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2011年12月28日 (水)

高野秀行著『イスラム飲酒紀行』と「ロートレック展」

著者は辺境作家だそうです。
お酒が飲めないイスラム国家に行って、えげつないあるいは意地汚いと言ってよいほどの行動力で、売ってないお酒を求めて駆けずり回るという、大酒飲みでない人種としては理解しがたい行動を記しています。
ある時はホームレス状態になりながら、ある時はとんでもない奥地まで悲惨ともいえる手段でお酒を求めて入りこんでいく。飲める国で安穏として飲んでいたらいいのに、何をそこまで同行の人をも迷惑を顧みず自分の都合で動き回るのか、実に変わった酒飲みです。

読み進むうちにわかったことは、本当にお酒が好きで、酒を生きる糧にしていること、もう1つはワイワイ酒好きとお酒を飲む雰囲気を凄く愛しているということです。
まあ、普通の人に理解しがたい情熱の塊ですね。飲んで夜毎に濃密な幸せな時間を持つために、あえて禁酒の地に足を運び、様々な手を使って、命の危険まで冒して酒にありつくという、男性にしかあり得ない話でしょう。
体にいいからちょっと飲むのでなく、美味しくて楽しく飲めるのも羨ましく、何か人生で損をした気分にさせられた本でありました。

Photo_2 しかし、この著書には関係ないですが、お酒にはアルコール中毒という悲劇も共存します。本人のみならず家族、社会にまで悲劇を及ぼすアル中や薬物中毒は根絶することはないようです。
先日観に行った「ロートレック展」でのロートレックもアルコールで命を落としたのでした。ユトリロもアル中でした。
映画では『酒とバラの日々』『失われた週末』『熱いトタン屋根の猫』など思い出されます。

体にハンディを持ったロートレックは映画『赤い風車』でも実に悲しい場面の連続でした。
ダンスホールや酒場で夜の娼婦や踊り子を描き、「ムーラン・ルージュ」などのリトグラフによるポスターを描いてポスターを芸術の域まで高めたのです。
三菱一号館美術館は多くのロートレック作品を所蔵し、フランスのロートレック美術館と姉妹館でもあります。今回の展覧会にはたくさんの有名なポスターが展示され見応えがあります。

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コメント

年末に家事を忘れて読書とロートレックとは
尊敬します。
日頃掃除されていると年末にあわてなくても
いいのですね。
手抜きのツケが今来ています。

ロートレックがアル中であったことは中学生
の時、友人から教えられて子供ながらショックでした。
アル中が世界的な画家になったことが驚きで
ありました。
私も昨年三菱一号館で見たような・・・
あちこちで見ていますので混乱します。

投稿: matsubara | 2011年12月28日 (水) 18:54

★matsubaraさま

昨日友人に電話した時に話題の一つが、今年は掃除をさぼっているというものでした。
暮れにもかかわらず例年になく寒くて、とてもお掃除ができるような状態でなく、70歳になったら途端に年を感じてしまったわねということでした。ということでさぼったのです。ガラス拭きだけ少し暖かいうちにやっておいてよかったです。
matsubaraさまのお屋敷は家もお庭も広くて本当に大変ですね。

映画で観たロートレックは切なくて気の毒で泣けました。苦しかったでしょうね。アルコールに依存しても仕方ないです。酔っている間だけ忘れますものね。
matsubaraさまも三菱一号館美術館にいらしているのですね。住んでいる人よりよくご覧になっていらっしゃいます。
コメントありがとうございました。

投稿: tona | 2011年12月28日 (水) 19:28

楽しそうな本ですね。
私もお酒が飲めないので
随分損をしているように感じます。
こればっかりは仕方ないのですけどね。

ロートレックは伯爵家に生まれたのに
150センチほどしかなくて
プライドの高い彼はどんなにつらかったでしょうね。
彼の人生を覗き見ると
アルコールに溺れても仕方ないかと…

投稿: zooey | 2011年12月29日 (木) 11:52

ああ、私もアル中の一歩手前かもしれない。
ダメと言われるとむきになる^^。

投稿: 佐平次 | 2011年12月29日 (木) 14:09

★zooeyさま

お酒に関する本は殆ど読んでいませんで、お酒が好きな人の本音を覗いた気分です。
まあ、zooeyさまは飲めないたちなのですか。

ロートレックは身体的欠陥によって、気に入った娼婦にも結局は相手にされなくて傷ついていったのを映画で観たのですが、どんなにつらい体験であったか、心の痛みに同情したものです。ゴッホの狂気やモジリアーニ夫妻のどん底生活もまた悲しかったけれども、アルコールに溺れる苦しみはどんなだったでしょう。
でも作品がこんなに人々に愛されて良かったと思います。

投稿: tona | 2011年12月29日 (木) 16:43

★佐平次さま

アル中の一歩手前ならno-problemですよ。
美味しくて楽しいということがよくわかりました。
お子様たちにダメと言われると悲しいですね。
お体に差し障りない程度に愉しんでくださいね。

投稿: tona | 2011年12月29日 (木) 16:48

アルコール中毒の話は凄いですね。
知合いにアルコールが好きで、強い人がいます。五島の人は強かったですね。幼稚園の時から飲んでいたと言っていましたよ。
それに高知県の人も強かったすね。
美味しい酒と肴があるんですね。
家系・DNAの問題があるようですね。人によりアルコールを受け付ける体とそうでない体とあるのでしょうがこれだけはどうしょうもありません。

私はというと酒量はそこそこでどちらかと言うと弱い方です。その上、最近は無理をしないように自重しています。(酒をあまり飲まないようにとの父親の遺言あり)

ところでイスラム飲酒紀行の作者はどんな人でしょうか。単なるアルコール中毒でしょうか。
色んな経験をしているみたいで、会って話をしてみたい気もしますが。。辞めときます。

投稿: macchanny | 2011年12月29日 (木) 19:01

★macchannyさま

おぉ!知人の方、幼稚園のときから飲酒ですか。外国の子どもがワインを飲むようなものですね。
日本人は弱いけれども、その方は特別な体質ですね。
知人に高知出身の女性がいますが、秋田県同様に凄くお酒にみなさん強いです。
そうですか。美味しい酒の肴があるわけですね。その点東京は何でもありながら、飛びきり新鮮な魚介があるわけでなく、雑多な感じの都市です。
お酒に飲まれないようにとお父様が遺言されたそうで、何よりの遺言ですね。夜出歩かないので、酔っ払いに遭遇しませんが、昔より減ったのでしょう。

高野秀行さんは早稲田の探検部所属だったそうで、この部は逸材を多く出しているようで、けた外れの方がいます。この方は作家で、大学で教えたこともあり、また酒好きな肝っ玉の太い作家の奥さんもいて、夫婦、姉夫婦とも活躍していますが、本人曰く、アルコール中毒ではないそうです。本当にいろいろな方がいらっしゃるものですね。
コメントありがとうございました。

投稿: tona | 2011年12月30日 (金) 09:29

そうですか。それなら是非会ってみたいと言う気になりました。はい!

投稿: macchanny | 2011年12月30日 (金) 09:51

今年も明日で終わりの大晦日
来年こそ良い年になります様、祈りながら新年を迎えましょう
来年もよろしくです~

投稿: OB神戸家 | 2011年12月30日 (金) 10:52

★macchannyさま

そうですか。良かった!
再度コメントありがとうございます。

投稿: tona | 2011年12月30日 (金) 18:24

★OB神戸家さま

今年も楽しいコメントを頂いて嬉しかったです。ありがとうございました。
山男として山の大先輩でいらして、思い出しながら登ったこともありました。
また来年もよろしくお願いいたします。

投稿: tona | 2011年12月30日 (金) 18:28

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