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2014年8月28日 (木)

東西における「かささぎ」

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かささぎは、日本では福岡、長崎、佐賀、熊本に留鳥として棲息する。見たことがなくて、ブリューゲルの絵に出てくるのを知っていただけだ。図鑑で見ると尾の長い白と黒の鳥だ。
日本では鳴き声が「カチ、カチ(勝ち、勝ち)」と聞こえるので、加藤清正が連勝を確信し、以来カチガラスという別名を持ち、縁起の良い鳥と解釈する。
中国も同じで幸福のシンボルとされ、鳴き声は吉報を呼ぶとされる。韓国では国鳥。

ヨーロッパでは正反対。黒と白なので「死における生」「生における死」という両義性と取られ、「偽善」と解釈されたり、魔女や悪魔鳥と見なされた。また雑食性で、穀類や昆虫の他小さなネズミや鳥なども食べる獰猛さも嫌われるし、光りものが好きで、スプーンや指輪など人間の持ち物まで巣へ運ぶ習慣があるから「盗み」のシンボルにもされた。
「泥棒かささぎ」というロッシーニのオペラは、銀食器を盗んだと疑われ、死刑になりかける娘の話。カササギの巣の中で食器が見つかり、間一髪で無実が証明された。
フランスでの実話は銀のフォークを数本盗んだと決めつけられた哀れな小間使いは縛り首になり、半年後、フォークはすべてかささぎの巣から発見された。
また鳴き声も最悪とされ、耳障りでやかましく感じられ、ドイツ語では「かささぎのようにおしゃべり」「口やかましいかささぎ」という言い回しがある。そこから派生してこの鳥は、密告する者の譬えに使われるようにもなった。

聖アントニウス病
中世三大疫病といえば、ペスト、ハンセン病、聖アントニウス病(聖アントニウスの火)。
聖アントニウス病とは、発症地がアルプス以北に限定されていた。
これは麦角アルカロイドによる中毒が原因で起こり、細菌感染したライ麦で焼いたパンで発症した。神経をやられるので痙攣性の発作に襲われたり、四肢の末端が焼けつくように痛んでふくれあがり、進行すると壊疽になって崩れ落ち、果ては死に至る難病である。手足が変形するのは、ハンセン病の重篤な場合と似ているので、どちらに罹患しているのかわからない場合もあったようだ。
ある一人の軽症の病人が聖アントニウスの聖遺骨に祈りを捧げて健康を取り戻したという。そのことから聖アントニウスゆかりの各地へ巡礼するようになる。
とりわけストラスブール近郊イーゼンハイムの聖アントニウス修道会へ、人々が殺到した。というのもここには治療院も併設され、修道士たちが薬草を煎じてくれたり、重病人には優れた技術で四肢切断を施し、末期の場合でも信仰による慰めを与えた。・・・まるで今のホスピスのようだ。
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4年前に、今はコルマールのウンターリンデン美術館にある有名なグリューネヴァルトの『イーゼンハイムの祭壇画』を見た。
業病に苦しむ一般庶民の癒しになるよう救いを与えるようにと、聖アントニウス修道会がグリューネヴァルトに依頼したものだったのである。病人たちは思わず絵の前に跪き、手を合わせて祈らずにはいられなかったという。・・・そんなこととはつゆ知らずただ有名だからと見ただけだった。
戦争、疫病、飢饉、天災が生み出す恐怖は人々にのしかかり、いかに人々が「救済」ということを渇望していたかがわかる一例でもある。
ちなみにペスト(黒死病)患者の守護神は聖セバスティアヌスだ。
以上中野京子著『怖い絵』から引用させていただきました。3年前から西洋絵画の絵解きを楽しんでいます。

ハツユキソウ(トウダイグサ科 ユーフォルビア属) 葉っぱのふちの部分が白っぽくなって雪がかぶったようになるので、名付けられた。
目立たない花なので、じっくり見たことがありませんでした。
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コメント

カササギは韓国語では「カチ(カッチ)」です。韓国でもカササギの鳴き声を聞くと吉がもたらされるといいます。細い足で素早く走る様子はとても優美です。

以下は韓国のカササギの民話です,ご参考になればと思います。

・恩を返すカササギ
  http://gakisroom.exblog.jp/4171812/

・七夕とカササギ
  http://gakisroom.exblog.jp/8233543/

投稿: gaki | 2014年8月28日 (木) 19:59

★gakiさま

2つのお話を教えていただきありがとうございました。
涙が出てしまうお話です。
韓国で国鳥といううのがわかりますね。
韓国語で「カチ」なのですか。
朝鮮戦争に行った加藤清正が引っかけたような感じですね。
ご覧になったそうで、韓国ではよく見られるのですね。私は一度も見られなかったです。鳥はよく観察する方なのですが、残念です。
それにしても西洋とは全く反対で驚きました。

投稿: tona | 2014年8月28日 (木) 20:44

こんばんは happy01
かささぎ、全く知りませんでした。
写真を拝見しますと、見たことあるような・・・、しかし他の鳥でしょう。
カラスというより、目が可愛いので九官鳥に似た顔の鳥かな?!
日本をはじめアジアでは縁起の良い鳥なのに、ヨーロッパでは嫌われ者の鳥なのですね。
ドイツ語でそのような言い回しがあるとは?!
また一つ雑学が増えました。ありがとうございました。

投稿: 慕辺未行 | 2014年8月28日 (木) 21:27

★慕辺未行さま

おはようございます。
ご覧になったとすればドイツなどヨーロッパでしょう。尾が長いですね。そのけたたましいという鳴き声を聞いてみたいものです。
感じ方が洋の東西で全く正反対なのにはびっくりしました。
他の点でもそういうことがまだまだありそうですね。文化の違いになって今日まできているのですね。ありがとうございました。

投稿: tona | 2014年8月29日 (金) 06:41

おはようございます
 

私は、長いこと「カササギ」という鳥は日本にはいないと
思い込んでいました。翻訳ものの物語(多分ヨーロッパの)には
度々登場して、喧しいとかあまり良い書かれ方をしていないことに
気付いていましたが。それが2年位前に日本でも見られるということを
初めて知って驚いたのを覚えています。
tonaさんがご紹介くださった習性を見てみると、カラス科ということに
納得します。オナガ(やはりカラス科)とも
共通点が感じられます。
国によって、捉え方がずいぶん違うのですね。
 

聖アントニウス病 については全く知りませんでした。
麦角菌というものも。 恐ろしい中毒を起こすのですね。
ヨーロッパではとても多くの方が亡くなったり不自由な体なるなど
したそうで、科学的に解明される前はさぞかし恐れられたと想像できます。
宗教と結びついたのもうなずけます。
現在では製粉技術が発達して大丈夫になったとのことで
何だかホッとしました。
現代も、解明されていない病気がたくさんあって、ちょうど今
アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱や、日本で約70年ぶりに
感染確認されたデング熱のことなどが頭をよぎりました。
 

ハツユキソウは葉っぱが華やかに花の役割?を果たす植物の
ひとつですね。夏場に、この爽やかさが魅力的ですね♪

投稿: ポージィ | 2014年8月29日 (金) 09:45

★ポージィさま ありがとうございます。

カササギは日本でも九州へ行くと見られるのですね。何て堂々とした姿でしょう。
尾もオナガのように長いですね。
国によってこんなに見方が違うなんて同じ鳥なのに信じられません。

聖アントニウス病も全然知りませんでした。
ペスト(黒死病)の猛威ばかりが西洋史では目立ち、ヨーロッパではペスト記念塔がたくさんの町に建っています。
病気にまで守護神がいて、それぞれを見ていきますとまるで多神教のようです。それほどに医学が発達していなかった頃は宗教に依存していたのですね。今でもアフリカやニューギニアや南アメリカ北部には宗教に頼っている地域が紹介されます。
デボラ出血熱やデング熱は原因がわからなかったり、わかっても治療薬がなくて、しかもこれからまだまだこのような病気が出てくるとか、いつまでたってもイタチごっこのようです。

ハツユキソウとショウジョウソウは今の時期、地味な花より葉が花らしく楽しめます。

投稿: tona | 2014年8月29日 (金) 11:37

カササギは、はじめて韓国で見ました。
かなり写真を撮った記憶があります。
ツートンカラーで綺麗ですし・・・
あまりカササギを追いかけすぎて団体から
はぐれそうになりました。

日本では短歌に詠まれていますので昔から
いたはずですのに、これまで知らず
ようやく一羽だけ今年見ました。
人に教えられて・・・

ハツユキソウは、本当にきれいです。

投稿: matsubara | 2014年8月29日 (金) 11:46

★matsubaraさま ありがとうございます。

まあ、韓国でご覧になっているのですね。
4回行ったのですが見られませんでした。
ふふふ、はぐれなくてよかったですね。
白い部分が黒と想像すると尾を除いてカラスそっくりです。

短歌には一首だけあるのですか。知ることが出来てよかったですね。

ハツユキソウはmatsubara家の庭の一角に似合うところもありそうです。

投稿: tona | 2014年8月29日 (金) 13:16

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