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2014年7月24日 (木)

映画『大いなる沈黙へ ー グランド・シャトルーズ修道院』岩波ホール

550x298グランド・シャルトルーズ修道院はフランスアルプスの山中の世間から隔絶された場所にある。
案内によれば、ドイツ人監督フィリップ・グレーニングが1984年に撮影を申請、それから16年の歳月を経て許可がおり、音楽・ナレーション・照明なしという条件のもと、監督ひとりだけが中に入ることを許された。監督はカメラを手に6カ月間を修道院で過ごし、俗世間から隔絶された孤独な世界で決められた生活を送りつづける修道士たちの姿を、四季の移ろいとともに映しだしていったドキュメンタリーだ。
一切を捨て、生涯を神に捧げると誓った修道士たちは、朝晩の礼拝堂でミサをあげる以外は、私語も禁じられ、独房で1日7回の祈祷を行い、独房で食事をし、食事作りや床屋や僧衣を縫うなど其々の日課を一人で行う。聞こえてくる音と言えば、鐘、風、雨の音や衣擦れ、床のきしむ音、鳥の声や虫の羽音などだ。
皆で食事は日曜の昼食だけで、会話を許されるのがその昼食後だけだ。
最後の方で唯一目の不自由な修道士が、「死は怖くない、嬉しい、神に近づけるし一緒になれるのだから」という趣旨の言葉が発せられたのがとても印象的だ。

修道院と言えば、ギリシャのメテオラの高い奇岩群の上のが最も印象的だが、トルコのカッパドキアの地下8階までのや洞窟の修道院や、図書室で有名なドナウのメルク修道院、巡礼者を迎え入れたモン・サン・ミッシェル修道院、そして『サウンド・オヴ・ミュージック』のマリアの居た修道院などが目に浮かぶ。
映画『薔薇の名前』を始めいろいろな映画で垣間見た修道院のことがあり、修道院内の様子がこの映画で初めてというわけでないが、音楽やナレーションや俳優なしのそのままというのが新鮮だった。

西村祐子著『不思議な薬草箱』に修道院のことが出てくる。
修道院とは;
「勤労と祈りの場」であり、基本的に自給自足
修道士たちは
森から木材を運び、自らレンガを焼く。
祭壇や壁に飾るキリストや聖人の像を彫り、絵を描く。
讃美歌も楽器も作る。
魚は川で捕まえ、肉は家畜を飼い食事を作る。
鍛冶や皮剥ぎの仕事もある。
農園では果樹、野菜、ブドウを栽培する。
薬草園では病気治療のための薬草を栽培する。
修道士たちは神学はもちろん、哲学、医学に長り、建築や絵画の才もあった。修道院はキリスト教文化の中心地になっていく。

これを読んでイメージして観たこの映画ではわずか野菜作りしか見られなかった。監督の6か月間は冬を中心としたもののようで、夏の戸外での活躍は見られなかった。

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コメント

この修道院で作るシャルトリューズという酒はカクテル「アラスカ」に使われます。
これを注文すると腕に覚えのバーテンダーは競って作りたがりました(渋谷に今もある「門」)。

投稿: 佐平次 | 2014年7月25日 (金) 11:02

★佐平次さま

カクテル「アラスカ」をネットで見てきました。グリーンと黄色の2種類のカクテル、きれいな色ですね。
この修道院の修道士2,3人しか製法が伝わっていないとか。20余人の修道士が一人一人映画でばっちり顔を映していますが、その中に携わっている方がいるのですね。
「門」もどのあたりにあるかわかりました。
教えていただきありがとうございました。

投稿: tona | 2014年7月25日 (金) 15:38

こんばんは
 
そのようなドキュメンタリー映画があるのですね。
私も修道院というと、礼拝ももちろんしますが、
それぞれ役割分担して野菜や薬草作りをしたり葡萄酒作りをしたり
家畜も飼い、製本もし…と多彩な活動をしつつ世界に向けて
伝道の旅に出て行く、というイメージでした。
このドキュメンタリーで映し出された修道士たちの暮らしは、
ひたすらひたむきな求心的な姿なのですね。
自己と神との会話に徹するというか…
 
 
どんな宗教でも厳しい修行や戒律が存在する派がありますが、
あまり厳しいのも、原理主義といわれるものに繋がりそうで、
ちょっと怖いような気がします。考えすぎでしょうか…

投稿: ポージィ | 2014年7月25日 (金) 18:38

★ポージィさま

半年の間に監督は生活を共にしましたが、いろいろな仕事をする姿の一部しか撮影が許されなかったというか、入り込めなかったのではないかと思いました。
↑で教えていただいたお酒を修道士がここで作っているのですから、酒蔵が出てきてもいいわけですが、全然出てきませんでした。
許可されるまでも16年かかったということですが、監督がそこまでこの修道院にこだわったわけは、その厳しさでしょうか。でもこの厳しさは情報として私たちがもうすでに知っていることばかりでした。それでも一日3時間以上続けては睡眠がとれないとか日に7回もお祈りの時間があるとか、一日中私語はいけないとか厳しいですね。ポージィさんのおっしゃる通りなのです。日本のお寺の修行にも通じるものがあります。千日回峰になると想像を絶する修行です。
イスラム原理主義や、オーナーが亡くなった韓国のキリスト教やオーム真理教など、もう抜けられなくて怖いですね。
欧州のキリスト教にはそのような類のことを今は聞かない気がしますが、私の不勉強なのかもしれませんね。
それにしても、どんな境遇に生まれてどんな考えの人がこんな一生を送る修道士になるのでしょうか。
そういえば、映画鑑賞者の中にシスターが多数見えていました。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2014年7月25日 (金) 20:29

ベルギーの修道院も何となく思い出しました。
オードリーヘプバーンの映画でロケされた
修道院がとてもステキでした。
そので美智子妃が皇室に嫁ぐ前、しばらく
滞在されていたことを聞いたので余計
神秘的に思えたりします。

投稿: matsubara | 2014年7月26日 (土) 20:48

★matsubaraさま

その映画は『尼僧物語』ですね。
そうですね。修道院が出てきました。
美智子妃が滞在されたとは知りませんでした。
いろいろな修道院を見ましたらついその生活や中を知りたくなります。
最初に外観だけですが見たのが北海道のトラピスト修道院でした。
ありがとうございました。

投稿: tona | 2014年7月26日 (土) 21:08

こんにちは。zooeyさんのご紹介でアクセスしてみました。ご挨拶まで。

投稿: としや | 2014年7月28日 (月) 22:03

★としやさま

ありがとうございます。
お伺いしたいですがどちらにお訊ねしたらいいでしょうか?
追記:zooey さんのところで事情がよくわかりました。

投稿: tona | 2014年7月29日 (火) 07:51

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