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2011年10月15日 (土)

ソルジェニーツィン著『イワン・デニーソヴィチの一日』再読

断捨離で数年前多くの本を捨て、手元に残った本の1冊。3度目の読み直しだ。
ちなみに断捨離はヨガの「断業」「捨行」「離行」から取った言葉だそうだ。

ラーゲリでの生活の起床から寝に着くまでの1日を文庫本206頁にまとめ上げている。昭和55年発行なので字がかなり小さい。
食事の内容、仕事の内容、住んでいる所、外のマローズ、上下の関係などことごとくに過酷である。
今回読んで感じたのが、こんなに死にそうなほどの生活なのに、主人公の行動を通して、ラーゲリ生活がユーモアたっぷりに描かれているのです。
こんな状況下に生活していることを忘れさせ、楽しく読んでしまうのだ。
起床時に熱があって体が痛み医務室に出かけるも状況が厳しくて拒否され、それなのに1日楽しく働いて、最後の文章は
「ショーホフは、すっかり満ちたりた気持で眠りに落ちた。・・・・一日が、少しも憂うつなところのない、ほとんど幸せとさえいえる一日が過ぎ去ったのだ。こんな日が、彼の刑期のはじめから終わりまで。三千六百五十三日あった。閏年のために、三日のおまけがついたのだ・・・」
となるのだ。
こんな苦しい生活を楽しそうに、幸せに感じるこの心が、こんなにこの小説をユーモアあるものに仕立て上げているのか。
作者は自伝そのままの小説をたくさんものにした稀有な生涯を送ったノーベル賞作家で、残念ながら90歳で2008年に亡くなっている。栄養状態が悪い収容所や獄中生活が長くても立派に長生きされた。

            <9月末の狭山丘陵の湿地はすっかり秋の様相>

               ↓ツリフネソウ(ツリフネソウ科)の群生

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     ↓ミゾソバとオオミゾソバ(タデ科) 濃いピンクがオオミゾソバだそうだ。

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        ↓ガマ(ガマ科)の穂の綿毛が今にも飛びそう。初めてです。

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          ↓イシミカワ(タデ科)の実 初めてで感激。葉が三角形。

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        ↓エゴノキ(エゴノキ科)の実。あのきれいな花がこんな実に。

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                 ↓ガマズミ(スイカズラ科)の実

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コメント

今晩わ!外は雨が降っていてなぜかほっとさせられます。
ソルジェニツインの名前は知っていましたがこれまでも本は読んでいません。
しかし、収容所の生活を楽しむような様子と言うのは凄いことですね。
だからノーベル賞をもらったのでしょうか。

人間置かれた状況を受け止め、その中で前向きに生きていく。。。誰でもできないことですね。しかしやるしかないんですね。一方どんな状況でも青山ありということでしょうか。

それにしてもソ連の収容所生活は過酷できっと大変だったことでしょう。

大変に素晴らしい記事で感銘しました。

投稿: macchanny | 2011年10月15日 (土) 22:16

★macchannyさま、おはようございます。

ソ連の体制に踊らされて悲惨な目に遭いながらも、書く情熱だけは失わず、また出版もソ連では叶わず外国でと、平和な国の作家には考えられない悲惨な人生でした。
おっしゃるように置かれた状況を受け止め、前向きに、ユーモアさえ感じるくらいに生きる生き方、その方がからだにいいのですね。
私の叔父は終戦後かなりたってからソ連より引きあげてきましたが、聞いた話は人間の生活ではありませんでした。
ソ連内での政治犯などいろいろなことで収容された人々と変わりないと思います。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年10月16日 (日) 08:39

ソルジェニーツインの「収容所群島」など有名ですが
そういえば私も読んだことないです。
収容所関連の話はあまりにもむごくて…
十代の時、アウシュビッツの「夜と霧」を読んで眠れなかったものです。
北朝鮮の強制収容所にいた人の手記でいまだに覚えているのは
ゴキブリやネズミを食べるのは当たり前、
あまりにもひもじくて自分の排泄物の中から食べられる物を拾い出して食べたというくだりでした。
こういう書物は正直読みたくないのですが
ユーモアがあるのなら救われますね。

投稿: zooey | 2011年10月16日 (日) 15:41

★zooeyさま

あと「ガン病棟」「煉獄の中で」なども読みましたが何と言ってもこの本は全然深刻でないのです。
私も「夜と霧」3度も読みましたが、これは深刻ですね。頭に入れながら昨年アウシュビッツの見学をしました。
また私も、シベリアで自分の未消化のものを排泄物から拾って洗って食べた話が、映画になった人肉を食べた話よりもっとショックでした。
同じ状況にあったならプラス思考で生きるって、なんて素晴らしいのでしょうと教えられる1冊です。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年10月16日 (日) 19:09

30年前に「ガン病棟」を読みました。
読書会のテーマとして取り上げられたからです。
そんなことでもないと読まない本です。
何冊も読まれたとは・・・
すごいですね。
かなり長編ですし・・・
こういう作家を収容所に入れる体制が
共産主義の怖いところです。
国民は悲惨ですね。

投稿: matsubara | 2011年10月17日 (月) 09:09

この作家のものを読んだことがありません。
ぜひ読んでみます。ご紹介ありがとう。

投稿: 佐平次 | 2011年10月17日 (月) 10:53

こんにちは。
ノーベル賞作家というのに、ソルジェニーツインという作家も
『イワン・デニーソヴィチの一日』という著書も知らずにいました。
ラーゲリというと収容所での生活ぶりを小説にしたものでしょうか。
悲惨な生活でありながら、それをユーモアを持って生き乗り越える姿として
著わしているのですね。
収容所の生活の描写は、長編小説の中のいちぶとしてシベリアの収容所が
登場したのを2つほど読んだことがありますが、自分では生き残れそうにないと
思った覚えがあります。
この方は、10年も厳しい獄中生活をしながら前向きな生き方やユーモアを失わず、
小説にもし長生きもされたのですね。
その人その人の生き方や生きる姿勢がどれほど大切かと感じさせられました。

秋らしい植物たちも楽しませていただきました。
ミゾソバにはオオミゾソバというのもあるのですか。初めてです。
オオとつくからにはミゾソバより大きいのでしょうね。
イシミカワの綺麗な実もご覧になったのですね。会ってみたいと思いつつ
まだ縁のない植物です。
妙に気温の高い日もあったりしますが、秋は着々と進んでいるようですね。

投稿: ポージィ | 2011年10月17日 (月) 11:06

★matsubaraさま、ありがとうございます。

私もこの作家のを読んだのはそのくらい前です。
スターリン体制で随分多くの人が収容所に入れられ悲惨な生活を送ったソ連。この作家によって貴重な記録が小説として残されました。
何れも「イワン・デニーソヴィッチの一日」同様、悲惨さが強調されていないのがこの作家の傾向ですね。あまりに悲惨ですと読めなくなります。
日本は本当に良かったです。

投稿: tona | 2011年10月17日 (月) 19:02

★佐平次さま、ありがとうございます。

たった一日、されど長い一日がイワンにとって楽しく短い一日だったようです。
佐平次さんならすぐ読めてしまいます。

投稿: tona | 2011年10月17日 (月) 19:04

★ポージィさま、お帰りなさい。

日本人の悲惨なシベリア抑留生活と殆ど同じようなソ連の人々の収容所生活です。
私なら1週間で死にそうな厳しさですが、何だか美味しいものを食べ楽しく仕事をして幸福感に満ち溢れています。ただ食べものはとてもひどいのですが。
観点、視点、心の持ち方でこんな風にラーゲリ生活が描けるものなのですね。
実際にアウシュビッツでもそうでしょうが、その人の生き方、考え方で、ある人は長く持ちこたえ、ある人は気が狂ってしまうという大きな差が出ます。
私はこれも後者でしょう。本当に軟弱そのものです。

オオミゾソバは色が濃いだけでなく、ほんの少し大きいような気がします。私も初めて知りました。
イシミカワはいろいろな方のサイトなどで見ていて、是非会いたい実の1つでした。
色がヤマブドウとはまた違った色ですね。
明日は例年より早く札幌に雪が降るかもしれないそうで、冬が早く来そうな今年ですが、秋をまだまだ満喫したいです。

投稿: tona | 2011年10月17日 (月) 19:20

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