« 鎌倉2・大町の寺社 | トップページ | 東京湾「猿島」と記念艦「三笠」 »

2015年10月12日 (月)

「伊豆の長八」展 吉祥寺美術館

424x600伊豆の長八とは入江長八(1815~1889)で、伊豆松崎出身の、東京で活躍した左官で、鏝絵(漆喰壁の鏝を使った浮彫に彩色を施した絵)で有名な人です。以前伊豆の松崎にある長八美術館に行ったことがあります。
そのすご技で建築・調度・塗額などに傑作を多く残したが、松崎では保存が進められているのに、東京では失われていってしまったそうだ。今年生誕200年で、長八美術館や個人蔵49点が吉祥寺美術館に集められた。入場料100円ですが、シルバーは無料です。

館内には漆喰(消石灰と糊と繊維が原料)の作り方の説明もあり、左官用の鏝の他、絵に使う小さなのまで様々な種類の鏝が展示されている。
漆喰原料の糊とは:海草のりで保水効果があり作業性が向上するし、粘土調整効果もある。
繊維がなぜ混ぜられるか:収縮防止や補強(つなぎ)効果を与えるのだそうで、麻に類する繊維が当時使われたらしい。

左官屋さんが鏝で壁を塗っているのは昔何回も見たことがあって、でこぼこしないように塗るのはすごく難しそうで、ケーキの側面のデコレーションのときもきれいに仕上げるのは大変です。
こんな道具であの素晴らしい絵が描けるのかと感心しました。 ここで違うことなのに、何故かレオナルド・ダ・ヴィンチらが漆喰を塗り、乾かないうちに顔料を塗っていくというフレスコ画を思い出してしまいました。

<塗額の鏝絵>
「秋江帰帆」「二見浦」「湖上観月の図」や「富嶽」など景色が描かれたのが素晴らしい。絵に目を近づけるとごく小さな凹凸があって、それが立体感をも出しているわけですが、その上にきれいに彩色されていて、鏝で描かれたとは驚きです。何という技能の持ち主なのでしょう。
        富嶽 (HPより)480x279
<塑像>
ちらしの「上総屋万次郎像」はまるで生きているみたい。「神功皇后像」などは神懸かっている。476x600
<掛け軸> とても鏝で描いたとは見えない。

<特殊作品> 印籠とか花瓶、屏風など実にいろいろ表現豊かな作品にしている、

<ランプ掛け> 龍と鷲の2作品
ちらしの「龍」をトリミングしてみると凄さがわかる。彫刻ではないのですから。
341x345
<建築装飾>
土壁に施された作品5点、伊豆の長八美術館に保管されているもの。

というわけで、器用な日本人に、こんな人がいたという誇りを感じた展覧会でした。

|

« 鎌倉2・大町の寺社 | トップページ | 東京湾「猿島」と記念艦「三笠」 »

コメント

伊豆の長八、凄い技術を会得してるんですね。
左官の塗りでここまで形作るって、想像も付きません。
これほどカラフルではありませんが・・・
貴重な鏝絵を残した宿に泊まりました。
出雲崎の「みよや」で登録有形文化財です。
玄関屋根は天使、一部の部屋に鏝絵が施されています。
あれを見るだけでも、どうして出来るのかが分からず、ため息ばかりでした。

投稿: だんだん | 2015年10月12日 (月) 20:16

★だんだんさま

本当に素晴らしい芸術ですね。
出雲崎も「みよや」について検索しました。
登録有形文化財という言葉も聞いてはいましたが、このような文化財につけている名前なのですね。
素晴らしい文化財をご覧になったのですね。
それにしても今までたくさん泊まられていらっしゃると思うのですが、よくきちんと覚えていらっしゃると、だんだんさんの記憶力の良さに驚嘆です。私は伊豆の長八美術館で見たのに全然覚えていなかったのです。今回は自分でも記憶力のなさに愕然としたところでした。
貴重な情報を本当にありがとうございました。
泊まる機会はなかなかなさそうなのが残念です。

投稿: tona | 2015年10月12日 (月) 21:05

こんにちは。お久し振りです。しばらく休んでいましたが、やっと再開しました。また宜しくお願い致します。

投稿: 多摩NTの住人 | 2015年10月13日 (火) 08:14

10年ほど前築160年の我が家の長屋門修築工事を
したとき、左官屋さんが白壁部分を漆喰で
塗っているのを見ました。糊も混ぜてあるらしく
ねっとりしていて、繊維の部分も漉きこんで
ありました。この左官屋さんを探すのも
大変でした。夫婦でないと仕事ができないので
す。息のあった2人を見て、感心していると、
「夫婦喧嘩もできない」と言っておられ
ました。

この龍のような技術はなくて、唯平坦に塗るだけ
でも大変そうでした。

投稿: matsubara | 2015年10月13日 (火) 08:19

おはようございます
 
伊豆の長八さんの鏝絵、まだ見たことがないのです。
職人技を芸術として開花させた長八さん、素晴らしいですね。
鏝を自在に扱う技術と、材料を熟知した知識と、芸術感性、探究心…
それらがすべてあってこその作品の誕生なのでしょうね。
漆喰の良さが見直されてしばらくになりますが、記事を拝見して、
その良さの訳も改めてよく分かりました。
今回の記事を拝見して、少し前にたまたまTVで見た、
「土のソムリエ」と称されるカリスマ左官挾土秀平さんのことを
思い出しました。

投稿: ポージィ | 2015年10月13日 (火) 09:17

伊豆には毎月のように行ってながら、未だこの長八美術館には行ってないのです。
西伊豆には何度か行ってて、この美術館の前は何度も通ってるのですが
tonaさんの記事を読むまでは、そんなに素晴らしい作品があるのさへ知りませんでした。

今度、西伊豆に行ったら早速行ってみますが
PCで調べもしましたので、知らずに見るよりも
知ってから見る方が数倍楽しいですね。
教えて下さり、ありがとうございました。

投稿: ラッシーママ | 2015年10月13日 (火) 10:46

★多摩NT住人さま

お久しぶりです。再開された由、また楽しみにお伺いいたします。こちらこそよろしくお願いいたします。

投稿: tona | 2015年10月13日 (火) 13:59

★matsubaraさま

あの大きな長屋門の修築工事大変でしたでしょうね。
今時あまりいそうにない左官屋さんを見つけるのも大変だったわけですね。
あの白壁が何の筋もボコボコした部分もなく真っ平に塗るのって難しそうですね。
そのお仕事を感心してご覧になられたのもよくわかります。
漆喰で絵を描いてしまうなんて驚きますよね。

投稿: tona | 2015年10月13日 (火) 14:04

★ポージィさま

こんにちは。
ポージィさんのおっしゃる通りですね。
左官の腕前だけでなく、絵心や感性も伴っていなくてはならず、いろいろなことに挑戦される偉大な芸術家です。
今の時代、漆喰の良さが見直されてから、漆喰を塗られた家に住むこと自体、もう贅沢なことになりました。何だか気持ちよさそうです。

挟土秀平さんのことを初めて知りました。その作品もサイトで見る事が出来ましたが、現代の長八さんですね。
土の良さを最大限に表現していかれる態度は素晴らしいです。
今も長八さんのような方がいらして何だか安心しました。
教えていただきありがとうございました。

投稿: tona | 2015年10月13日 (火) 14:12

★ラッシーママさま

西伊豆の長八美術館までは遠かったです。
とても疲れてしまったことを思い出しました。

今回この美術館や松崎・春城院や松崎・伊那下神社などからも来ていました。
伊豆にいらしたら、どうか楽しんできてくださいね。

投稿: tona | 2015年10月13日 (火) 14:19

こんにちは。お久し振りです。やっとブログを再開しました。早速お越しいただき有り難うございました。

投稿: 多摩NTの住人 | 2015年10月13日 (火) 15:51

★多摩NTの住人さま

お元気にマラソンもされて、この後の続きのマラソンも楽しみにしております。
お宅からかなり遠い所へいらっしゃるのですね。
こちらこそありがとうございます。

投稿: tona | 2015年10月13日 (火) 16:31

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/146506/62460493

この記事へのトラックバック一覧です: 「伊豆の長八」展 吉祥寺美術館:

« 鎌倉2・大町の寺社 | トップページ | 東京湾「猿島」と記念艦「三笠」 »