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2015年7月13日 (月)

宮田珠己著『だいたい四国八十八ヶ所』

ごく最近の新聞に、中国貴州省の田舎で、14歳の男の子と3人の弟妹が農薬を飲んで自殺したとありました。(漢民族らしいのにこの辺りは一人っ子政策ではないのか?)
母親は既に家を出ていて、父親は出稼ぎに行ったまま帰らず、子供たち4人で暮らしていたけれども、生活が出来ず、兄が死を選んだようです。大都会には富裕層が4000万人もいて、海外旅行や日本での爆買いなどいろいろ話題になっている一方、こんな悲しい田舎の極貧の暮らしがあって差が甚だしい。
アフリカでも飢えた子供が多いと聞くし、あちこちで戦火に怯える子供もいます。
日本でも昔は子供を間引きしたり、売ったりがありましたが、今はここまでの話は聞きません。
しかし最近話題になった戸籍のない子供の貧困、難病の子供、DVに苦しむ子供、あるいはいじめに遭って自殺など苦しんでいる子供など他にも考えると沢山不幸な子供がいることは事実です。
そうではあっても、中国のこの子供たちの話はとても哀れを誘いました。

宮田珠己著『だいたい四国八十八ヶ所』

例の『スットコランド日記』を書いた人です。
昨年だか四国霊場開創1200年を迎えています。
だいたいといっても、全部まわれなかったのではなく、物見遊山がなどがいろいろ加わってしまって巡礼一筋ではないためのようです。
<意味を考える前に計画を立て、結論が出る前に出発してしまう>というのが著者のやり方。
信心もなく、供養というわけでもなく、自分の人生をじっくり考えなおすという目的もなく、ただいっぱい歩いて全部回ってみたいという理由だけで歩き遍路に飛び出してしまった。
四国巡礼と言えば、以前大田区にある川端龍子の「龍子記念館」で、四国遍路の、札所で詠んだ俳句と画をじっくり見たことがある。
大変だったのだろうなあという感想で、大師信仰もなく、室戸や足摺などのあたりの歩きも自信がなく、行ってみたい心はあったけれどもあきらめた私。それがこの本を読んだら、すっかり全部歩いた気にさせられ、行ってきたも同然だ。だから行かない。
著者は足にマメを作って1歩踏み出すのさえ困難、難所や台風に遭いながらも、出会う人々と苦しみや楽しみを分かち合い、カヌーで下ったり、海に潜ったり、絶望的につまらない街道を歩いたり、美しい美しい景色に感動したりと、とうとうやり遂げたのだった。
著者独特のおかしみと八十八ヶ所のお寺の描写に惹きつけられた本でした。面白かった!

著者が本の中のどこかで、「婆」、つまりおばあさんはどうして波に関係あるのか?と疑問を呈していたが、7月10日付の新聞記事に理由が書いてありました。
「人生の荒波を何度もかぶって女は婆になる」という意味か?という質問に答えてです。
そうではなくて、古代中国で、おばあさんのことを「ブア」と言ったため、それに近い「プア」の音をもつ「波」を用いて「婆」の字を作った・・・とありました。

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コメント

私は読んで巡礼したつもりになろうかな。
ぜひ読みたいな、これは、図書館の予約枠(15冊)が一杯だからアマゾンかな。

投稿: 佐平次 | 2015年7月13日 (月) 10:36

★佐平次さま

ありがとうございます。
私が面白いというのはあてにならないですが、行った気になると思います。
巡礼する人にもいろいろな人がいますよ。

投稿: tona | 2015年7月13日 (月) 11:23

こんにちは
 
格差社会が、世界中のあちこちで問題になっていますね。
ISという集団も、元は格差が生んだものなのかもしれません…
それにしても14歳にして絶望して兄弟心中を決心するとは
どれほど追い詰められていたのかと悲しいですね。
 
四国八十八ヶ所巡りは歩いてはとても出来そうにありませんが、
飛び込んで成し遂げてしまう方も大勢いらっしゃいますね。
この作者の方、「信心もなく、供養というわけでもなく、
自分の人生をじっくり考えなおすという目的もなく、
ただいっぱい歩いて全部回ってみたいという理由だけで
歩き遍路に飛び出してしまった。」
という、この心境に魅せられてしまいました。
重い重い荷物を背負って歩き始める方もいるでしょうけれど、
こういう重過ぎない、むしろ軽いノリで歩き始めるのもイイナーと。
それだって、歩ききったときにはその間のたくさんのことが
全部その方の人生の糧の一つ一つになっていたに違いありませんね♪
 

投稿: ポージィ | 2015年7月13日 (月) 16:23

★ポージィさま

ありがとうございます。
そういえばISも格差が発端なのですね。
平和なヨーロッパの都市でもイスラムの移民が格差にいろいろな事件を起こしています。
様々な格差があるものですが、貧富の格差もこんな事件が起こって、永久に解決できるものではありません。悲しくなります。

巡礼もこのような方がいらしていいわけですね。型にはまっていては、何だか悲壮感が漂いますが、この方のは大変な場面もたくさんあるのに何だかとても楽しそうなのです。
人生もこのように生きていかれたらいいのですが。
仰るよう人生の糧になること請け合いです。

投稿: tona | 2015年7月13日 (月) 19:02

こんばんは happy01
中国は近年特に貧富の差が甚だしいと聞きます。
都市部の富裕層と地方の片田舎では、その差は天と地ほどではないでしょうか?
日本では相変わらずイジメ問題や暴力など、子供の自殺や暴行死が後を絶ちません。
いつからこんな陰湿な時代になったのでしょうね。

四国八十八か所、私も若いころ「やってみたいな」と思った時期がありました。
実際に歩いた方とお会いしたことがありますので。
しかし実現できないまま。
その代わり、ヒマラヤ山中を何日もある来ましたが・・・、それで良しとします (^_^)!

投稿: 慕辺未行 | 2015年7月13日 (月) 21:02

★慕辺未行さま

ありがとうございます。
今もまさにいじめによる自殺のことが毎日のように報道されていますね。
私たちが中学生の頃、いじめはあったのでしょうが、陰湿ではなかったのだと思います。
変な人も増えたような日本、毎日のように驚いています。どうしたのでしょうね。なかなか深刻です。

やっぱり四国巡礼を考えられましたか。
しかしヒマラヤは巡礼よりよほど大変ですね。でも素晴らしい体験をされて私には誇らしく思えます。大変なほど素晴らしい思い出になると信じています。本当に良かったですよね。

投稿: tona | 2015年7月13日 (月) 21:25

23年前大田区にいまして
川端龍子の「龍子記念館」で、四国遍路の、
札所で詠んだ俳句を見た筈ですのに
思い出せません。度々行きましたのに・・・

私も四国の88カ所はだいたいです。
牧野植物園とか正岡子規記念館中心に周り
漱石がいた部屋も保存してありましたし・・・
正確には巡礼とは言えない旅でした。
はりまや橋に失望したことも思い出しました。

佐藤錦がおいしそうです。

投稿: matsubara | 2015年7月14日 (火) 20:22

★matsubaraさま

ありがとうございます。
大田区に住んでおられたのですか。
それでしたら龍子記念館は近いですね。
駅から随分歩いた覚えがあります。

四国はさっと回っただけで巡礼に関係するお寺は一つもお参りしていません。
牧野植物園は昨年行く予定でしたが病院に行くためにキャンセルしたのが残念な思いです。
そうですね。はりまや橋ががっかり名所の最たるものですね。

投稿: tona | 2015年7月15日 (水) 09:47

世界の情勢に真摯に向き合うのは、大切なことですね。
tonaさん、偉いな~と尊敬します!
光公民館主催で年に1度、6回継続の「世界を知る講座」があり受講してました。
夜にも関わらず、椅子が足りないほどの出席率でした。
残念ながら終了してしまいましたが・・・
TVで知る以外は何も知らないお婆さんは、目が覚める思いでした!
激動の歴史に揺れる中国、中近東などは、毎年リクエストNO1でしたね。
バルト三国も、続いていれば絶対講座の希望があったでしょう。

北京を知らない山岳地帯の人々。隠れて子供を生み働き手にする人々。
それゆえ、都市からも子供を誘拐して労働力にする等々…
農民戸籍は、一生田畑に這いつくばって生きねばならない現状…
お金で都市戸籍を得る為に、身内を売るなど。
知るほどに、億万人の国の深い闇が浮かびますね。

四国霊場巡りのお話し、だいたいというのが素敵♪
このぐらいの気持ちが大事なんですね、構えるとろくな事が無い。
新婚旅行に行ったきりでしてsweat01
あの時は、巡礼の島とは知りませんでした~
長くなりまして、申し訳ありません。

投稿: だんだん | 2015年7月15日 (水) 11:22

★だんだんさま

たくさんコメントいただきありがとうございます。
光公民館では有意義な講座が開かれているのですね。私もあったら参加したかったです。
中国、中近東、まさしく今世界で注目を集めているところです。
中国の地方のことも詳しいのですね。
私はここまで知りませんでした。
今、何でもありの中国の事件には目を瞠りながら、驚きの連続です。バス転倒ぐらいでは死なないし、マナーにも驚いてしまうし、孔子や老子や孟子などの頃もそうだったのかしらと首をかしげてしまいます。
興味あると言えば一番が中国です。でも出かけたくはありません。

新婚旅行が四国だったのですか!思い出の地ですね。ご友人も今度巡礼に出発されるのですよね。どんな感想が聞けるでしょうか。楽しみですね。

投稿: tona | 2015年7月15日 (水) 16:11

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