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2013年9月 8日 (日)

清水咲栄著『雪国89歳の郵便配達おばあちゃん』

431x640今年90歳になる清水咲栄さんが、長野・新潟県国境近くの飯山市の豪雪地帯で20年間郵便配達をしている。その清水さんの語りを記録した本。それは清水さんの朴訥とした温かみが伝わってくるものになっている。
4.5mも雪が積って家が隠れて見えなくなる冬場(12月から3月)だけ、地元を熟知した清水さんが70歳の時、日本郵便から郵便集配受託者を拝命して続けている仕事だ。
新雪が次々積り足が潜ってしまうような山道を2つの集落に向かって、集配の仕事は一日とて休むことはない(20年間で娘さんが亡くなった日だけ休んだ)。
山深く、雪深いから、ぽつんぽつんと点在する家々は雪に埋まってどこにあるかわからないうえ、名前がほとんど同じなので普通の集配人では出来ないので受託者にお願いしているわけだ。清水さんは70歳の時どうしてもって頼まれとりあえず1年という気持ちで引き受けたがそれが20年も続きこれからも続けたい気持ちだ。
清水さんは言う。この仕事がなかったら4か月家から出ることないから、足は弱り、人との交流もなくこの年まで元気にいられなかったでしょうと。配達のおかげで得た元気を死ぬまで保って、苦労を掛けた娘たちに恩返ししたいとも。
ポストをわざわざ家から離れた道沿いにつけてくれる家はあっても、その家の人と話したいためにさらに家まで上っていくという。
高齢になっての健康は、毎日どうしても寝込んではいられない仕事があって、しかも人との交流があることは不可欠。いろいろ制約があって苦しいこともあった上での笑みと元気なのですね。以前紹介した農家と薬屋さんのおばあさんも程度の差がありこそすれ、全く同じです。

また咲栄さんが語る田舎の四季の暮らしが、一面素朴で貧しくて苦労が多いけれども、充実していて自然と一体となっている様子が絵のように語られる。
そしてもう一つ、事情があって、子どもの頃から続く壮絶とも言える貧乏で働き続けの人生に驚愕する。
何故高齢者にとって困難な雪国の郵便を嬉々として続けられるかが、そこまでの人生に支えられていることがわかるエピソードとなっているのです。

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コメント

この人のことをテレビの特集で観たような記憶があります。
素晴らしい人生ですね。

投稿: 佐平次 | 2013年9月 8日 (日) 11:20

年寄りに必要なのはキョウイク(今日行く)とキョウヨウ(今日用)なのだそうです。
この清水さんはまさにそれを実践していらっしゃいますね。
春から秋にはきっと畑作業も忙しいことでしょう。

私のちっぽけな家庭菜園でもこの時期は草取りと秋野菜の植え付けで大変です。
暑くて中々はかどりませんが、山登りに行った祭に見る風景は、腰の曲がったお年寄りがやっています。
人間家にこもっていてはいけませんね。

投稿: nao♪ | 2013年9月 8日 (日) 13:43

★佐平次さま

テレビ朝日系「ナニコレ珍百景」とフジテレビ系「めざましテレビ」など多数のテレビに出演したそうです。
こんな素晴らしい人生もありで感動しました。

投稿: tona | 2013年9月 8日 (日) 14:08

★nao♪さま

キョウイクとキョウヨウ、私も新聞で見てその通りと感心しました。

そう、山に出かけたときに畑などで働いている風景を見かけますが、この清水さんも言っていますが、掘り返したり、雑草を取ったりが腰や膝に負担がかかってしんどいようです。そりゃそうです。家の猫の額の庭でも、nao♪さん宅菜園でも結構大変ですよね。
畑仕事のほか山菜採り、きのこや栗の実採り、野沢菜漬け、薪拾いの冬支度など続き冬は「雪掘り」が大変。南信では「雪はき」少し北で「雪おろし」、北信で「雪掘り」というそうです。それでもこれらの仕事が何もなくなったり、出来なかったらもう体はおしまいですね。どんどん出ていかなければですね。


投稿: tona | 2013年9月 8日 (日) 14:25

こんばんは (◎´∀`)ノ
この方のこと、初めて知りました。
本の写真、クリックして拝見させていただきました。とても素敵な笑顔をされていました。
このおばあちゃんにとって初めは「70才になって何でそんな厳しいことを…」と思われたのではないでしょうか?
しかし実際にやってみて、雪道を行くのが辛くても厳しくても、それ以上に楽しみができご自身の運動にもなったのでしょうね。
この仕事のおかげでボケや運動不足を防止し、今もお元気でいられるのでしょうね。
このおばあちゃんだからできる仕事、このおばあちゃんにしかできない仕事、本当に素晴らしく、敬服します。
いつまでもお元気で続けてほしいと願います。

投稿: 慕辺未行 | 2013年9月 8日 (日) 23:51

★慕辺未行さま

おはようございます(o・ω・)ノ))
そう、本当に良い笑顔ですね。
テレビに出ていたそうですが、私もこの方のことを知りませんでした。
日本には雪深い地域にこんな郵便制度があることも知りませんでした。
雪国の冬の厳しさを改めて認識しました。
人間、困難そうに見える事でも、思い切って飛び込むと思ってもみなかった世界が広がるものですね。
まさにこの方の天職となったわけです。
誰でも出来る事ではなくそれまでの大変な生活があったから目をつけていただけ、毎年で元気に仕事ができているのですね。
見方によっては羨ましいようなお話です。
記録を作ってほしいです。

投稿: tona | 2013年9月 9日 (月) 06:47

考えて見れば、今の私の年齢にこの仕事を
はじめられたということですね~
とても真似ができないです。今は前からのこと
を継続することがやっとで、新しいことに対して
なかなかとりかかることは難しいです。
継続もどこまでやれるか不安になってきました。
すごい人ですね~

投稿: matsubara | 2013年9月 9日 (月) 08:57

おはようございます
 

初めて知りました。充実した毎日を送っていらっしゃるんですね。
雪深い集落を毎日歩いて回るのは、今私がここで想像するより
はるかに大変なことだと思いますが、そんな苦労が帳消しに
なるような素晴らしいものを、この仕事の中に見つけられたのですね。
この方だからこそできる仕事が、集落の皆さんにもご自身にも
役立ち、生きがいともなっていること、素晴らしいです。
またまた大切なことを教えられました。
出て行く、飛び込んでいくことがなかなかできない自分を反省します。
 

投稿: ポージィ | 2013年9月 9日 (月) 09:27

★matsubaraさま

おっしゃる通りです。
もうこの年になると新しい仕事なんてないし、あったとしても引き受けられません。
日本郵政もよく人を見て、信頼したと思います。
そう、継続もままならなくなって、かなり努力が必要になってきました。
でも何もしないのが一番悪いのですよね。
自分にとにかく出る事と言い聞かせます。

投稿: tona | 2013年9月 9日 (月) 14:17

★ポージィさま

こんにちは。キラキラに晴れましたね。

この方は長い間行商をされていたのですが、そのことが郵便配達につながったのだそうです。大変な坂道を歩くことが出来て、集落を熟知していることですね。
思い切ってやったからこそ最上の喜びを得たのです。
冬の4ヶ月のためにそれ以外の毎日、同じ道を歩いて訓練しているそうです。腰と膝が痛くて、草取りなど辛いようですが、それでも畑をやって自給自足をしているそうですから凄いですね。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2013年9月 9日 (月) 14:28

このおばあちゃんの事、何度かテレビで見ました。
すごいですよね~ 雪の中でも郵便配達して
楽天的というか、小さい事に拘らずに
元気一杯で過ごすのは長生きの秘訣なのかもしれません。
配達先での人とのかかわり合いも良いのかもしれませんね^^

投稿: pochiko | 2013年9月10日 (火) 13:12

★pochikoさま

テレビでご覧になったのですね。私は見ていないので、初めて知りました。
雪にほとんど縁がないですが、豪雪地帯の雪の上を歩くのは大変と想像ができます。
どうしても休めない仕事があることと、配達先の人たちとの会話が元気の秘訣だったのですね。体にはきつそうなことでも毎日こなしていると慣れて大丈夫のようです。
家の中の仕事も放棄して人任せにしないでずっとやり、人とのコミュニケーションを何とかとっていきたいですね。

投稿: tona | 2013年9月10日 (火) 15:37

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