですが、いろいろな要因で山野の花がどんどん絶滅して行く様は、実は大変な問題なのです。
動物だけでなく、人害も多いです。心ないハイカーや業者による盗掘です。
私たちの子孫はもう高原や山に行っても花があまり見られなくなりそうです。そんな事実を突き付けられた観察会でした。

<高ボッチ高原> ボッチとはアイヌ語で「巨大な高原」の意。何故北海道でないのにこの名が付いたのでしょう。
そんな中、花があっちに一輪、こっちに一輪と咲いていました。

                ↓高ボッチ高原(ススキがきれい)

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↓鹿が食べないのでトリカブトだけはあちこち群生も見られた。これはツクバトリカブト(キンポウゲ科)

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↓ツリガネニンジン(キキョウ科)お寺の釣鐘にそっくり。根が高麗人参に似ているそうだ。

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                ↓高原の蝶・ベニシジミも見られた

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↓イケマ(ガガイモ科)アイヌ語で「イ」は神、「ケマ」は足で神の足。オクラのような若い果実がぶら下がっていた。花はまだ見たことがない。
中を見たらふわふわの綿毛に包まれた種子が詰まっていた。アサギマダラの食草とのこと。

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↓シラヤマギク(キク科)嫁菜に対して、これは婿菜とも呼び食べられるそう。

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↓ナンバンハコベ(ナデシコ科)花はハコベの花を大きく伸ばしたようで、草姿が異国風なので南蛮と付いた。見るのは2度目です。

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↓シシウド(セリ科)食用にならず、猪なら食うウド。これも鹿は食べてしまうのですね。

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<鉢伏山> 高ボッチから6kmに位置する
見渡した所ではお花が見えません。鉢を伏せたような山がいくつか重なっていました。

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       ↓諏訪湖も見えます。その向こうの富士山は見えませんでした。

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                 ↓問題の鹿がこちらを見ている

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↓マルバダケブキ(キク科)、これも鹿が食べないので群生している。葉が丸く蕗の葉に似ている。蕗に比べて標高の高い山岳に自生するので岳蕗(だけぶき)という。

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                 ↓ハクサンフウロ(フウロソウ科)

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↓ハナイカリ(リンドウ科) 初めて見た花。春先のメギ科のイカリソウに似ている。

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                  ↓ウメバチソウ(ユキノシタ科)

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                    ↓コウリンカ(キク科)

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↓タチコゴメグサ(ゴマノハグサ科) 花は甲斐駒ケ岳でのミヤマコゴメグサと同じ

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       ↓ウスユキソウ(キク科) 雪で覆われたような花弁のようなのが包

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コメント

 鹿も可愛い顔をしてるけど、数が増えると
何でも食い荒らすから困ったものですね。

 北海道でも、冬、木の皮をかじって木を枯らしてしまう。保護するのもいいが、駆除するのも必要で、大変ですね。
 
 高山植物の中には、デリケートな植物もあるはず。根っこが残っていても、他の植物が増えると、命を絶たれてしまう。
 毎年貴重な植物が減って行ってるのですね。
 食べられないものは残る。
そのために生態系まで変わってしまう。
 貴重なお花畑がなくなるのはなんともさびしい限りです。
 何でもバランスが必要ですね。

ハナイカリにウスユキソウははじめて見ました。

投稿: 夢閑人 | 2011年9月 2日 (金) 16:40

★夢閑人さま

この鹿もこちらを見ている姿は可愛いものです。それなのに、彼らがどんどん食べてしまったのですね。
駆除よりも増える方が多いとは驚きです。
こうして食害に遭うと根こそぎでなくても、おっしゃるように強い植物に駆逐されてしまうということですね。
こんなことで生態系が崩れていくのが恐ろしく、悲しいです。
こんなに極端に数年でなくなってしまった2つの山や高原を目のあたりにして、本当に驚いてしまいました。

ハナイカリの色がなんとも素敵です。
ウスユキソウはエーデルワイスを思い起こします。
早速にありがとうございました。

投稿: tona | 2011年9月 2日 (金) 19:32

私はここに先月上旬に行きました。
以前は「ニッコウキスゲ」が一面に咲いていたそうですが、その殆んどが鹿の被害で姿を消したと聞きました。
でも、ナデシコがたくさん見られて満足しましたが・・・
(鉢伏山のコウリンカの群落も素晴しかったです)

車山や霧が峰のキスゲも鹿の被害で減ってきているそうです。
一番驚いたのは「櫛形山」のアヤメです。
15年位前に主人と行った時はそれは見事なアヤメの大群落が見られました。
田中澄江さんの「新花の百名山」にも載りました。
一昨年、友人と登ってみようと調べたら、鹿の食害で一本残らず姿を消したと知りました。

高ポッチで鹿に出会われたのですね。
可愛いけど・・・
このままだと尾瀬も危ないそうですね。
日光の鹿が進出しているとか・・・
今、真剣に考え答えを出さないと、貴重な植物が消えてからでは遅いですね。

保護動物が増えすぎて「駆除対象になる・・・」
オーストラリアでもカンガルーが増えすぎて問題になっているそうです。

投稿: naoママ | 2011年9月 2日 (金) 21:31

高ボッチという名前、
以前たまたま何かで「ダイダラボッチ」の足跡といわれるくぼ地があるためについたと読んだことがあります。
真偽のほどはわかりませんが
検索したら、こんな解説がありました。
http://hatabear.gooside.com/takabotti.html

投稿: zooey | 2011年9月 2日 (金) 22:06

ここで分かるのはトリカブト、ツリガネニンジン、
ウスユキソウ、シシウド程度とは情けないです。
自分の目で見ないと覚えられませんね。

健脚ぶりに驚嘆しています。

アイヌ語が長野にあるということは、ここまで
領域だったのでしょうか。

投稿: matsubara | 2011年9月 3日 (土) 08:46

★naoママさま

1か月前の様子を再び拝見させていただきました。
カワラナデシコがたくさん咲いていたのですね。これは3輪ほどしか残っていませんでした。
1ヶ月の間にお花も随分変わっています。
イケマはちょうど花が咲いていたのですね。1ヶ月後、もう実になっていました。お花も見たかったです。
そうそう、山荘の方が今年はコウリンカが素晴らしかったと。
櫛形山のアヤメの話を聞きまして、櫛形山は行くのを躊躇していました。15年前はやはり素晴らしかったのですね。
尾瀬もこんな被害にあったらがっかりですね。
日光には防御フェンスなどが張られていますが、効果は出ているのでしょうか。
保護動物の問題もあって、矛盾だらけです。
山にたくさんの登られていらっしゃるnaoママさんはこんな移りゆく自然生態を苦々しく感じていらっしゃったのですね。
こういう会に参加しなかったら全然知らないで、ただTVで観ただけに留まって人生を終わっていたわけで、何もできない私も新たな憂い、心配が出来たのは私のために良かったです。
これからもいろいろなことを教えていただきたく思います。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年9月 3日 (土) 08:51

★zooeyさま

ダイダラボッチのこと、私も以前聞いていましたが、こんなことだったのですね。
アイヌをだんだんと北へ、そして北海道まで追いやったのでして、その前は中央にも言葉が残るほど本州で生活していたのですね。

神の足(脚)とアイヌ語で呼ばれる「イケマ」ですが、北海道から九州まである花で、特に食用、薬用、矢毒など利用出来る植物の部分に名前を付けたアイヌの言葉が花の名前になって日本中で呼ばれていることはその影響力を偲ばせます。
花の名前、地名とアイヌ語のもあって、本当に面白いですね
美しい高ボッチから画像の数々にため息が出ました。ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年9月 3日 (土) 09:03

★matsubaraさま

ここは頂上付近まで車が入るので、ハイキング程度で楽しく眺められます。
霧ヶ峰や美ケ原、千丈敷カール、八方尾根、栂池自然園などロープウェイやリフト、ケーブルで簡単に行けて高山植物が見られて、こんなコースは極楽でした。
勿論、matsubaraさまも行かれているとは思いますが。
私もこんな花を知ってまだ4年目ですが、毎年観察していないと覚えられず、5年かかると言われています。

坂上田村麻呂が陸奥で蝦夷に対して戦争した話などからはアイヌは陸奥までと思われて、中央にこんな風に影響を与えるなんて信じられませんが、実際はもっと南にも居住していたのでしょうか?そう領域だったのかもしれませんね。
調べたらわかるかしら。

今朝のニュースで台風のいろいろな警報や注意報で、それに関連する県などが広範囲にわたって出ていましたが、その真ん中の大阪、京都、滋賀、岐阜などが入っていなかったのです。防災がしっかりしているのでしょうか。それとも台風がここだけにいたずらしないで通るのか、とても不思議に思いました。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年9月 3日 (土) 09:23

 
こんにちは。
鹿の食害はあちこちで問題になっていますね。
鹿に限らず、野生界のバランスの中に人間が手を突っ込むと
必ずといっていいほど大きくバランスが崩れてしまって、
絶滅の危機に陥るか特定のものばかり増えすぎるか、という
事態を招くような気がしますね。食物連鎖の頂点にいた狼が絶滅した
(人が絶滅させた)ことや、狩人が減ったことが原因だと
いう人もいるようです。
動物だけでなく植物たちのバランスも崩れていって、行き着く先は
どんな光景が待っているのでしょうか。日本は、多種多様な動植物が
生息する貴重な地域だったはずですが、それが危うくなりつつあるような
気がしますね。どうしたらよいものなのやら…。
そんな、数少なくなった素適な花を咲かせる貴重な草花たち、
いつもとちょっと違う気持ちで拝見しました。

イケマの花はつい先日他の方のお写真で見たのですが、白い小さな
お星様が球状に集まって咲く可愛い花でした。その花からこんな
大きな実ができるんですね。ガガイモ科らしい実ですね!

投稿: ポージィ | 2011年9月 3日 (土) 10:04

狩猟は許されていないのですか。
房総なども鹿や猪で大変でした。

投稿: 佐平次 | 2011年9月 3日 (土) 15:43

★ポージィさま

いろいろな貴重な動物が生息する島などに、船から持ちこまれてしまったネズミとかを退治するためにまたそれをやっつける動物を持ちこんで、それが異常に増えて、貴重な動物を絶滅に追い込んだという話が多いですね。
元はと言えば、無垢な島に征服した人がもたらすものが原因で、植物も私たちの靴底に付いている種子が原因だそうですね。
ボツワナに入国するときに、簡単ですが靴底を消毒しました。
植物界も今に日本の固有種が絶滅してしまわないかと心配になるほど、外来種が強くてはびこっていますね。

鹿の繁殖力って凄いのですね。1年に何回も産んでしまうのかしらと思ってしまいます。そんなことないでしょうけれど。

その他日本はあまりにも無防備にペット年飼う動物を輸入しすぎです。アライグマやサルやアマゾンの魚などなどいろいろなものを飼いきれなくなって捨てる輩が多すぎです。

動植物のことを心配しているうちに、今度は放射能のことも心配を通り越すような事態ですね。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年9月 3日 (土) 16:43

★佐平次さま、ありがとうございます。

玉原高原の山中だったと思うのですが、突然鉄砲の音が聞こえてきました。
ちょっと怖かったです。もし私たちが狙った獲物の近くだったらと。
鉢伏山の辺りでも年間数千頭という規模で駆除するらしいです。それでもそれ以上に繁殖して、とうとうこの3年くらいで花を食べ尽くしたようです。
鹿の肉は臭みがなくて美味しいそうで、猪ともども、狩猟で殺して提供されればいいのかなあ、、、と恐ろしいことを口にしてしまいました。

投稿: tona | 2011年9月 3日 (土) 16:49

長野県の山々の様子がよく分かります。
日本中で野生動物による被害がそこに住む人間の生活を脅かすようになっているのですね。

各自治体もそれなりに努力しているのでしょうが片手間でやっていては到底間に合わないような気がします。

先般、佐賀県の加唐島等を訪問し、人口の減少と高齢化の中でイノシシやヤギが増加し、人間の生活を脅かしているのを見てショックを受けました。過疎地をイノシシが闊歩するという。。

これからどうなっていくのでしょうか?
そろそろ専門家の養成と政府の対策が求められているのではないでしょうか。

投稿: macchanny | 2011年9月 3日 (土) 21:27

★macchannyさま

台風はそちらに大きな被害をもたらしましたが、大丈夫だったでしょうか。

そうそう、加唐島など訪問されたときに猪や山羊が増えて作物を荒らしているというご報告がありましたね。
打つ手もなく暮らしている人たちの悲鳴が聞こえてくるようでした。
畑と同様、山の花畑がどんどんなくなっていく現象は、相手が動物ではもう駆除よりほかないわけです。
ここの場合、もう間に合わなくなっているのですから、おっしゃるように早急に専門家の養成と政府の対策ですね。
生態系が崩れるのが恐ろしいとも聞きます。
国も政治も本当に忙しく複雑になっていきますが、頑張ってほしいです。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年9月 4日 (日) 08:27

お早うございます。風は少し止んでいますが日本はどうなっているのでしょうか。あちこちで浸水被害が発生し避難者が増えています。
自然は神は日本にあまりに厳しく反省すべき点があるのでしょう。

生態系の問題ですが問題になっている動物を増えた分だけ駆除すればいいわけです。でなければはげ山になって動物の住む場所がなくなります。
アフリカの自然動物園では象の数を航空写真で把握しています。教訓を活かしているのです。

駆除する分だけのライセンス(許可証)を政府が発行します。猟の免許を持ったものがそれをかってジャングルに入り大きな象を一撃で殺します。そして象牙を確保します。(高額で売れる)

あとは現地人が集まり肉を解体しそれぞれ持ち帰り食べる訳です。皆幸せです。

また象に限らず他の動物の数も決まっていてコントロールしています。

これは政府の計画で行われ、密猟者がいないか監視する人もいつも巡回しているわけです。
世界中から野生動物を見学に来ますから国として大事な仕事です。

狩猟には3~4日と家族で出かけテントを張り野生動物を狙います。

確保した肉は解体し細く切って味付けし木に吊るして干します。ジャーキーです。
動物性蛋白源を確保し、年間を通じて食することが出来る訳です。

藤原英司さんは生態系の問題で蚊も殺さないと言っていましたが象、猪、鹿ともなれば数は把握できるわけです。

国内の問題は人々が困っていても誰も対応せず無責任のまま手をこまねいていることです。

行政の責任だということを言いたかったのです。

雨も止んできました。

投稿: macchanny | 2011年9月 4日 (日) 10:57

★macchannyさま

再度コメントいただき、いろいろなことがわかりました。

今年の日本はこれでもかと異常なほど次々と災難が襲ってきます。こんな時の政治は本当に大変です。内輪もめなどしている場合でなく、野田さんに収まって今の意気込みを持続して、やがては国際的にも再び信用してもらいたいものです。

山がはげ山になったら、もっと小さい動物、例えば鳥類も住みかがなくなってしまうわけですね。

アフリカについては、増えすぎる象の話が出ていました。なぎ倒されて荒れ果てた場所も見てきたのですが、なるほど航空から把握なのですね。
そして殺す人をこのように確保して、殺した動物の解体、加工、食料にする、いい流れです。
こうした動物先進国に見習って早く手を打って欲しいですね。
どうもありがとうございました。

そちらも雨も止んできたそうで、被害がなくて良かったです。

投稿: tona | 2011年9月 4日 (日) 16:23

猪や鹿対策に狼の導入 参照 http://japan-wolf.org/content/faq/

投稿: 名無し | 2013年1月28日 (月) 09:41

★名無しさま

狼の導入はまだ実現されていないのですね。
サイトのご紹介ありがとうございました。
まだ全部読み終わっていませんが、とりあえず、お礼申し上げます。
生態系が壊れる原因には人為的なものが多く胸が痛みます。また壊れた挙句に連鎖でいろいろな生物も同じ運命に遭って絶滅していくのを食い止めようと力を尽くしている人々がいることに感動です。

投稿: tona | 2013年1月28日 (月) 16:45

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