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2012年5月31日 (木)

奥山貴宏著『ガン漂流』3部作とガンについて

またまた、佐平次さんから紹介された本で、ある種の感銘を受けました。3冊とも一気読みでした。佐平次さん、有り難うございました。

『31歳ガン漂流』『32歳ガン漂流 エヴォリューション』『33歳ガン漂流 ラスト・イグジット』
著者は2003年1月に肺ガンの宣告を受け、2005年4月に33歳で亡くなった。
男の中の男、この人。
30歳も違うし、男性だし、もう全然住んでいる世界が違う。横文字の世界の人だ。PCなどの機械類、読む本、観る映画、聴く音楽、趣味など180度くらい違った世界の、私からは宇宙人的存在の人。
書いていることが大変なのだけど痛快。愚痴っぽくなく、同情を買うような所が皆無である。お金の使い方もスマートというかどうなっているのだろう。自身が所帯を持っていないからだろうか。生活に美意識があってどんなにみじめな健康状態になっても崩さない。千葉敦子に通じるところが多い。
「朝目覚めて虫になっていないだけ感謝すべきだろう」これは苦しい体験の中での究極の表現で涙が出てしまった。若かったので病気の進行は早く、ガンの攻撃は大である。
最後には半年かからずに小説を書きあげた。家での凄まじい闘病生活の合間に皆に内諸で。それは死語4日後に発売された。
どんなに苦しくても息が止まるまで1字でも書きまくるぞという、書くことへの執念が凄い。
だから内容の濃い闘病生活が送れたのか。こうしたもの持ってない人は読書やテレビを観るだけ、これだけでは生きる意欲はだんだん失われ、でも死にたくないとも思い、廃人のようになっていくだけ。

それにしてもガンの治療は1980~90年代と様変わりした。あの頃の友人たちなどの抗がん剤による苦しみは相当のものだった。
現在は質の違った苦しみになっている。しかし抗がん剤と放射線治療は一時的に腫瘍を小さくするものの、その副作用は計り知れなく大きく、人によっては治療は実験ですらあるのだ。
今、[ガンには治療を何もしないで、最期だけホスピスが苦しまない]という内容の類の本※が出ていて共感している。でもこの著者は自分の生き方に反しているので、ホスピスにはかなり否定的。
又、ガンはどうやら最初から治るものとそうでないものの2種類でそのどっちかだと説く医者の本も出ている。奇跡的にガンから生還したという人は所詮治るガンだったというのである。
さはありながら、身内や友人のケースは千差万別、人それぞれではっきりこうあるべきと言えない。自分としてそうした事態に際して方向性を掴んでおけばいいと、この本を読んで改めてガンに対して覚悟を決めるよすがとなった。実際にはもう目も当てられないくらい右往左往するのだろう。
ガンの医療費は高い。検査1つが5万円もするのがあるらしい。そんな検査を数種類、何度も何度もである。入院治療も莫大なお金がかかる。まあ、そんな心配してもしょうがないので、その時はその時です。
※『大往生したけりゃ医療とかかわるな』=死ぬのは「がん」に限る。ただし、治療せずに

                  富山土産 富山といえば白エビとホタルイカが名物です。
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コメント

おはようございます。
この方も、前向きに闘うことを選び実行された刀のですね。
進行の早い肺ガン…どんなにかしんどく辛かったでしょう。
小説を書くぞといった強い気持ちが、戦う原動力ともなった面も
あったのかもしれませんね。

病状も環境も性格も生き方も人それぞれで、どれが正解というものは
ありませんが、自分らしくとはどんな生き方と最期の迎え方なのだろう
ということをたまに考えます。
でも、いざ宣告などされたら、相当うろたえるだろうなぁ…

投稿: ポージィ | 2012年6月 1日 (金) 09:26

私にとっても宇宙人的感覚の人ですね。
想像も出来ません。
その記録を小説に書いて後世に残すという
ことはすごいですね。大方の人ははかなみ
ながら死んでゆくのに・・・
カフカを思い出しました。
遺書で焼き捨ててくれと言うのに叶えられず
残ったというところは違うのですが・・・
この人は意識的に残すために書いたのですから・・

ガンも30代ならうろたえますが
私の年になれば諦観と申しましょうか。
まあ、仕方がないと思うでしょうね。
30代は悲惨ですね。
ブログ友で20代に罹り、生還した人がいます。
すべてに対して感謝の気持ちを持たれています。
いまはブログは休眠なのですが・・・
仕事に忙しそうで・・・

投稿: matsubara | 2012年6月 1日 (金) 10:20

お読みになりましたか。
壮絶なのに、明るさがあってブログ投稿の頃はこちらが力づけられる思いがしました。
バイクに乗ってラーメンを食べに行くなんて嘘みたいですね。

投稿: 佐平次 | 2012年6月 1日 (金) 11:33

★ポージィさま

自分だけはガンにならないだろうなんてとても思えません。
そこで準備として、若い頃からぽつぽつと読んでいるわけですが、もうかなりゴールに近づいてきたので、またまた興味深く読みました。
この病気に対する考え方はいろいろですが、ガン自体も個人差がかなりあるようで、その時に過去に読んだことなどを総合して対処します。実際には仰るようにかなりうろたえて頭が白くなるでしょう。
無理な治療はしないで最期はモルヒネが理想です。

投稿: tona | 2012年6月 1日 (金) 16:57

★matsubaraさま

この方は「俺の事を忘れないでくれ」という趣旨で書かれました。
カフカのことはすっかり忘れていますが、そんな風に遺言する人がたまにいますね。

ガンから生還されてすべてに感謝ですか。きっととても充実して感謝しながら濃い人生をおくられていらっしゃるのでしょう。
それはそれで恐ろしい体験が生きているわけで、体験しない人より、有意義な人生ですね。
知人にガンの宣告を受けて、一切治療しないでいますが、7年も入院もせずに過ごしています。この年ではそれが一番いいのではないかと思いました。若いと苦しくて進行が早いのですよね。そして将来を思ってとても悲惨な心境ですね。
そうしてただただ悲嘆にくれて命を落としていくのは家族も、はたから見ていても悲しいです。

投稿: tona | 2012年6月 1日 (金) 17:04

★佐平次さま

ありがとうございました。
元気づけられますね。
私がそんな場面に遭ったら、またこの本を読むと思います。
ずっとベッドで苦しんでいたと思うと、その日かあくる日はバイクに乗って映画館なんて、驚くばかりです。

投稿: tona | 2012年6月 1日 (金) 17:07

おはようございます
癌の治療費は、数百万と高額です
大抵の場合は、保険で返ってきますがそれまでの生活費は確保していれば何とかなります

ただ、癌にかかった時の心配をしていると、それがストレスにも・・・・
病気より、富山名産の方が気になります
ほたるイカが・・・・happy01

投稿: OB神戸家 | 2012年6月 2日 (土) 09:31

奥山貴弘さんのブログは見たことがあります。
ブログでの読者とのやりとり、死ぬことよりも
周りの人間に自分のことを忘れ去られるのが怖い、と。
夥しい数のコメントが寄せられていました。
私も3部作買って読みました。内容は忘れてしまいましたが・・・。
想像も出来ないようなすさまじい人生ですね。

投稿: 茂彦 | 2012年6月 2日 (土) 12:07

★OB神戸家さま、こんにちは。

ガンの医療費はそうなっているのですか。
教えていただいてありがとうございます。
ずっと自分はなりそうにないと思っていたおめでたい私です。
でもあまりに確率が高いため、心の準備をしました。

わはは、気になられたほたるいかはとても小さくて、これは煮てあって美味しい味でした。量が多くて1日ではとても食べ切れませんでした。

投稿: tona | 2012年6月 2日 (土) 16:07

★茂彦さま

奥山さんのブログもご存知で本も買われて読まれたのですか。
もう亡くなって7年にもなるのですね。
奥山さんは寄せられたコメントで元気をもらっていたようですね。コメントをたくさんいただけるようなブログ記事の書き方だったのですね。
とても大変な状況なのに、全然暗さが感じられないのもその文章力によるのでしょうか。
確かに恐ろしいガンに打ちのめされている部分がいろいろな箇所に出てくるのですが。
こんなことが自分に必要にならないのが一番ですがそうとばかりも言っていられない明日です。コメント有り難うございました。

投稿: tona | 2012年6月 2日 (土) 16:13

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