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2012年4月22日 (日)

鈴木遥著『ミドリさんとカラクリ屋敷』

湘南平塚の地に屋根に電信柱が突き出たおかしな家が、当時高校生であった著者の目に飛び込んできたことから生まれた、2010年開高健ノンフィクション賞次点作品。著者はその後、街並みの勉強から建築学へと進んでいる。

これは建築好きのミドリさん(今年100歳)とその亡き夫が設計し建てた家で、会社の独身寮の管理人の仕事をしながら半年間東京から夫婦で通って、自分で選んだ大工に自分でこだわった建材を使って、日がな一日監督した。
青い屋根瓦に黄色い扇模様の棟飾り、すべて模様の違う木製の戸袋や松竹梅の装飾を施した窓の鉄柵、家の中も様々な建具細工が施される。天井も部屋ごとにデザインが異なり、どの風呂場(アパートなどを含め6所帯が住む)にも富士山の壁画にフランス産装飾タイルが施される。トイレには天橋立の壁画といった具合に内装もこだわりがいろいろある。
そしてカラクリが数か所あって、それはいざという時の逃げ道であったり、また人に見つからない隠れ部屋であったりでそこまで考え抜いた家なのだ。電信柱も家の要でメリハリとしてつけたようだ。
こうした考えられないような家を建てたその背景はすべて新潟から北海道江別に開拓団として入植し、成功した2家族に起因していて、その物語が小説よりも面白い。
そしてさらに面白いのがミドリさんとその人生だ。何でも小さい頃から家を建てるのを見るのが好きで、建築現場に一日中座り込んで眺めて過ごしたとか。小学校を卒業しただけで建築の専門教育は一切受けていないのに、見聞だけで恐るべき建築の知識を身につけた。
結婚して札幌のリンゴ農家から、池田勇人の薦めで64倍の倍率を潜り抜け、東京の管理人になって、3人の子育てをしながら、調理師の免許を取って調理を担当した。その後の人生もやる気のあるいろいろなエピソードで綴られ興味尽きない。
写真(97,8歳頃)を見ただけでももうすぐ100歳にならんとするとはとても思えない若さ。元気過ぎて年に似合わずいろいろなことをするから骨折を繰り返すが、普通の人はここから寝たきりになり認知症になるのだが、全然めげないでまた骨折という具合。
サバサバした性格で喧嘩をも辞さないしズバズバもの言う、それでいてユーモアのあるエネルギッシュなミドリさん、
同じく今年100歳になる元灘高校の国語教師「第三の青春で死んでいる暇がない」と仰る橋本武さんに負けないであと20年頑張ってください。

コストコで買った食品を娘たちがおすそ分けしてくれました。毎回違った食品があって、行ったことのないコストコって面白そうです。
Photo
かなり前に「波のりジョニー」の豆腐を美味しくいただいたが、今度は「枝豆ジョニー」が売られていました。ほんのりと甘みのある枝豆の味があります。大豆の親子を楽しんでいるみたい。
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コメント

Tonaさ~ん、お久しぶりです。
お元気そうで何よりです。
私も元気ですよ。
相変わらず、いろいろとありますが。

朝から携帯いじって、ボ~っとしてます。
波乗りジョニーのお豆腐~おいしいですよね…なんて思ったのでコメントしちゃいました。

また来ますね(-^〇^-)

投稿: 久美子 | 2012年4月23日 (月) 08:07

★久美子さま、おはようございます。

お母様が2度目の転落ではっとしましたが、大事に至らないで本当に良かったですね。
毎日のように特養に通ったり、ご自身の病院通いなどで目の回るような忙しさ、そんな中、読んでコメントいただき感動です。有り難うございます。
ジョニーシリーズ、今は波乗りがなくて枝豆だけです。本当の大豆の味でなめらかで美味しいですね。
くれぐれもご無理なさらず、久美子さんも早く全快されるようにお祈りしています。

投稿: tona | 2012年4月23日 (月) 09:11

この本も、ミドリさんのことも全然知りませんでした。
面白そうですね。
世の中には凄い人がいるものです。

コストコは安くて面白いものがいっぱいあって楽しいのですけど
会費が高いし、私の住まいからは遠いのです。
以前、会員だったアメリカ人の友人とたまに一緒に行っていましたが
彼らが帰国してからは縁がなくなってしまいました。

投稿: zooey | 2012年4月23日 (月) 09:22

おはようございます。
本もミドリさんも知りませんでしたが、ミドリさんとは、これはまた
パワフルな方ですね。好きこそ物の上手なれを地で行っている
ようでもあり、人生も建築も心から楽しんでいる、という感じでもあり。
当然様々なご苦労や葛藤だってあったでしょうけれど、そんなものは
ふっ飛ばしてしまうパワーが伝わってきます。豪快で小気味好いです。

投稿: ポージィ | 2012年4月23日 (月) 09:37

http://www.kanshin.com/keyword/412544
「沢田マンション物語」(古庄弘枝)情報センター出版局

これまた実に面白い実話です。
チャンスがあったら一読を^^。

投稿: 佐平次 | 2012年4月23日 (月) 10:47

★zooeyさま

本当に凄い人で特に家を建てるあたりが並みの人ではありません。驚きました。
頑張る人はいっぱいいますが、毛並みが違うというか。

コストコ、スロープが地震で崩れてやっと今年2月に改修された店に行ったようです。
年に数回娘の所からたくさんスーパーにないようなのを貰っています。
そうですか、年会費があったのですね。会員の人についていくのがいいですね。

投稿: tona | 2012年4月23日 (月) 11:32

★ポージィさま、こんにちは。

女性で建築家はたくさんいるでしょうけれども、教育を受けるような状態でない人が情熱を傾けることで、こんな突飛な面白い家を建ててしまったのですから驚きです。
こういう方は他の面でもいろいろ凄くてパワーがあってこれまた読んだだけで元気が出ます。
ミドリさんから学んだことは、病気にくよくよしないということです。死ぬ時は死ぬです。
何しろ病弱い私には模範となる人です。
明るくてユーモアがあって元気な高齢者が増えて欲しいと自分も含めて思った次第です。

投稿: tona | 2012年4月23日 (月) 11:37

★佐平次さま

面白い本を御紹介くださってありがとうございました。
早速図書館に予約しました。楽しみです!

投稿: tona | 2012年4月23日 (月) 11:39

お早うございます。
みどりさんは凄いですね。
建築現場にいくらいても飽きないというのは分かるような気がします。
空気、皮膚からも吸収しているのでしょう。

今の時代、こういう人が育たないのでしょうか。やはりすごい家系だったのでしょうか。それとも生まれた環境でしょうか。

多分人が経験していないことを山ほど味わったのでしょうか。それにしても賢そうですね。
何でも吸収しそうなセンスもあるのでしょうか。
自然のままに生きている感じです。

投稿: macchanny | 2012年4月23日 (月) 11:59

★macchannyさま、こんにちは。

男女差別はないと言いますが、女性が設計してデザインして口出しして建てるとなると、男性では特別の事とは思わないのに、凄い!と感心してしまいます。
空気、皮膚からの呼吸とは考えてもみませんでした。
ミドリさんの家系がこの面で優れているので血筋なのですね。
両親のどちらの実家も優秀な一族です。
新潟では目が出なかったかもしれないですが、北海道に開拓団として渡ってから頭角を現した感じですね。
ミドリさんは若い頃のカマイタチの経験者で足が割れて後遺症が続いていたようですが、90代でいろいろな形で現れたみたいです。
年を重ねてもボケないどころか、頭がくるくる働いて若い人も顔負けのようです。


投稿: tona | 2012年4月23日 (月) 13:20

100歳の詩人で驚いたのですが
上には上があるのですね。
20年前は100歳の歌人であられた
土屋文明氏にも驚いたのですが
進歩してゆくものですね。

↑カマイタチも知らなくてネットで
調べると馬の名前からきているの
ですね。
午年なのに初耳でした。
本の著者も初耳です。

娘さんが優しくていいですね。
こちらは薬が届くだけです。
薬剤師だから当たり前ですよね。

投稿: matsubara | 2012年4月23日 (月) 13:50

★matsubaraさま

そうそう、土屋文明も100歳までの長寿でしたね。
100歳まで生きる方はやはり何か違うものを持っていらっしゃいますね。

カマイタチは皮膚が裂けてその時は痛みを感じないらしいです。
これを縫うと良くないそうですが、医者が無理やり縫って具合が悪くなったそうです。妖怪の仕業とも言い伝えられている地方が多いらしいです。

薬が届くなんてとても羨ましいです。
薬に関して助言を頂けるのもいいですね!

投稿: tona | 2012年4月23日 (月) 19:31

今日、外で昼食をしていたら建築関係の4人組が入ってきました。内2人は若い女性でニッカポッカをはいて左官業かなと思った次第です。

色んな分野で女性の進出が進んでいるのは確かです。今時男しかできない仕事はそうないですね。女性も起用で上手な人が多い。
女性が独立して・・・時代ですかね。

投稿: macchanny | 2012年4月23日 (月) 19:38

★macchannyさま

再びコメントを有り難うございます。
そうなんですか。左官業とは珍しく、私はまだ聞いたことがありません。
今高尾山の下をトンネルを掘って道路を造っているのですが(当然反対が多かったです)、そこの工事の監督は女性です。
ブルドーザーを運転している女性もいますね。私の友人にトラック運転手をしていた人がいます。
男性しか向かない職業は本当に数えるほどしかないのですね。
向井千秋さんたちのよな宇宙飛行士も凄いと思った時からまた数十年経ってしまいました。女性も甘えていられません。自立しなくてはこれからはいけないと思います。

投稿: tona | 2012年4月23日 (月) 19:51

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