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2012年3月18日 (日)

映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

Photo_2 西欧初の女性首相、11年の長期政権を樹立し、鉄の女と呼ばれたマーガレット・サッチャーの栄光と挫折を描いた映画。
メリル・ストリープが本年度アカデミー賞主演女優賞を受賞して、その受賞時のスピーチも有名になったということで、初日の初回で観ました。

のっけから、ちょっと侘しい感じの老女(メリル・ストリープだとわからない)がスーパーで牛乳を買うシーンが展開する。
老女の帰り着く部屋は雑然としている。認知症にかかっている老女は、現れたり消えたりする夫の幻と会話をしている。
時々娘が現れていろいろ世話を焼き、娘に「お父さんはもういないのよ」と言われ我にかえったりする。そんなとき夫の遺品を必死に整理しようとしている。
「こんな仕事一筋の私はあなたに何もしてあげたなかったけど、あなたはどう思っていたのでしょうね」などと回想にも耽る。南アフリカにいる息子のこともしきりに思ったりする。

こうした映像の間に若い頃から首相退任までの頃にフラッシュバックする。
雑貨商の家の娘時代、学生時代(化学専攻)、そして実業家デニスと出会い結婚する。このときデニスに「私は家事育児などに専念するだけで人生を終わるのはいや」ときっぱり言いきったが、「デニスはそんな貴方がいい」と言って生涯彼女を支えることになる。しかしデニスも子どもたちも寂しさに苦しい日を過ごすことになるのだが。
市長をしていた父親の影響を受けて政界への道を踏み出すマーガレットはまず下員議員当選を果たす。
保守的な国、女性差別、階級制度があるイギリスにおいて、商人出身の彼女が政治の中枢に上って行くのはいかに大変な苦労があった事でしょう。
遂に首相になったときも、イギリス病を患っていた国内の様子はデモやストや失業者で溢れ、今の日本からは想像もつかないひどい状態だ。彼女の内外の批判をものともせずの強硬策でイギリス経済を立て直し、又フォークランド紛争では多くの犠牲者を出しながらも勝利する。
まさに鉄の女さながらの奮闘ぶり。しかし次第にこの強硬さによって首相の座を奪われることになっていく。

メリル・ストリープのサッチャーに似せたメークだけでなく、服装、髪形、音程を下げた話し方、物腰などそっくりの演技は、これまでの彼女の演技暦をまた塗り替えたような感がある。
あんな鉄の女と言われた人が、まさか認知症になるとは!
男と違っていろいろ差別などハンディと闘って勤めた政界人生と引退後の生活との、もの凄いギャップがそうさせたのか?わからないけれども、1人の偉人のたそがれが寂しく映った映画でした。
ただ若い頃のサッチャーを演じた女優さんは可憐で、とても後のサッチャーを感じさせるものがなかったが、実際もそうだったのでしょうか。

サイトのメリル・ストリープへのインタビューで知られざるサッチャーの一面が多く紹介されて興味深いです。

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コメント

鉄の女、見て来られたのですね。
本当にサッチャーさんにそっくりでビックリしますよね。
しかも、私が思うにメリル・ストリープさんって
性格的にすごく可愛らしい女性の様に思えます。
話題の映画ですよね。
私も見てみたいですけど、若松市にたった一軒の映画館。
ここでやってるのかどうか…不明です^^;

投稿: pochiko | 2012年3月18日 (日) 23:51

★pochikoさま

顔は違うのにそっくりのメークや演技にびっくりです。
メリル・ストリープさんは日本にいらしてのインタビューでもユーモアたっぷりでおっしゃるようです。私生活も安定していますね。
昔「クレーマー・クレーマー」の若くちょっと冷たく清楚なこと、「マジソン郡の橋」では体重を増やすなど、その人物になりきるので、今度も期待しました。期待どおりです。
若松市には良き古き時代の映画館が残っているのでしょうか。来るといいですね。

投稿: tona | 2012年3月19日 (月) 08:30

観ていらしたのですね。関心持って観たいと思っている映画のひとつです。
と思っても、大抵の映画はTV放映されるまで観られずになってしまうのですが…
サッチャーさんと親交のある中曽根さんが、素晴らしい映画だが、実際の彼女は
もっと家庭的なところがあったというようなことを言われたそうです。
映画の中で描かれたサッチャーさんが100%現実のサッチャーさんではない部分も
当然ながらあるのでしょうね。
でもメリル・ストリープさんの演技はいつどの映画でも見事ですよね。
今回もたくさんのサッチャーさんの実際の映像を見て声をずーっと聞いて、
なりきって演じられたようですね。
私もいつか観られますように(^^)

投稿: ポージィ | 2012年3月19日 (月) 09:04

サッチャーって政治家として何をしたんでしょうね。なんだかハシモトを見てると彼女を思い出します。
彼は到底彼女にすらなれないでしょうが。

投稿: 佐平次 | 2012年3月19日 (月) 09:12

もう観られたのですね。
私もこれは観たいと思ってました。

メリル・ストリープさんって何だか不思議な女優さんですね。
際立った美人というわけではないのに何とも味わいがあってどの年代のいつも自然な感じがして。

私も近々この映画を観るつもりです。

この映画、女性と男性で観方が大きく異なりそうな気がしますが、そんなことないですか?

tonaさんのフットワークの軽さにはただただ感心するのみです。

投稿: もみじ | 2012年3月19日 (月) 11:59

鉄の女の映画もう見られたのですね。
さすがに行動派は違います。
私も行くと言いながらまだ予定も立てて
いません。
いつになりますことやら・・・
先ごろようやくベスト映画100の表を参考に
レイダースを見たところですから・・・

先日の新聞で認知症になられた記事を見て
仰天してしまいました。
明日のことは分かりませんね。

投稿: matsubara | 2012年3月19日 (月) 13:56

イギリスで初の女性保守党党首、首相になった彼女。
外見はとても温厚な優しいおばあちゃんの感じ。
だがひとたび施政者となると、なかなか思い切ったことを、強行する。
イギリス経済を立て直し、外交の会合場面でも主役的立場を演ずる。
まさしく「鉄の女」そのものだった。

その彼女が、認知症になったと報道されたとき、驚いた。
引退後、あまりにも変わった環境がそうさしたのかも知れません。
永遠に歴史に残るひとりでしょう。

投稿: 夢閑人 | 2012年3月19日 (月) 14:40

★ポージィさま

ありがとうございます。
私も年に数回しか映画館には行きませんで、テレビで放映されるのを待っています。しかし早くて1年で2年後くらいからですから、もう題名(特に横文字)も忘れたりしています。
メリル・ストリープさんと中曽根さんが試写会で会っていましたが、中曽根さんもレーガンさんやサッチャーさんを懐かしく思っているのでしょうね。
あれだけの時間枠にもっと踏み込んだ若い日の私生活を盛り込むのは無理があるのでしょうね。そして全部がそのままと思えないですし、多くの映画はそんな運命にあるでしょうか。
役になりきってしまうことは、またもやハリウッド女性のバイタリティを感じた一作でした。

投稿: tona | 2012年3月19日 (月) 15:48

★佐平次さま

あぁ、そうですか。
橋下さんのことは全然浮かびませんでした。
彼のこれからによりますが、サッチャーさんには及ばないでしょうね。
日本人の中にこんな鉄のような人が政界に出現したら・・・夢みたいな話です。

投稿: tona | 2012年3月19日 (月) 15:52

★もみじさま

本当にメリル・ストリープさんて、いろいろな人物に化けちゃって、その度に全然違う顔になるので、百面相とは違うけれども、不思議な方です。今回も最初言われても分からなかったし、まさか主人公とは思えませんでした。
そうですね。男女違った感想を持つでしょうか。これから評論家や批評家の言を待つのもいいですね。私たちは凄いと思っても、本場イギリスのことに男性はどのように思っているのでしょう。
映画館にすぐ行くのは極めて珍しいことでしたよ。

投稿: tona | 2012年3月19日 (月) 15:59

★matsubaraさま

ベスト映画100があるのですね。
今見てみました。
私は「サウンド・オヴ・ミュージック」「裏窓」「ショーシャンクの空に」などがこの中のベストに入り、「黄昏」とか、あとはヒッチコック作品が好きです。最近のでもまだまだいい映画がたくさんあったはずですが、昔の方に思い入れがあったりしています。

この方の認知症は考えられないことでした。
あまりに凄まじい政治人生で、家庭的にも趣味的にも余分なことを何一つやめるまではしなかったから、彼女にとってはやめること=100から0へ落ちることだったような気もします。

投稿: tona | 2012年3月19日 (月) 16:13

★夢閑人さま

本当に外見は服装にも髪形にも気を配っていて品があって、優しい感じですね。
議員になってから彼女は豹変、紅一点と言う感じで相手をぴしゃりとはねつけるその強さはますます際立ってきました。
フォークランド紛争の時は凄かったですね。あれで負けていたらその時点で政治生命は終わりだったはずですが、勝利してそこからますます意居士と言えるくらいになっていき、周囲を敵に回すようになっていきましたね。
その長期政権は西欧でも記録的です。
本当に認知症になってもおかしくないほどの現役時代の凄まじさだった。心もですが体がとても頑丈だったから出来たことで、後遺症がこんな形になって現れたのでしょう。ありがとうございました。

投稿: tona | 2012年3月19日 (月) 16:23

こんにちわ。
サッチャーの映画は興味がありますね。
歯切れよく信念を持って決断実行する。この面は男性よりも女性の方が強いのかもしれません。それをサッチャーがまさに証明した時代ですね。
イギリスは本当にすごいと思ったものです。これでイギリスは自信を回復したんですね。国民も。

日本にも領土問題があって尖閣列島、或いは竹島にあっても中国、韓国に何も言わないままの状態で政府民主党は何もしていないような気がする。
正面から抗議さえしないし出来ない。
これが自信を失った今の日本である。このようなニュースを見ると日本はどうなっているのかという気になる。

フォークランド紛争は当時のイギリスでは対応できないとアルジェンチンは踏んでいたのをサッチャーがひっくり返しイギリスの権威と自信を復活させた。

今の落ち目の日本に大いに参考になる。
いちかばちかの勝負ではなく人材を集め英知を結集し日本の力に見合った外交交渉を或いは必要な措置を取るべきである。

日本の国益が害されているのに政府は何をやっているのか国民に伝わってこない。多くの日本人は疑問に思っているはずである。

例えば家の境界線の犯されて黙っているのと同じである。

まさに日本、民主党政権の正念場である。でないと日本の領土は弱肉強食、次々と剥ぎ取られていくことになろう。国民の目を覚ます為にも真剣勝負をすべきである。

そのためにも当然アメリカとの関係は大事になってくるし、日本人が国防という意識をしっかり持つ必要がある。

将来の子供達にどんな日本を残すか。
サッチャーの映画はそれを問うているのではないか。

投稿: macchanny | 2012年3月19日 (月) 18:47

★macchannyさま、こんばんは。

英国病に悩む、どうにも行き詰ったイギリスを建てなおした偉大な人、サッチャーさんですね。
自信回復にいざなったサッチャーさんは女性であるがゆえに保守的なイギリスにおいては大変な苦労の連続で毎日夜中3時過ぎまで仕事をし続けた11年間でした。
その気力、体力は世界最強とでも言えるでしょうか。凄い女性ですね。

振り返って我が国は周辺諸国全部に翻弄されっぱなしです。
サッチャーさんのような強い信念に基づいて発言し、実行していく政治家が現れないものでしょうか。
そんな時サッチャーさんのフォークランド紛争時における断固たる信念のもとgo-!go-!と突き進んで結局勝利に終わったあの感動を誰も思い浮かべますよね。

日本は外交交渉術を学ぶ科を設けてかなり勉強する必要ありですね。
そう、この映画のサッチャーさんによって、わが日本が学ぶことが多いと思います。
貴重なご意見ありがとうございました。

投稿: tona | 2012年3月19日 (月) 19:55

この映画、早く観たいのですが
友人と観る約束をしているので
まだ当分観られません。
本当は一人でさっさと観に行きたいのですが…

「サウンド・オヴ・ミュージック」「裏窓」「ショーシャンクの空に」
どれも好きな映画です。
あと、メリル・ストリープの映画の中では
なんといっても「ソフィーの選択」です。
あの衝撃は、観て四半世紀経った今でも
忘れることができません。

投稿: zooey | 2012年3月19日 (月) 23:30

★zooeyさま

おはようございます。
今日はお彼岸とは思えない寒さですが、良いお天気ですね。
「ソフィーの選択」は重い映画ですね。あらすじは知っていても観てないです。私がこう言うと娘に観ていますといつも言われます。(追記:やっぱり観ている言われました)
ともあれ、こんな衝撃的な、普通にはあり得ない話ですから次はしっかり受け止めて観たいです。
まだ好きなのがありました。「大脱走」です。刑務所ものが結構気に入っている私です。

投稿: tona | 2012年3月20日 (火) 08:27

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