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2011年11月 8日 (火)

イタリア・ルネサンス芸術と古都を巡る(2)パドヴァ、ラヴェンナ、フィレンツェ、ピサ

Photo_2 今回も元気な人に出会いました。
昭和8年生まれの男性。ヨーロッパは今年の春が初めての南イタリアと、今回のイタリアで2回目。過去44回はアフリカや中南米、アジア、中近東や太平洋の島々など秘境で大変な所ばかり、そしてこの年(78歳?)でやっと楽なヨーロッパというわけです。
旅行中は殆どを腕まくりしたワイシャツ1枚で、真冬でも靴下を履かないそうですが草履という出で立ち、夕ご飯には着物姿で現れます。病気をしたことがないようです。
驚いたのが列車での移動の時、置きどころのない数人の20kg近くもあるスーツケースを上の荷物棚へ上げおろしをして下さったことです。
年に200本の映画を観に行くそうで、旅行中も我々が寝ている時間にテレビで映画を観ていたとか。俳優の名前や内容がすらすら出てきて、ど忘れが全然ないのも驚き。この後行ったローマの「システィーナ礼拝堂」が映画「イングリッシュ・ペイシェント」に出てくるとか。覚えてない。

パドヴァ> ガリレオ・ガリレイが教鞭をとり、コペルニクスやダンテが学んだ街。

↓スクロヴェーニ礼拝堂
ここでジョットの最高傑作の1つ「聖母マリアとキリストの生涯」の壁画を見ました。
ジョット(1267-1337)はイタリア絵画の創始者チマブーエの弟子で、ゴシック絵画最大の巨匠で、後のルネサンス期の画家たちに多大な影響を与えた画家。
星を散りばめたような天井とフレスコ画38枚は15分の鑑賞時間では足りなくて、出るときは後ろ髪(あまりないけれども)を惹かれるようでした。

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ラヴェンナ> 
5世紀初めの西ローマ帝国、6世紀にかけての東ゴート王国の首都で、その後ビザンチン帝国の支配下に、さらに異民族やヴェネチアの支配下に置かれた街。 
ビザンチン芸術、モザイク画で抜きん出ているとNHK特集で以前放映されていました。
小さなガラス、石、タイルなどを貼り合わせて作るモザイクは最初は装飾品や床だったのが、4世紀末ごろからキリスト教のモザイク装飾に変わり、東ローマ帝国の時代に、首都コンスタンティノポリスやここラヴェンナ、そしてシチリア島、ヴェネチアで花開いた。ラヴェンナは「モザイクの首都」とも呼ばれたそうだ。
ダンテが『神曲』で「色彩のシンフォニー」と褒めちぎったラヴェンナ。気の遠くなるような作業に思いを馳せてしまう芸術の1つです。

↓サンタポリナーレ・イン・クラッセ教会 6世紀半ば建立で、祭壇の上のモザイクが圧巻で、色遣いが素晴らしい。

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↓サン・ヴィターレ教会(6世紀)外観はくすんでいるが、内部はまばゆばかりのモザイクの饗宴。
なかでもビザンチン芸術の精華とされ有名なのが、皇帝ユスティニアヌスが宮廷人を従えた図と同じく配下を従えた皇妃テオドラを描いた一対のモザイク画だ。
テオドラは貧しい踊り子から皇后までのし上がり、夫の助言者として国政に関与し、ものすごく肝っ玉のすわった人としても有名で逸話が残されています。

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↓ガッラ・プラチーディアの霊廟
ホノリウス帝の異母妹のガッラ・プラチーディアが建てた。5世紀半ば完成したラヴェンナ最古のもの。

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フィレンツェ
メディチ家の支配下でルネサンスが開花されたトスカーナ地方の花の都。花がいっぱいではなく、花の女神の意味です。フィレンツェ共和国がメディチが敗れ去った後滅び、再びメディチが16世紀中期から18世紀前半までトスカーナ大公国を統治。その後芸術の中心がローマに取って変わられたというわけです。
まさにルネサンス芸術の宝庫で午前中に予約で入ったのがサン・マルコ美術館にウフィツィ美術館、ヴァザーリの回廊です。

サン・マルコ美術館 14世紀創建のドミニコ派修道院。修道僧フラ・アンジェリコの『受胎告知』が有名。各僧房は弟子たちのフレスコ画や板絵で彩られる。

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ウフィツィ美術館 ルネサンス絵画の美の宝庫
チマブエ、ジョット、フラ・アンジェリコ、フィリッポ・リッピ、フランチェスカ、
ボティチェリ『ヴィーナスの誕生』『春』、ダ・ヴィンチ『受胎告知』、ミケランジェロ『聖家族』、ラファエロ『ヒワの聖母』、ティツィアーノ『フローラ』『ウルビーノのヴィーナス』、カラヴァッジョ『バッカス』などを鑑賞

ヴァザーリの回廊 ウフィツィ美術館からヴェッキオ橋へつながり対岸のピッティ宮殿までつながっている長さ1㎞の回廊.。メディチ家の人々の秘密の回廊。コジモ1世がヴァザーリに命じて造らせた。肖像画コレクションが展示されている。
↓回廊の窓からヴェッキオ橋が見えました。建物上方の窓は回廊の窓。

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           ↓ヴェッキオ橋の上の回廊からアルノ川を眺める

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             ↓橋にある貴金属の店も回廊から見えました

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ドゥオモの正式名称「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」は白、ピンク、深緑の大理石を幾何学的に組み合わせた外壁が美しい。イタリアは代理石が古来たくさん採掘されるので外壁や床など装飾の美しい教会や像が多い。
          ↓サン・ジョヴァンニ洗礼堂とドゥオモとジョットの鐘楼

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↓洗礼堂・ギベルティの東門の門扉、ミケランジェロが「天国の門」と絶賛したという。本来は金色なのに10円玉色になってしまった。

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ピッティ宮殿内のパラティーナ美術館ではたくさんの名画があった中でラファエロの『椅子の聖母』を見ることができました。『大公の聖母』は貸し出し中で残念。
そういえば、オランダのマウリッツハイス美術館のフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』は来年6月末から再来年1月まで日本に来るために、美術館に行っても貸し出し中の札がぶら下がっているのですね。

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会 ドミニコ派の聖堂で白と緑の幾何学模様が美しいフィレンツェ・ゴシックの代表建築。
マザッチョ『三位一体』ギルランダイオ『マリアと聖ヨハネ』など名画をたくさん鑑賞できました。

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追記:今塩野七生著『三つの都の物語』を読んでいたら、主人公がフィレンツェ郊外の聖ミケーレ修道院に泊まっときの話が書いてありました。修道僧に水にたらした良い香りを問うたら、「サンタ・マリア・ノヴェッラの僧院で昔からつくっているイリス(あやめ)の花からとる香料です。イリスの花は長い間フィレンツェ共和国の紋章になっていましたが、今(フィレンツェ大公国)ではイリスに代わって、六つの球のメディチ家の紋章ほうが眼につきますが」と。実はこの教会を見た後、この教会が経営するファーマシィ(薬局)に行ったのですが、今も続いていて薬の他、香水、化粧品などさまざまなものを作って売っていたのです。重層な構えの行く部屋も続くお店の中は人で溢れていたのに驚き、皆は何を買っているのか不思議な面持ちでした。今もこの香水を売っているのでしょうか。

                     ↓お店の中

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ピサ
フィレンツェを流れるアルノ川の河口に位置する古代ローマの軍港で中世にはヴェネチア、ジェノヴァ、アマルフィと肩を並べる海運都市であった。斜塔は1993年に5.4mの傾きだったのが現在は4.1mに修正された。
↓ドゥオモと斜塔と洗礼堂 緑とベージュの大理石が美しい。

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コメント

昭和8年生まれの男性、
素晴らしいですねえ!
私は若い頃一番多い時で、映画は年に100本くらいでした。
毎週1回映画館に行き、かつテレビかビデオでもう1本観てそのくらいの数になります。
今はもっと減りましたが…
「イングリッシュ・ペイシェント」の「システィーナ礼拝堂」は覚えてましたよ!
結構印象的なシーンでしたので。
パドヴァ、ラヴェンナは行ったことありませんので、興味深く拝見しました。

投稿: zooey | 2011年11月 8日 (火) 17:06

★zooeyさま

おぉ!zooeyさまも若い頃は凄かったのですね!映画館に週1回、TV・ビデオで1本で100本とは。
それにこの方と同じく記憶力も凄いですね。
「イングリッシュ・ペイシェント」に「システィーナ礼拝堂」がやはり出ていたのですね。忘れているので私は相槌が打てませんでした。
映画を本当に愛する人は違うなあと感じた旅でもありました。

パドヴァ、ラヴェンナはただこれだけでしたが、素敵でしたよ。

投稿: tona | 2011年11月 8日 (火) 19:42

↑すごいの一語に尽きます。100本とは・・・

3年前のミラノのドゥオーモと、ピサの斜塔
ウフィッツイ美術館など思い出しています。

イタリアは奥が深いですね。

昭和8年とは・・・
類は友を呼ぶということですね。
そのような人とは会ったことがありません。

投稿: matsubara | 2011年11月 8日 (火) 21:35

★matsubaraさま

今でも100本くらいご覧になっていらっしゃるのではと思うくらいですね。新作の映画の感想もたくさん書いておられますもの。

いらしたのは3年前だったのですね。
11年前とも景色は何も変わっていなかったです。
本当に何度行ってもいいくらい奥が深くて圧倒されました。

外国の旅を多くされる方は強い方ばかりです。東トルコでは125ヶ国を回ったという男性がとても元気でした。
私は欧州がどうやら元気に歩ける所で、秘境はとても無理だということがわかりました。

投稿: tona | 2011年11月 8日 (火) 22:47

昭和8年生まれ…義母よりひとつ上で義父より3つ下ですが、
その逞しき行動力、元気さ、かなり違います。びっくり!
海外旅行の回数の多さにも年間に鑑賞する映画の多さにも記憶力にも。
健康や元気ももちろんですが、お金も時間もどうやって捻出しているの?と
ついついそちらも気になってしまいました。ウラヤマシイ(^^)

tonaさんが回られたところを拝見すると、すべてが芸術たちに埋め尽くされて
いるという印象です。
美しいモザイクもちょっと工程を想像しただけでも気が遠くなりそうですが、
それをこんな大きな物を作ったとはどんなに大変だったことか。
昔の職人さんたちの根気と情熱もしのばれます。
現代の芸術は何世紀か後まで、どれくらいのものがどのように
残っていられるでしょうね。

投稿: ポージィ | 2011年11月 9日 (水) 09:46

写真を眺めて文章をなぞっていくだけでも頭がパンクしそうです。
私の場合、脳から老化が進んでいるのかも・・・

この膨大な作品群(建物も含めて)を一体どのくらいかけて見て回られたのでしょう。

ツアーに参加するにも気力・知力・体力が必要なことがよく判ります。

投稿: もみじ | 2011年11月 9日 (水) 10:10

★ポ―ジィさま

ありがとうございます。
凄い力持ちですが、腰が大丈夫かと心配になりました。全然平気で精力的に走り回っているという感じの方でした。
本当に若い頃の時間とそれなりのお金をどのようにして作ったか?誰でも聞きたくなってしまいます。

今回はツアーのタイトル通り芸術三昧で絵の方だけ(建築、彫刻はいまいちです)少し勉強になりました。同行の人に藤沢のカルチャセンターでずっとルネサンスのことを勉強し続けている方がいらして、その方にピッティ宮殿の美術館を案内してもらいました。
有名な人の絵は全部知っていました。

ピラミッドや万里の長城などにもどれだけ沢山の人がかかわったか想像できないほどですが、モザイクも想像も出来ません。
ポージィさんの疑問、そう言われてみますと何千年単位というのは考えられませんね。

投稿: tona | 2011年11月 9日 (水) 16:04

★もみじさま

いえいえとんでもありません。老化なんてそんなことないですよ。私はひどいですが。帰ってきた段階でかなり忘れていました。
ここまで見学は4日半です。
ツアーは10日間ですが、実際は7日半でした。(普通は7日間ですが)
移動時間があまり長くないので随分欲張っていますね。
なるほど気力・知力・体力ですね。良いことを教えていただいてありがとうございました。

投稿: tona | 2011年11月 9日 (水) 16:28

78歳の男性のことは凄いですね。学びたいことが多いです。
評論家の三宅さんが政局についてTVでしゃべっていますが年はとっても凄いなと思います。

この方はいわば50歳位の気力としなやかさを感じます。
日々色々と気をつけられて努力しているのでしょうか。一朝一夕には出来ることではありません。

tona様が毎日1つでも新しい事を知ることができれば幸せという探究心のなせることなのでしょうかと思います。

それに付けて自分の適当さを痛感させられます。頑張ろうとすると今度は根が続かなかったりして。。。

しかしそういう人がいるということはためになります。実在の人ですから説得力があります。

大変に素晴らしいお話です。
有難うございました。

投稿: macchanny | 2011年11月 9日 (水) 18:38

★macchannyさま

評論家の三宅さんのことは全く知りませんでした。また新しく人を知りました。本当にそういった意味で常識がないので日々勉強させていただいています。
今回お会いした方、確かに50代の若さですね。
異常ともいえるくらい熱中するものがこの方にあるから、これが元気の源の1つでしょうね。

macchannyさまは新しいことを通って勉強されていて、なかなか出来ないことです。誰にもなかなか出来ないことと尊敬しております。時には大変でスランプに落ちることもありましょうが、そんなことみじんも感じさせないで作品を仕上げていらっしゃいますね。凄いです。
こちらこそありがとうございました。

投稿: tona | 2011年11月 9日 (水) 20:54

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