「大浮世絵展」江戸東京博物館
国際浮世絵学会創立50周年を記念して開催されている。
教科書に出てくる作品がずらり、それも国内だけでなく大英博物館、シカゴ美術館、ベルリン国立アジア美術館、ギメ東洋美術館から厳選された傑作が340選。
1月から3月2日まで1週間ごとに8回にわたって展示が入れ替えられ、私は第3期138点を見てきました。
浮世絵の生まれる前から終焉まで代表的な作品の流れで、その歴史がよくわかるように展示される。
広辞苑によると浮世絵とは・・・江戸時代に発達した民衆的な風俗画の一様式で、肉筆画もあったが、特に版画において独自の美をひらいた・・・とある。
浮世絵は、版元・絵師・彫師・摺師によって作られた芸術品としての性格と、当時の社会風俗の画像資料としての性格があり、報道性があったのです。
1.浮世絵前夜 浮世絵が生まれる前は初期肉筆風俗画といって遊楽の姿を描いた屏風や美人図であった。
2.浮世絵誕生、初期浮世絵(最初は黒一色だったのが、次はそこに上から色を数種塗ったものだった)。始まりは寛文年間(1661~1674)であった。
①黒摺絵・・黒一色の版画:菱川師宣
菱川師宣「戯れへのいざない」
②丹絵(たんえ)・・黒摺絵の画面の必要部分に赤い鉛丹を彩色した:鳥居清信
紅絵、漆絵・・紅花から製した紅を主とし、黄色、橙色、褐色を用いた。漆絵は膠の多い黒を塗ったので漆のような光沢がある絵:奥村政信
③紅摺絵・・紅を主色に緑か青か黄を加えた2色か3色摺誕生:絵師は上記の人々や鳥居派が制作
3.錦絵・・多色摺の浮世絵版画誕生
①初期・・鈴木春信 美人画
勝川春章 役者絵・大首絵
②黄金期 美人画、役者絵、武者絵、風景画、名所絵、戯画、風俗画、風刺画、娯楽画
鳥居清長
喜多川歌麿
東洲斎写楽
歌川豊国 渓斎英泉
葛飾北斎
歌川広重
歌川国芳
喜多川歌麿「当時三美人」 冨本豊ひな 難波屋きた 高しまひさ
③浮世絵終焉から新たなステージへ(明治30年代後半には浮世絵250年の歴史の終焉を迎えた)
月岡芳年(国芳門下)、落合芳幾
小林清親
橋口五葉(夏目漱石の挿絵)
河鍋暁斎
伊東深水(朝丘雪路の父)
川瀬巴水
以上たくさんの浮世絵師の中から何回かの美術展で見て、自分の知っている人だけを羅列しました。
明治初期、陶磁器の輸出の梱包に使われた浮世絵が、欧米人に喜ばれ、その芸術性は高く評価され多くの画家に影響を与えました。それが契機になって多くの作品がどんどん海外に出て行きました。それは第2次世界大戦後も続き、先日行ったクリーブランド美術館蔵の日本美術品も戦後に収集され、里帰り展が開かれています。こうした日本美術収集は現在もなお続いているのです。
西洋絵画にはない画面構成や彫摺の高度な技術(毛の生え際は1ミリ間に5本の細線を彫分けるというから驚く)、絵の内容、和紙などの浮世絵芸術が他の江戸絵画と並んで優れている所以でしょう。
日本国民が率先して大切にし、親しんでいかなけばならないと思いました。
江戸東京博物館に行ったときは「ちゃんこ鍋」です
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コメント
tonaさま
江戸東京博物館は以前から気なっていましたがまだ一度も出かけたことがありません。浮世絵についてもあまり知識がありませんが、ぜひ見に行きたいです。
投稿: evergrn | 2014年2月 1日 (土) 16:53
★evergrnさま ありがとうございます
私も浮世絵については、今まで個々の絵師のを見てきましたが、歴史がつかめていませんでした。
今回、時代順にたくさんの名画が並んでいて流れがよくわかりました。
この博物館の常設展も面白いですよ。
今はプラス広重の東海道五十三次をやっています。
投稿: tona | 2014年2月 1日 (土) 20:33
こんばんは (◎´∀`)ノ
記事に掲載してありますポスターを見て、「切手」を連想しました。
『見返り美人』『ビードロを吹く女(だったかな?)』『富嶽三十六景・神奈川』…、東海道五十三次もありますね。
浮世絵って、馴染みがあまりないようで、実はわりと身近にあったような気がします。
子供のころ、永○園のお茶漬けに『おまけ』で付いていたのが東海道五十三次の絵でした。
大人になってからよりも子供のころのほうが浮世絵を見ていたかもしれません (^_^;;
投稿: 慕辺未行 | 2014年2月 1日 (土) 23:52
米国の美術館、特にボストン美術館にも
たくさんの浮世絵がありましたね~
まとめて見ると壮観でしょうね。
何度も江戸東京博物館に行っていますのに
ちゃんこ鍋のこと知らなかったです。
本は読了したのですが、記事は別のことを
書き込んでいます。順番は明後日になります
ので、よろしく。
今日は、友人とコンサートに出かけその
記事の後になります。
投稿: matsubara | 2014年2月 2日 (日) 08:43
★慕辺未行さま
おはようございます
さすが切手青年!切手には世絵がたくさんあるのですね。
菱川師宣「見返り美人」は肉筆画でこのあと師宣は浮世絵を誕生させるのですね。
喜多川歌麿のは「ポッピンを吹く女」だそうです。
葛飾北斎も迫力あります。
浮世絵は切手にとても似合うような気がします。
お茶漬けのおまけ、そうだったのですか。知りませんでした。
同時開催の常設展では広重の「東海道五十三次」展をやっていましたので時間をかけて見てまいりました。これも何度見てもいいです。
慕辺未行さまは浮世絵的にも環境が良かったのですね。ありがとうございました。
投稿: tona | 2014年2月 2日 (日) 08:44
浮世絵からちゃんこ、いいですね^^。
投稿: 佐平次 | 2014年2月 2日 (日) 09:58
★matsubaraさま
アメリカの美術館の日本コーナーが楽しみであったのですが、時間がなくて見られませんでした。
こうして里帰りのを楽しめますので日本は恵まれていますね。
博物館の隣には国技館があるので、両国駅のまわりはちゃんこ鍋屋さんがたくさんあります。
読書感想文楽しみにしています。
毎日お忙しいのにありがとうございます。
投稿: tona | 2014年2月 2日 (日) 15:44
★佐平次さま
いろいろなちゃんこ屋さんがあるのに、いつも江戸沢になってしまいます。
そして、今度食べたいのがキムチちゃんこです。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2014年2月 2日 (日) 15:45
こんにちは
最盛期のころの浮世絵は教科書などでも目にしますが、
その始まりや発達の歴史などは知らずにいました。
最初は色がなかったのですね。
文化が花開いていったのは、浮世絵制作の各段階に関わる
職人さんたちの、匠の心意気と向上心たゆまぬ努力あってこそ
でしょうね。私は、素晴らしい技術のすべてはまだ知らないで
いるだろうなと思います。
現代の浮世絵師さんたちの作品も、これからまたどんどん世界に
認められ愛されるような芸術に育っていくと良いですね。
投稿: ポージィ | 2014年2月 3日 (月) 09:31
★ポージィさま
こんにちは。
歴史を知り驚いたのが最初から華やかでなかったことです。黒一色です。次がそれに色を塗ったというのがまたビックリでした。
そして華やかな色で摺ったのが錦絵と認識したのが今回でした。
浮世絵こそは彫師さんと摺師さんのすご技で、絵師が想像できないようなのを作り上げたそうです。凄いですね。10歳ころから工房で鍛えられていったそうです。
現在もテレビで2人ばかり見ましたが、そんな方の技がこれからも伝えられていくのでしょうか。
また新たな作品も期待したいところです。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2014年2月 3日 (月) 13:24