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2012年8月 5日 (日)

スローリーディング

名門灘中学で21歳から71歳まで国語教師として教壇立った橋本武さんは、この夏100歳になられた。
教科書を使わず、中学の3年間をかけて中勘助の『銀の匙』を1冊読み上げるという、スローリーディングの国語授業で近年、脚光を浴びた。
教え子で神奈川県知事の黒岩祐治氏が『恩師の条件』で書いてくれたことから取材がいっぱい来て、死んでいる暇がないそうだ。大還暦の120歳までめざすのでその時の服や辞世の句を決めているとか。
それにしても3年間の国語の授業がこの本1冊だけとは。横道にそれてそれて楽しむ授業って楽しいでしょうね。駄菓子が出てくる場面では生徒と食べたそうだ。推して知るべし。教師自身がいろんなことに興味を持てば、雑学や知識の幅が広がり、人生が豊かになると仰る。
ということで、すっかり忘れていた『銀の匙』を読んだのです。
明治時代の頃の話ですが、生活の様子や遊び、風習など殆どは私が物心ついて体験した戦後と違和感がなかったのが不思議。それほどに明治から昭和まで変化がなかったのか。さすがここ2,30年の変化で今の子供たちが読んで、どのように感じ、内容が分かるのでしょうか。28年前の1984年に辞められたあたりの生徒はどうだったのでしょうか。橋本先生の魅力的な授業で体験したことのない世界に引きこまれたのでしょう。

解説を引用すると:夏目漱石がこの作品の独創性を強く感じ、高く評価した。先人の影響が全然認められない。それはただ正直に子どもの世界を描いたものであるが、作者はおのれの眼で見、おのれの心で感じたこと以外に、いかなる人の眼をも借りなかった。言いかえれば「流行」の思想や物の見方には全然動かされなかった。
大人の見た子供の世界でもなければ、大人の体験の内に回想せられた子供時代の記憶でもなく、子供の体験した子供の世界である。子供の体験を子供の体験としてこれほど真実に描きうる人を漱石は他に見たことがないと言ったという。

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数年前のイワタバコに会いに飯能の吾野に行きました。今年は咲くのが遅いようでまだ蕾が多かった。
イワタバコ科の多年草で湿った岩壁に着生している。鎌倉のたくさんのお寺で見られます。若葉は食用になるそうだ。

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                  イワタバコを育む苔蒸す川
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             ハグロソウ(キツネノマゴ科ハグロソウ属)Photo_5

ウバユリ(ユリ科ウバユリ属)花が満開になる頃には葉が枯れてくるため、歯(葉)のない「姥」にたとえて名づけられたとのこと。
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コメント

お早うございます。
写真を見ているとひんやりと涼しさを感じます。
橋本武さん、銀の匙の話は良いですね。
子供教育には本を読んであげること、好きにさせることがどれくらい大切かということを感じます。

詰め込むのではなく徹底して吸収させる教育の重要性を教えてもらった感じです。
信念があって、きっと落ち着いた良い子が育つことでしょう。

「100万回生きた猫」でしたか、今の私でも心に残る絵本・一冊です。
猫には猫の幸せがあるということ・・・。

良書をしっかり読むことの大切さを改めて感じます。この前も改訂版が出ていたのを見かけました。

投稿: macchanny | 2012年8月 6日 (月) 07:33

元灘校の橋本武さんは伝説の教師として何度かテレビで拝見しました…
(見たことないのですが)仙人のような趣で(笑…ユニークだと思いました~♪
拝見したとき…シュタイナー教育を思い浮かべていましたが…
どんな授業をされていたのか…受けてみたい気もしていました…

じっくりと3年間かけて『銀の匙』一冊を読み上げる…これも良いですが…
要は何でも「学ぶ」ということが好きになれば良いと私は思っています…
小・中学校ではそれに徹する!ぐらいのゆとりが欲しいと…

本格的なお勉強は高校になってから…大学は専門的なことを履修すれば良いのです…
大学生になって小学校の復習から入るという今の授業には疑問だらけです(笑

特に歴史などは寄り道しながら興味を持たせることが簡単です~♪
生きる知恵が随所に散らばっていると思うのですが…

ある有名な代議士の秘書が「大学で習ったことはみんな忘れた!」と公言していました…
たいした事は学んでなかったということなのでしょう(笑

投稿: orangepeko | 2012年8月 6日 (月) 10:03

こんにちは。
3年間で1冊の本を、ですか。本の中に書かれていることを
実際に体験してみたり、書かれていることから興味関心の枝葉を伸ばしての
あちこち道草があったり、色々な学びがあったのでしょうね。
楽しそうだなぁ。学校の授業で、先生が教材から羽を伸ばして語ってくれる
話はとても面白いものですよね。
きっとスローリーディングの授業を受けた子達は、物事に多彩な興味関心を
持ってじっくり追いかけていく豊かさのようなものを育んだでしょうね。

イワタバコ 綺麗な色ですね。実物を見た事がありませんが、これまで
拝見してきたものより色が濃く素敵に見えます。
薄暗い中に咲くハグロソウにウバユリ、清流、ヒンヤリと気持ちの良い
空気も感じさせていただきました。
 

投稿: ポージィ | 2012年8月 6日 (月) 10:14

読むそばから忘れていく私には羨ましい才能です。
南方熊楠の文章も次から次へとわき道にそれて、それがいつの間にか元に戻って面白いですね。
彼も自分の目、自分の頭で世界を理解した人です。

投稿: 佐平次 | 2012年8月 6日 (月) 10:15

★macchannyさま

こんばんは。
薄暗い川ですが、水の音からも涼しさをもらいました。

そうですね。小さい頃本を読んで聞かせることは、後に大きな影響を与えるそうですね。
学問を好きになり、勉強をしよううと意欲を燃やした学生がたくさん輩出したことでしょうね。
「100万回生きた猫」もなかなかよい本ですね。感動を受けます。
最初は良書を選ぶことが出来ないので教師や親が選んであげることが大切ですね。
子どもが良く育つには親や先生次第ということになりそうです。

投稿: tona | 2012年8月 6日 (月) 20:36

★orangepekoさま

橋本先生はどれだけ寄り道して、どんな知識を生徒に与えたのでしょう。その知識が生徒の頭の栄養になって、先生を超えるような子も出たのでしょうか。
私も先生の授業を受けたいです。最近もなさったそうですね。
勉強や学ぶことが好きになるということが、家だけでなく学校の教育の場でも培われたら、本当にみんな生き生きとすることでしょう。年齢が低い段階が重要かもしれない。つまり小学生、遅くとも中学生時代には。
そうでした。特に理数系の基礎が出来てないとかで大学生が復習ですってね。
ある方が言っていましたが、会社に入ってからの昇給試験で人生で1番勉強したとか。
社会に出る前に人間をつくり上げなければと思いますが、実際には受け入れ先が教育していくのが多いそうです。

投稿: tona | 2012年8月 6日 (月) 20:50

★ポージィさま

こんばんは、
こんな道草授業は国語でしか出来ないと思います。
私も受けて見たかったです。もしかして違う人になっていたかしら。
高校の時に漢文からナポレオンの話までいった先生を思い出しました。
教え子の中にはどんな方たちがいるのでしょう。同じように教師になって新たに子どもたちに同じようにいろいろ興味を持たせ、才能を引きだしたり想像力を高めさせたりしている方たちも輩出しているのでしょうか。

イワタバコ、有り難うございます。何度か見てやっと次に見たらイワタバコとわかるようになりました。
ウバユリの名前もちょっと気の毒になりました。これらは皆、薄暗い所がそれなりに似合っています。

投稿: tona | 2012年8月 6日 (月) 21:01

★佐平次さま

私は映画も数年間で全部忘れています。
南方熊楠の本は1冊しか読んでないですが、そうだったのですね。
人の影響を受けないで自分の目、頭で世界を理解とは。
今度は是非この方の本を読んでみなくては。大英博物館で猛勉強した熊楠を知りたいです。ご紹介有り難うございます。

投稿: tona | 2012年8月 6日 (月) 21:08

灘高校に名物先生がおられたという
噂は聞いたことがありますが
この方のことだったのですね。

イワタバコの花は見たことが
ありません。
これこそは園芸店にもないですし、
山に行かねば見られませんね。
貴重な写真です。

ウバユリにそんな由来があるとは
存じませんでした。
愉快なネーミングですね。

投稿: matsubara | 2012年8月 7日 (火) 08:51

★matsubaraさま

おはようございます。
朝日夕刊の「人生の贈り物」欄に人生と写真が載っていまして、やっとお顔と繋がりました。

イワタバコは鎌倉のお寺にあることを数年前知って驚きました。ずっと鎌倉と近かったのに知りませんでしたから。煙草の葉に似るという若い葉は食べられるのだそうです。

姥とはいってもこの頃歯の欠けたおばあさんをとんと見なくなりました。しっかり歯医者に行きますものね。

投稿: tona | 2012年8月 7日 (火) 09:24

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