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2012年5月25日 (金)

大野更紗著『困ってる人』

Photo 難病といえば、筋委縮性側索硬化症で瞬きだけが意思表示で、文字を打っている方が映し出されたことがあります。
この本は恐ろしい難病に向き合っている若い女性の話である。
400もあると言われる難病の中で、国指定難病には130種類あって、大野さんのは90番の「皮膚筋炎」と番号のない「筋膜炎脂肪織炎症候群」との併発のようだ。
大野さんは難民を支援し研究していた大学院生の時、2008年に、突然わけのわからない重病にかかって難病の病名が特定されるまで医療難民になってしまった。
なんでも免疫システムが勝手に暴走し、全身に炎症を起こす、自己免疫疾患だそうだ。
現在もステロイドをはじめ30錠の内服薬、何十種類の薬によって安静状態で最低限の行動を維持しているという。そして薬の及ぼす深刻な副作用ともたたかっている。
かくして心身、居住、生活、経済的問題、家族、存在にかかわるすべてが、困難に変わり、毎日、毎瞬間、言語に絶する生存のたたかいである。
私は大腸がんの検診が恐ろしくて、しつこく言われて以来健診に、ここ2年行ってないという臆病者である。
ところが大野さんの病名特定までの1年間の検査は壮絶だ。そして大変な入院治療。そんなとき将来への絶望で重度の抑うつ状態から精神的錯乱状態に。
いろいろあって9ヶ月後家出、つまり退院して病院のそばに居を構えた。
大野さんのブログによれば、難病者の立場から医療の在り方などについて発言し、車いすで様々なトークに出演しているようだ。
それにしても難病の原因は何なんでしょう?

「ほぼ前例のない難病」という悲劇を笑いと勇気に変換した傑作エッセイ!
悲惨な状態をユーモアたっぷりに書いていて苦笑さえさせられ、こんな人が世の中にはいるのだと驚嘆しました。この間は沢田夫妻にも驚いたのですが。。。

Photo_3
                    ヒオウギガイ(桧扇貝)

隠岐の島で、船が出航するのを待つ間、この貝に絵を描きました(あまりにへたなので人に見せられない)
昔、公卿や殿上人が用いた優美な桧扇に似ているので付いた名で、世界中で最も色彩豊かな二枚貝。
貝殻の色に、赤、橙、黄、茶、紫がありました。

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コメント

いやはや驚きました。
ブログを読み、なんとすさまじい生き方
なのかしらと驚嘆しています。
健康人より強烈な人ですね。
ぼやっとしてはおられません。
それにツイッターも稼働中ですし・・・
私なんか開店休業状態ですのに・・・
どこからあのエネルギーが生まれるので
しょうね。
刺激的な人を紹介下さりありがとう
ございます。
原稿を書き自立しておられるのが凄いです。
私などずっと依存していますのに・・・
昔は父に、今は夫に・・・

こんな珍しい二枚貝は見たことがありません。

投稿: matsubara | 2012年5月25日 (金) 10:56

本田靖春「我、拗ね者として生涯を閉ず」
奥山貴宏「31歳ガン漂流記」「32歳ガン漂流evolution」もすごいですよ。
奥山君のはブログで同時進行で読みましたが亡くなりました。
本田は凄まじい闘病中に世の中を慨嘆する自叙伝です。
「何も苦労しないでちゃらちゃらしているくせに”癒”(いやし)しとはなんだ!」と本田は怒ります。

投稿: 佐平次 | 2012年5月25日 (金) 13:18

この病名を見たとき、思い出しました。
この前、この本のことをTVで見たような気がします。

人間の体は、計り知れない複雑な機能を持つ、細胞、ホルモン等がお互いに連絡を取り合いながら、バランスを保ち、健康な体を維持してる。
それが何かの拍子に崩れた時に様々な変化が起こる。癌だって細胞の突然変異によって引き起こされる。
難病と言われる病。今の医学でもその原因を解明するのは難題だろう。

難病に苦しむ人たちの気持ち、健常者にはとても理解することは難しいものがあると思う。
ネガティブな気持ちを、少しでもポジティブに
持っていく。難しいことだが・・・

自分の辛い気持ちを、人々に告げることによって少しでも分かってもらえたらいい。
また、同じ病に悩む人たちの支えになれば幸い
と思う気持ちで書いてるのかもしれない。

果たしてこの本を読む人は、特に健常者は、何を求め、何を感じ、得るのだろう。

「ヒオウギガイ」彼らはどうしてこんな綺麗な色をしてるのだろう。聞いてみたい。

投稿: 夢閑人 | 2012年5月25日 (金) 13:31

大変な病や不自由を抱えられ、日々戦い頑張って暮らしている方たちが
世の中には大勢いらっしゃいますね。苦しみをも笑い飛ばしてエネルギーを
生み出そうとしてしまえる方もいれば、押しつぶされてしまう方もいて
向き合い方もまた様々ですね。
この方の努力、向き合い方には頭が下がります。

私の母も難病と呼ばれる病を抱えていました。(もうずっと前のことで現在とは基準などが違うかもしれませんが)
母の場合、もちろんその病と付き合い工夫し日々頑張ってはいたものの、
でもそんなに強く雄々しく笑い飛ばしてしまえる人ではありませんでした。
それでももちろん言葉に出したよりはるかに多くの辛さがあっただろうこと、
本当によく頑張っていたことは、自分が年を重ねるにつれ、子供の頃よりは
察することができるようになってきたように思います。全てを理解し感じて
あげることは到底無理ですが。
 
あれれ…で、結局何が言いたかったのかしら?書いているうちに
何だか分からなくなっちゃいました。尻切れとんぼですみません~(^^;)

鮮やかな色で美しい貝ですね。表がオレンジで内側が紫でしょうか。
こういう色になる道を選んだのには、何か理由があるのでしょうね。

投稿: ポージィ | 2012年5月25日 (金) 18:33

★matsubaraさま

ブログご覧になっていただけたのですね。
あらゆる困難なことも面白おかしく書いていますので、凄く深刻なのに比例してその心を汲めないでいたりします。
若さも一役かっていると思います。
自分のことばかり考えていて感謝の念が薄れているというようなことを人から言われそうな雰囲気を感じて、うなだれたりする所もあって、何とも気の毒なことです。
私もツィッタ―もフェイスブックも開店したものの即そのまま休眠に入り、ブログもちゃんとやっているのか疑わしい状態で恥じ入ります。

桧扇というのを見てなるほどと命名されたことがわかりました。
貝としては世界で1番というくらい美しい色をしていますね!

投稿: tona | 2012年5月25日 (金) 19:15

こちらが知らないだけで色んな環境の中で喜び、苦しみ、そして今にも自殺したいと思っている人も多いのでしょうか。

上には上が、下には下が、それも難病という理由も分からんない、治療法も分からない病気があるのですね。どんなに大変なことがあっても人間は死んでしまっては負けですね。死ねないのですね。だからみんな生きている。それは勝ち負けではないのでしょう。

そしてどうせ生きるのなら悲観してもしょうがないと。そしていつの間にか頑張っていると楽しくなり、応援してくれる人がでてきたりして。。。

話は変わりますが友達が言っていました。
「余生最大の目的はボケないこと、これが一番の子孝行、妻孝行と」

ところで大腸がんの検診は是非行かれた方が良いですね。ご主人のためにも。

投稿: macchanny | 2012年5月25日 (金) 19:23

★佐平次さま

本田靖春さんのことはうっすら知っていたのですが、最期のことを知りませんでした。
>「何も苦労しないでちゃらちゃらしているくせに”癒”(いやし)しとはなんだ!」には参りました。日頃の私です。
奥山貴宏さんのことは全然知りませんで、沢田さんのは本屋にあって買いましたが、この本も同様にまず図書館に早速予約を入れました。千葉敦子のがん闘病もなかなかでしたが、奥山さんのも凄ごそうなんですね。
二人に一人は癌になるという(身内にもいっぱいいます)時代ですから、癌に関していろいろ知っておいた方がいいのです。
いつもご紹介ありがとうございます。

投稿: tona | 2012年5月25日 (金) 19:23

★夢閑人さま

こちらにもありがとうございます。
TVで紹介されていたのですか。そうでしょうね。かなり話題になっているようです。
ここまでその調和が保たれて元気に生きてきたのが不思議なくらい、世の中には難病などという奇妙なバランスの崩れた病があるものです。
解明できない病気がどんどん増えていくようです。1つ治療薬が出来るとその上を行く菌が発生するのもいたちごっこで大変ですが、難病ともなると治療法が見つからないのが多いそうですね。
病気になったらポジティブになれないでしょうね。家族のためにはそうあらねばいけないとわかっていますが。生きたいという気持ちも萎えてしまってはおしまいです。
この本を読んだ健常者:私は自分はまず同じ難病にはならないと思うからこんな苦しみは今無縁。次にこんな苦しんでいる人がいるのに我慢しない生活をしているので反省。そして自分が病に苦しんだ時にこんな人もいたと思い出し心の支えにするかもということです。

投稿: tona | 2012年5月25日 (金) 19:39

★ポージィさま

こんな悲惨な目に遭っても、どんなことになっても這いあがろうと頑張る姿は感動を覚えます。凄い人だと思います。
お母様も難病でしたか。なった人しかわからない苦しみが日々おありになったことでしょうね。
私の母も難病で10年間闘病生活を送りました。ポージィさんのお母様のように若くはなく女性の寿命まで生きていましたが、お互いに病に対して頑張っている姿は同じだったでしょうね。効く薬がなかなかないのが難病の苦しい所でもあります。
癌同様難病も若いほど苦しい感じがしました。
またなった人しかわからない苦しみを少しでも理解してあげたい気持ちにはさせられましたね。そして自分の場合の態度も未知数ですが、出来るだけ我儘ばかり言わないことは肝に銘じたいです。

ヒオウギ貝は表と裏は同じ色なんです。
左の方の内側に下手な絵が描いてあるので伏せてしまったわけなのです。
そう、ロマンティックな理由がありそうですね。

投稿: tona | 2012年5月25日 (金) 19:53

★macchannyさま

そうなんですね。病気が苦で自殺する人もいますね。痛ましいです。
確かに勝ち負けの問題でなく、人間には思わぬ病が押しかかるのですね。
そんなときどうしたらいいか、頭を抱えて苦しんで苦しんでいくわけです。
そんな状態でも必ず一瞬でも救いがあるものですし、悟ることもあるでしょうし、人様々ではあるかと思います。
家族が難病や癌で苦しんでいるのは多くあり悲しいことですが、人間の尊厳が崩れてしまう呆けはもっと悲しいですね。
そうならないように皆結構努力しています。
いろいろな情報があるのは有難いですが、情報に流されないようにしたいですね。
御忠告ありがとうございました。

投稿: tona | 2012年5月25日 (金) 20:05

tonaさんおはようございます。

↓気になっていたので。
先日間違えてpinotと名のっておりました。
翻訳でワインの名前を打っていてその勢いで。(でも気に入ったので採用しました。)

大野さん、話題になった時にいろいろ拝読しました。ご快癒をお祈りするばかりです。
剛毅な才媛でもありましょうし自立せざるをえない環境での必死の生存努力と言われればそうなのでしょうが、いずれにせよ少しでも快適に過ごせますように、と。

凡才非才であろうと親から愛されたからこの世に遺された命。愛してくれてこちらも愛している家族を悲しませないためにも生きる、
皆死ぬときは死ぬのでそれまで生きる、
鼻つまんで息とめただけでも苦しいから生きる、です。空気、水、花、星、人情(私は弱いので温かいものにかぎりますが)、みな愛おしく貴い存在です。

平和でゆたかな時代の日本に生まれたからこそ立派な教育もうけられ、外国にも行け、たとえ国内にいても世界の文物・動植物・料理などを楽しめる、奇跡的に幸福なのですね。

不安もおありとは思いますが、検診はしっかり受けられて、健康なそのお体を生かしてまだまだ!忘れちゃったらば、今を生きる、でいいじゃないですか^^

投稿: pinot | 2012年5月26日 (土) 06:53

★ponotさま

おはようございます。
古今東西を見まわしても、今の私たちが生活している日本が、仰るように奇跡的に幸せだということがわかります。
そんな中で大野さんのような病魔に侵された人はその奇跡的な幸福感とは程遠い状態に突然置かれました。ギャップがあまりにも大きいです。
でも死を選ばないで必死に生き、私たちにいろいろなものを投げ与えたくれたものは大きいです。優秀な頭脳と文章力で良い本を私たちに与えて下さいました。難病を克服して元の大野さんに戻れる日が早くきますように祈るばかりです。

投稿: tona | 2012年5月26日 (土) 09:02

この人のことを新聞か何かで知ってから
すぐに御本人のブログを見てみたのですが
出版した本や出演するイベントの案内などが多すぎて
ちょっとがっかりして、そのまま忘れておりました。
本はそんなに素晴らしいのですね。
私も読んでみたいと思います。
ご紹介ありがとうございました。

投稿: zooey | 2012年5月26日 (土) 13:23

★zooeyさま、こんにちは。

目次がなかなか面白いです。
文章は流れるように書かれ、少しオーバーではないかと思うこともありますが、何しろ体の状態の大変さが凄いのです。
読んでからブログを見たら、zooeyさまのがっかりされた通りの内容でした。
本を書き終えていろいろな活動されている様子ですね。
大野さんは泣きぬれるだけの人でなくいろいろな意味で本当に強い人です。

投稿: tona | 2012年5月26日 (土) 15:36

別世界に気づかせてもらえる別世界の方々の現実の一端を垣間見ることで得るものもありつつ、人は自身の現実を生きるしかありませんからね。健康が基礎であることはtonaさんが証明されておられます。

ブログコメントでのお喋り、難しいこと、先日書いたとおりです。
(これでも誠意を尽くさんと週末時間使って書いてますが)

と申しますのも、これまでもいろいろありましたが、大野さんの記事に同情的コメントを寄せたところ、「ご容態がお悪いそうで回復を祈ります」というおたよりをいただきました。笑
大野さんと混同されたわけでもないでしょうに。

私は今日もスポーツ三昧です♪
いちいちブログで発表しませんが・・・。

tonaさんのようにいつまでも若々しく、
日々充実させてゆきたいです。
それには出歩くことですね!50になったら山にも登ってみようかしら。タイプじゃないですが笑
ではお元気で。

投稿: pinot | 2012年5月27日 (日) 13:25

★pinotさま

>自身の現実を生きるしかない・・本当にその通りで自身がそれほど変わるわけでもないですね。
40代50代は体を動かすこと、登山などは軽く出来ますね。私ぐらいですといつやめるか時間の問題となってきました。
pinotさんもどうぞお元気で。

投稿: tona | 2012年5月27日 (日) 16:42

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