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2011年11月26日 (土)

アルプスの画家・セガンティーニ展 -光と山ー

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Photo_2 Photo_3ハプスブルグ領(現在のイタリア北部)生まれのイタリア人画家であるけれど、ミラノからスイス国境北部コモ湖畔へ、そしてスイスのアルプスへと移住してアルプスの山々を描いた画家。
その風景画はこれまでにない画法:色彩分割という方法で描かれる。チラシ表紙「アルプスの真昼」がまさにその画法で、色を重ねたり塗り合わせるのでなく、細い線を平行に並べたような感じで、至近距離では縞や筋に見えるが、距離を置くと混じり合って溶け込むように見える。不思議!
空気の薄い高山の明瞭な輪郭を(印象派の画法では描くことが出来ない)、この画法で描くことに成功し、山の強い紫外線を明るく見事にキャンバスに載せた。
この「アルプスの真昼」は2点あって、1991年に描かれたのが娘が真っすぐに立っている、スイスのセガンティーニ美術館のもの。もう一点が1992年の娘が白樺に寄りかかっている大原美術館のものです。後者をこの春、大原美術館で見てその光の中に輝く娘と景色にものすごく感動した作品です。

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初期の作品は暗くはっきりわからないほど。それがアルプスへ移住後はこの延長上の暗い作品とともに、明るいアルプスの山や牛や羊や人々が描かれる。
短い41年の生涯には、肖像画やいろいろな印象的な絵が今回の展覧会に網羅されていて、50点余の小規模な展示であるけれども、十分見ごたえがあります。ちらし裏面の左側上「生の天使」下「虚栄」のような不思議な絵もあってセガンティーニの悲しい生い立ちが迫ってくる絵です。

「アルプス」の真昼とともに大好きな「湖上を渡るアヴェマリア」や「アルプス3部作 生―自然ー死」は門外不出でしょうか、来なかったのが残念です。サン・モリッツのセガンティーニ美術館前には散歩で2回も行っているのですが。

昨年秋に剪定したコエビソウがもじゃもじゃに大きくなったので、花を切って花瓶に挿したのですが、きれいに花瓶に落ち着いてくれませんでした。

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来週は京都の修学院離宮や仙洞御所に行ってきます。

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コメント

こんにちは。
セガンティーニの画法の特徴、勉強になりました。お写真を拡大して見ると
ご説明にある、幾重にも重なる筋が分かります。
舟にヒツジ満載の絵の方は同心円を描くように筋が描かれていますね。
緻密に描かれているのですね。点描画ならぬ線描画??
腕を伸ばしただけの距離では自分がどんな画を描けているのかわからなく
なりそうですが、何度も離れて見ては確認して描いたのか、そうせずとも
頭の中でちゃんとどう見えているか分かっていたのか、不思議に思います。

コエビソウ元気いっぱいなのですね!うちの全く元気なしだった鉢植えを
見てきていたのであまりの違いにびっくりしました。
花瓶に活けられたの、あっち向いたりこっち向いたりの、この自由さが
いいと思います。

投稿: ポージィ | 2011年11月26日 (土) 16:57

セガンティーニの名前は初めて知りました。大変有名な方なんですね。
アルプスに魅せられて書いた絵、素晴らしいですね。でも若くして亡くなったことがまた絵の素晴らしさを表現しているのでしょうか。

絵に物語があるんですね。独自の画法を使って、、生の絵に触れてみたいものです。
大原美術館に行けば会えますかね。

それにしてもアルプスの生活は夢の世界ですが実際は雪も多く大変厳しいことがわかります。
いつか鑑賞することがあるかもしれません。
記憶しておきます。
有難うございました。

投稿: macchanny | 2011年11月26日 (土) 19:29

★ポージィさま

こんばんは。

本当に、スーラやシニャックやピサロたちの点描画と違って線描画ですね!
「湖上を渡るアヴェマリア」、なるほど同心円を描くように描かれていて、それが美しい水面を表して、「晩鐘」のような宗教的な深さを醸し出しているように感じます。
線の集まりがこんな美しい絵になるなんて、描く人の頭の中にどう見えていたか、ポージィさんじゃありませんが不思議です。

コエビソウですが、昨年60cmくらいあったのを、思い切って10cmくらいにまで切って越冬させたら、春から凄い勢いでまたまた背が高くなって、たくさんの花を付けたというわけです。霜が降りたので家の中に移動しました。
こんな活け方でも良いとおっしゃっていただいて安心しました。ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年11月26日 (土) 20:24

★macchannyさま

アルプスを愛するあまり、イタリアでもアルプスが見える農村に移り、遂にスイスへ、そしてスイスでもだんだん標高の高い所へ何度も引っ越しをして、最期を迎えたのが山の頂上の小屋で三部作を描いている時だったそうです。
美しいアルプスをこんな素晴らしい形で描いて残してくれた画家が1人でもいてくれたことが嬉しいです。

今月で日本でのセガンティーニ展は終わるので、大原美術館へは来年になると帰るでしょうね。ついでがありましたら、是非ご覧ください。
おっしゃるようにアルプスの生活は夏に行って素敵と言うのはほんのわずかな時だけ、特に冬はとても大変だと思います。
酪農も大変な仕事ですものね。
忍耐強いスイスは傭兵として出稼ぎを続けることも相まって、今は世界で最も1人1人が豊かだそうで、基盤がもろそうな日本も見習う点は多くありそうです。無駄をしない国民のスイスに日本の政治家も見習ってほしいと思います。こちらこそありがとうございました。

投稿: tona | 2011年11月26日 (土) 20:39

「湖上を渡るアヴェマリア」は有名なので知っていましたが
セガンティーニが悲しい生い立ちの人だとは知りませんでした。
Wikiで見て納得しました。
幼少期に母親を失くしたり、父親にも捨てられたりと随分孤独のうちに育ったのですね。
それを知って観ると
絵も違って見えるような気がします。

投稿: zooey | 2011年11月26日 (土) 23:35

★zooeyさま

そうなのですね。
ここまで苦しい子ども時代を送っていた人だったとは。
でもよき伴侶を得て4人の子供も生まれ、家もそこそこ大きな家に住むようになって、絵も金賞を数回獲得し、軌道に乗ったのですね。
残された手紙を見ると金銭面でしっかりと頂こうとする姿勢が垣間見えて、幼い時の飢えに基づいているのかと思ったりしました。
「生の天使」は母親を美化した絵でしょうか。

投稿: tona | 2011年11月27日 (日) 08:26

46年前に倉敷の大原美術館でセガンティーニを
見たことを思い出しました。
絵葉書も古くなってどこかにいってしまいました。
最近また話題になることが多く、また似た風景を
ヨーロッパで見ることもあり忘れていた
画家を思い出します。

投稿: matsubara | 2011年11月27日 (日) 12:25

★matsbaraさま

もうそんなに早くに大原美術館でセガンティーニを御覧になっていらしたのですね!
私はBSでたくさん放映されるようになってからですから、10年はたってないです。
生い立ちが画家の中でもとても悲惨で、そういったことを考えて見ますとわかるようなこともありますね。
またヨーロッパでもスイスで見そこないましたし、他でもまだ見たことがなかったので、良い展覧会でした。

投稿: tona | 2011年11月27日 (日) 16:05

スイス人の傭兵の話は初めて聞きました。
スイスに世界から観光客が来る前の事ですかね。
アルプスのハイジ物語が世界中に観光の魅力を売り込んだのでしょう。
きっとこの作品もそうでしょう。
東方見聞録にイタリアの学生が魅せられたように文化、芸術の発信が国の価値を高めるのですね。
しかしスイスに住むのは大変でしょう。
私は暖かい国が好きですが。

投稿: macchanny | 2011年11月27日 (日) 18:56

★macchannyさま

再訪ありがとうございます。
スイスの傭兵が今1つだけ残っているのが、バチカン市国の衛兵だそうです。
スイスの観光は徹底していますね。
日本だったら日本アルプスの頂上には登山なくして登れません。スイスは有名な高い山のほぼ頂上まで電車を通し、あるいはエレベーターやロープウェイで行かれるようにして高齢者でさえ、美しいアルプスの上から見られるのですね。そしてトレッキングやハイキングコースをたくさん作って美しいお花畑を観賞できるようにしています。
ハイジの里は日本人に人気で小屋が再現されています。その恵まれた環境を上手に使って観光立国になっていったことは、凄いことですね。
私も寒い国は苦手、暑いのもです。日本の夏は辛いけれども日本が1番です。

投稿: tona | 2011年11月27日 (日) 20:13

 色彩分割という画方は初めて知りました。
 前から不思議と明るい絵を描く人だ、とは思っていましたが、空気が薄いところの独特の光線を表現するとはすごいですね。
 アルプスをはじめ、実際によく高山に行かれるtonaさんからすると、この人の絵は、また格別なのではないでしょうか。

 それにしても、この前のヴェネチア展といい、tonaさんにぴったりな、タイムリーな展覧会が続きますね。

投稿: Nora | 2011年12月 1日 (木) 14:43

コエビソウ>綺麗ですが、花瓶では整いませんね~
もっと低い花瓶では・・・とも

でも、これで良いのではないでしょうか
人間が勝手に流儀を決めていじくるよりも・・・happy01

投稿: OB神戸家 | 2011年12月 1日 (木) 15:19

★Noraさま

色彩分割を編み出したセガンティーニという画家を改めて敬服した次第です。
大原美術館で初めて見た時の印象が凄かったので、今回はすぐ出かけてみました。
そうしたらこんな秘密があったわけです。
実際にスイスのアルプスを見た印象からすると、おぉ凄い!です。

お陰さまで東京はいろいろな展覧会があって、有難いですね。
あまりにいろいろありまして気がつかなかったり見逃したりです。
Noraさんのところで、こんなのがあったのと時々びっくりしたりしています。

投稿: tona | 2011年12月 1日 (木) 21:19

★OB神戸家さま

こんばんは。
おぉ。確かに花瓶が高いですね。

>人間が勝手に流儀を決めていじくるよりも・・
素敵なお言葉です!とても気に入ってしまいました。ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年12月 1日 (木) 21:21

すっかりご無沙汰しました。「イタリア・ルネッサンス芸術と古都を巡る
(1)、(2)、(3)、新宿御苑、武甲山、ヴェネツィア展などまとめて拝見しました。いろいろな方のブログを拝見しても、tonaさんのような内容の濃いブログは他には見当たらないですね。
内容もさることながら、疲れを知らない精力的な行動力に驚いています。一寸真似できないです。いろいろ勉強になります。

投稿: 茂彦 | 2011年12月 3日 (土) 20:59

★茂彦さま

こんばんは。
お忙しくていろいろなことをされていらっしゃる茂彦さんこそ凄いです。
とても真似できません。
パソコンを使いこなせないことが悲しいです。

丁寧に読んでいただいて嬉しいです。
この頃時々腰や背中などが痛んで弱気になることがあります。
毎日精一杯生きないと後悔することになるでしょうね。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2011年12月 3日 (土) 21:47

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