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2012年7月13日 (金)

『風さん、高木さんの痛快ヨーロッパ紀行』山田風太郎・高木彬光著

今は亡き「忍法帖」の山田風太郎の「未発表旅日記」と「神津恭介」の高木彬光「飛びある記」を、上段と下段に分けて同時期を並べた昭和40年(1965)の紀行。
何でも良く食べ、豪快ないびきをかき、思い込んだら大胆なことをやってしまう高木さんと、小食で、いびきに耐えられなく他の人と同室にしてもらい、でも飄飄としていながら緻密な記録を残した風太郎さんの仲良し作家名コンビになる。
この当時大学初任給が2万円の時代、旅費が約69万円、1ヶ月をかけてヨーロッパ8か国を同行の30人と一緒に巡る旅はなんという贅沢な旅でしょう。しかしながら今日のようなきめ細かな情報がない時代だから、パスポート紛失事件などのトラブルがいろいろあってはらはらさせられる。

いびきのことは、もう一人、大オーケストラを奏でるというS氏と高木さんと一緒になってもらい、S氏の相棒と風さんが同室にというトレードで解決した。
高木さんの大胆なことというのは、思いつめたら100年目の性格だから、バイロイトでライカを落として壊したときに、だまってライカ製造のライツ本社までの片道350㎞(東京・名古屋間)をタクシーで往復したことである。語学が出来るわけでなく、修理がその日のうちに出来ることは日本の常識では考えられないのに、無鉄砲と言うしかない。しかしライツ社には日本語が分かる人がいて、しかもその場で部品交換の修理をしてくれ、熱意にほだされたか修理費は無償にしてくれたというから、さすが大人の国というか凄いことだ。
47年も前だけれど、風景や建物は何ら変わることなく、人々の気質も同じようだ。

女性が相手に話すとき歯を見せず、口を結んだままにっと笑う・・・そうだったっけ。
各都市は富と一体になった美しさという。それは意志と感性の所産に違いないし、地理的にも気候的にも地球上最善の土地であったからだが、その富はどこから来たのか?この富はすべてアジア、アフリカ、(中南米、tona付記)の搾取にあって成立した。・・・常々そう思っていました。
家々の石の壁、鉄格子、ドアの鍵の厳重さはただならぬものである。この美しい町とこの警戒心はどこでどう結びつくのか。おそらく異民族がたえず交流していることからこの警戒心が発達し、同時にたがいに切磋琢磨することになって、この美しい町を作り上げる結果にもなったのだろう。四辺海に包まれ同一民族である日本人の気楽さ、同時に弱々しさはこの反対の理由から生じている。・・・その通りでしょう。
さすがに作家たちの観察眼は鋭く、上手に感想をまとめて目を開かれる箇所がたくさんある。半世紀近い昔でありながらその年月を感じさせない1冊でなかなかに面白かった。

Photo 死海の泥石鹸 ヨルダンのお土産

死海の泥には、モンモリロナイトなど陰イオン化したミネラルが含まれているそうで、それに対して肌の汚れやアカ、毒素などの有機陽イオンを吸着する。泥粒子が極小サイズで肌に大切な油分を落としすぎることがない。
古代エジプト王朝・プトレマイオス朝の女王クレオパトラの時代よりそのよさが認められてきたそうだ。健康美の維持に役立つといわれている。よいと思えば、取り寄せ出来る便利な世の中です。

以前韓国土産の「痩せる石鹸」を頂いたが、1個使っただけでは効果はなしだと思うし、その後痩せたという話は聞かない。すぐ飛びついて大ブームになりすぐ消えていく日本。

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コメント

おはようございます。

山田風太郎氏と高木彬光氏が、一緒に旅をされたときの様子を、
それぞれの視点で書かれたものが、上下段で同時進行の一冊に
おさめられているのですか?それぞれの視点の違い感じ方の違いなど
面白そうですね。 さらに、tonaさんご自身も行かれた国も多く、
ご自分の感想とも比べられる楽しみもありですね。

死海の泥を使って作った石鹸ですか。泥石鹸、泥パックなど色々見ますが、
死海の泥はクレオパトラの時代から利用されてきたとは、歴史が古いですね。
皮脂を落としすぎずに汚れを落とすのは石鹸1個でも、効果が感じられる
かもしれませんね。石鹸で痩せるというのはとても信じられませんが(^.^)
 

投稿: ポージィ | 2012年7月13日 (金) 09:40

作家お2人の旅行記が上と下で同時進行とは面白いですね。
それぞれの感性の違いが分り、興味深いのもがあるでしょう。

平凡な私とその仲間でも、一緒に海外旅行をして同じ所に立って写真を写しても、視点が全然違って驚かされます。

父たち世代は「ライカ」のカメラは宝物・・・
実家に在りますが、まだ使えるかどうか・・・?
ドイツ人気質は日本人に似ていると思っていましたが、気候風土や歴史があまりにも違いますね。
それがそのまま街の景観の違いになっているのでしょうね。

↓「秋田駒ケ岳」素晴らしいお天気に恵まれて、高山植物の数々が堪能できたようですね。
羨ましい限りです。
私もそろそろ山の澄み切った空気と花々が恋しくなりました。

投稿: nao♪ | 2012年7月13日 (金) 10:25

★ポージィさま

同じ1日なのに、二人で随分違うのですよ。
旅の記録もこんなに違うとは驚きました。並行して書かれているのでとても面白かったです。初めてのような気がします。
結構ぼんやりしている私の感じ方とは突っ込み方も違います。

泥石鹸は知らなかったですが、泥パックはよくありますね。泥の中にそういった成分が入っているから肌によいわけですね。
クレオパトラと言えば、今TVでエリザベス・テーラーの映画「クレオパトラ」をやっています。入浴場面もありました。泥石鹸を使っているのかしらと思いつつ見ました。

投稿: tona | 2012年7月13日 (金) 14:46

★nao♪さま

山田風太郎と高木彬光が仲の良い作家とはこの本で初めて知りました。作風が又く違っていて、面白いコンビですね。
百人百様の見方があるわけですからそれが文章で綴られると比較ができて楽しいです。

ライカといえば、赤瀬川源平さんが結構ライカ気違いであったような。
お父様がお持ちとは、凄いですね。nao♪さんがお上手なのはお父様譲りなんですね。
日本なら現在修理は販売店から製造元に送られるから1ヶ月近くかかります。
いくら本社とは言えその場でしかも無料でとはどちらも凄いことです。

nao♪さんはこの夏には山に行かれるでしょうか。早く完治されますようにお祈りしています。

投稿: tona | 2012年7月13日 (金) 15:10

47年前に渡欧すること自体稀有なことですから
きっと面白いヨーロッパ紀行でしょうね。
破天荒な人のものは更に興味がありますね。
ライツ社もいいところがありますね。
歴史に残る行為でしょう。

泥石鹸は知り合いのシリア人から買った
ことがあります。泥パックとセットでした。
何となく肌にしみて効いたような気分に
なりました。シリア人の留学生の奥さん
からでした。とても色白で美しい人で
とてもあの美貌には近づけなかったので
自己満足だったかもしれません。

投稿: matsubara | 2012年7月13日 (金) 20:38

★matsubaraさま

この旅行はバイロイトのワーグナーを聴くのが目的なのですが、高木氏は一番のハイライトを蹴って、皆に内諸で1人で行動したのです。凄いことですね。でもライツ社もなかなかのものです。

泥石鹸をご存知でしたのね。
確かに皮膚の脂肪が取れないで使った後もしっとりしていますね。
クレオパトラにも効いたのでしょう。
でもずっと続けるのも結構根気がいるものですよね。

投稿: tona | 2012年7月13日 (金) 21:23

ちょっと思いがけないコンビですね。
高木さんのライカ事件に似た話は他の人のことでも聴いたような記憶があります。
衝動的に車に乗ってもその後長い時間を堂過ごすのかといささか信じがたいのですが、それこそ奇人変人のすごいところなのかもしれないですね。

投稿: 佐平次 | 2012年7月14日 (土) 07:35

★佐平次さま

全くこのコンビは奇人変人に入るでしょう。
売れた作家はゆうに3年分の初任給を1回の旅行に充てることが出来たのですね。
送り出す奥さんたちも肝っ玉が太いという感じです。

投稿: tona | 2012年7月14日 (土) 08:27

お早うございます。
ヨーロッパ紀行、同行が30人とは凄い数ですね。ハングリーさと不安も大きかった時代ですね。企画した人は何を目指したのでしょうか。

一方でソニー等日本企業が技術開発し世界に進出し始めた頃ですね。
ライカの教訓はきっと日本企業にいかされたことでしょう。

昭和45年には既に日本人ビジネスマンは地球上のあらゆるところで活動していてビジネスをやっていました。
驚くことは45年からの2年間で日本人の収入が2倍になったわけですから。

日本が輝き始めた頃の作品で思い当たることが多いことでしょう。
読んでみたい本ですね。
有難うございます。

投稿: macchanny | 2012年7月15日 (日) 08:25

★macchannyさま

おはようございます。
ご実家の中津は大丈夫でしょうか。一日も早く水が引いてくれますように。

この旅行の目玉はバイロイト音楽祭でワーグナーを聴くことで、その他の都市でも夜の音楽会が企画されています。
当時は有名な方やお金持ちの方がツアーに入って行ったのでしょうか。今はそのような方はツアーには乗りませんね。
この頃の日本ビジネスマンが世界各国で格闘しつつビジネスを展開していったことが、こんなに多い1億3000万人の人々を豊かに暮らせる礎になったのだと聞きました。
山崎豊子の小説にもあります。今は海外赴任を嫌い会社を辞める人もいるそうで随分様変わりです。
このお二人が海外旅行から勉強されたことは多いでしょうが、果たして作品に影響しているかはその後読んでいませんのでわかりません。兎に角珍道中とも言える内容で楽しめます。ありがとうございました。

投稿: tona | 2012年7月15日 (日) 08:40

1ドル360円の時代に(当時のドイツ貨幣の為替レートは知りませんが)
片道350㎞をタクシーで往復とは…
いい度胸ですよね。
47年前であっても、欧州の古い街並みは今と殆ど変わらないでしょうね。
日本の街並みの
47年前と今では、比べ物にならないでしょうが…

投稿: zooey | 2012年7月15日 (日) 21:41

★zooeyさま

高木氏は大物です。小説からは想像も出来ません。
今のベストセラー作家やロングセラー作家の収入まで想いが及んでしまいました。

本当に書いてある景色などいろいろ何も変わっていませんね。
日本はもう何も面影がないような変わりようですね。欧州のあの保守性というか、大事にすること、きれいであることが不思議で仕方ありません。
出かけていて遅くなり失礼しました。

投稿: tona | 2012年7月17日 (火) 08:27

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