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2013年2月 2日 (土)

バラの文化史 ーロザリアンの愉しみー

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早稲田大学オープンカレッジに通いはじめて3年目、今回のロザリアンの田中稔久先生による「バラの文化史」が面白かったです。
先生ご自身はバラの栽培の専門家でなく、バラを愛するロザリアンで、歴史から、文学から、映画・絵画・音楽などいろいろな角度からバラを探求していく講義で、バラが世界でこんなにも愛され、文化を高めていっていることを知る。
バラはアジア原産のようです。原種のバラは一重で五弁。日本に自生する野生種のノイバラが万葉集にも2首(4352、3832)歌われている。
その後平安文学、式部や清少納言に始まり、江戸時代までノイバラか中国からのコウシンバラが出てきて、正岡子規の歌になると洋種のバラなる。「くれなゐの 二尺伸びたる薔薇の芽の 針やはらかに春雨の降る」
絵では伊藤若冲などにコウシンバラが描かれ、松島には洋種のバラが描かれているそうだ。日光東照宮や大猷院の彫刻にも見られるという。(三猿や眠り猫の所にも)

西洋バラ事情は宗教にかかわり、近現代の園芸の頂点がバラだ。
聖母マリアの別名は「奇しきバラの花」。中世のバラ窓。宗教画。イギリスのバラ戦争。
イスラム教においてはダマスク・バラで赤いバラが唯一神アッラーであり、白いバラはムハンマドの額の汗という。
初めて知ったのが、ローマ帝国崩壊により、ヨーロッパからきれい好き文化(風呂好き、精油が必需品)が消滅してしまって、風呂に入らない不潔な民族になったのだ。ところが十字軍遠征により、イスラム文化と出会うことで、ヨーロッパ人は改めてバラと精油の文化を知る。
もう一つは、あちらでは偉大なる2つの花はバラとユリで、「ユリはバラに次ぐ二番目に高貴な花」ということで聖母マリアの純潔の象徴(マドンナ・リリー)を絵の中に見る。ただし、マドンナ・リリーには雄しべが描かれていないという。そうだったのか。例外はレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」。彼は科学者でもあったのでありのままに描いたそうな。
といった具合でまだまだたくさんあって、おもちゃ箱をひっくり返したようと先生は言われたが、バラに関する話題がたくさん飛び出してレジュメも26頁もありました。

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コメント

おはようございます
 
ガラスの容器の中はプリザーブドフラワーのバラのアレンジメント
でしょうか? それともドライフラワーを特殊加工したもの…?
ステキですね。
 
薔薇愛好家のことをロザリアンというのですか~
バラは日本でもずいぶん古くから愛され続けてきたのですね。
でも、昔の日本では園芸品種が発達することなく、それが行われたのは
ヨーロッパでですよね? ユリもそうですが。
日本は自然の中にあるがままの姿を愛でるのが長く主流だった
ということなのでしょうかね…
 
原産地や日本のノイバラが多くの園芸バラの親となっている、
という辺りのことは知っていても、絵に描かれバラや短歌に詠まれたバラの
種類が何?といったことは、関心すら向けたことがありませんでした。
そこまで調べられるものとは驚きです。
宗教との関わりもこんなにも深いのですね。
これほど世界中で愛され続けてきた花は他にないかもしれないバラという花。
だからこそ、調べれば調べるほどそこにまつわる様々なエピソードがあって、
興味は尽きないのでしょうね。バラと共に人間模様ありの感です。
 

投稿: ポージィ | 2013年2月 3日 (日) 09:26

楽しい講義だなあ。
白バラが汗ってすごい連想です。
童は見たり、野中の薔薇、、ウエルナーとシューベルト、どっちもいいですね。
レスラインレスライン、ローットって覚えました^^。

投稿: 佐平次 | 2013年2月 3日 (日) 10:22

★ポージィさま

ありがとうございます。ブリザーブドフラワーです。ガラスに入っています。流行りだしたのは2000年頃からと言われていますが、それより5年くらいは前に頂きまして、18年は過ぎていますが、ガラスに入っているお蔭かまだ何も痛んでいません。10本のバラが生きているのです。

ノイバラの種類のバラをずっと愛でてきて、絵に描き、歌に詠んだり、物語の中に書いたのは、豪華なものよりワビ、サビの世界を好んだ国民性があるらしいのと中国からしか入らなかったからです。
江戸時代より園芸が盛んになりましたけれども、何しろ鎖国していたので、日本から出島を通して出ていくだけだったようですね。
日本や中国原種のバラがモダンローズに貢献したのですね。ユリやツツジもそうですね。

絵の中のバラなどの種類を殆ど特定しているのですよ。
日本の宗教にはバラは関係しないと思いますが、イスラムやキリスト教にかくも関わっているとは驚きました。
先生はNHK趣味の園芸のこの1年間のバラ部門を担当したそうですが、聞いたばかりで2月と3月しか見られません。
4回に渡った講座なのですが、まだまだしゃべりたいことがいっぱいあるそうです。参考文献や辞書の数、バラ園などかなり紹介していただきました。

投稿: tona | 2013年2月 3日 (日) 19:07

★佐平次さま

この数年で1番面白い講座でした。
イスラム教ってかなり変わっているというか、私には理解に苦しむ宗教です。

ゲーテの原詩に作曲したウェルナーとシューベルトの薔薇の歌、いいですね。
私は最初と最後の部分しかドイツ語が出てきません。
近藤作風は両者の訳を変えているのですね。
そして聞いところに寄りますと、
ウェルナー版は民衆用で、シューベルト版は歌手用なのだそうです。
その他ヨーロッパではたくさんの人が作曲しているそうで、これはゲーテのせいかバラのせいかということです。

投稿: tona | 2013年2月 3日 (日) 19:18

バラの講義とは面白そうですね。
原産地がアジアとうのは意外な感もしますが、野山を歩いてノイバラや
サンショウバラを見る機会があることを考えると、なるほどとも思えます。

キリスト教にとっての偉大なる2つの花はバラとユリ・・・
そういえばクリスチャンの学校の紋章にユリが使われるのはそのせいなのですね。
納得です。

話は変わりますが、洋風の外見の我が家を建てたとき、庭中にバラを植えたいと主張したら、
「バラは病害虫に弱いので、手入れが大変!」
「バラの下には草一本生えないくらいの消毒が必要」と夫に言われ却下されました。


投稿: nao♪ | 2013年2月 4日 (月) 14:10

★nao♪さま

古今東西、バラはあらゆるジャンルに出てくるのでとても面白いです。
そういえばサンショウバラも一重五弁で原種に限りなく近いのですね。
バラの原種の中国原産コウシンバラは日本で見るのは園芸品種になって八重咲きが見られるようです。フラワーセンター大船植物園にあるそうです。見に行ったらnao♪さんにお会いしたりして。

バラの咲いているお庭といえば、イギリスの普通の家は皆咲いているのですよね。湿度がなくて虫がいないからあんなに簡単に植えて育てています。
我が家は洋風でもなく狭い庭なのに、最初9本くらい植えたのですが、今は4本になりました。
虫も大変、冬さえも手入れが必要ですものね。我が家の方に80本くらいあると思うのですが独りで世話をしている方がいます。

投稿: tona | 2013年2月 4日 (月) 16:40

バラはあらゆる花で最も魅力がありますね。
その研究をずっとされている方も幸せですね。
日本のノイバラも素朴でよいと思います。

聖書ではバラはユリに負けているようです。

我が家にも多くのバラがありましたがすべて
枯らしてしまいました。

シューベルトとウェルナーの「のばら」は
どちらも原語で唄うようドイツ語の先生に
18歳の時厳しく教えられましたので
そらんじています。ついでに菩提樹も教えて
貰いました。その日の授業はまるで音楽で
先生の美声が今も耳に残っています。
カラオケで順番がきたとき、この歌で逃げる
こともあります。


投稿: matsubara | 2013年2月 4日 (月) 18:57

★matsubaraさま おはようございます。

バラは花の中で最も愛好家が多く魅力的です。
育てるのは大変で、今朝見たらこの間の雪で小さな1本が折れて消えていました。3本になってしまって、3分の1に減りました。
花では年齢を重ねると、好きなのが豪華な八重から素朴な一重に変わっていく人も多いそうです。何となくわかります。日本人故でしょうか。

のばらの歌はドイツ語で確かに習いましたが、途中抜けの私です。最初と最後だけは覚えているのですが。それより4歳頃に覚えた「お山の杉の子」は全部歌えます。
菩提樹もいい歌ですね。青春の頃を思い起こす歌。カラオケで歌われるなんて、ほほえましいです。

投稿: tona | 2013年2月 5日 (火) 08:20

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