町田市のえびね苑とぼたん園(1)
藤原定家の小倉百人一首の中に、万葉集の歌人が五人選ばれています。ところがその五人の五首のうち、歌で万葉集にその人の歌としてあるのは二人二首だけです。
その二人は誰でしょう? 答えは一番下です。
秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ 天智天皇
春過ぎて夏来にけらししろたへの ころもほすてふ天のかぐ山 持統天皇
葦引の山鳥の尾のしだりをの ながながし夜をひとりかもねん 柿本人麿
田子の浦にうちいでてみれば白妙の 富士の高ねに雪は降りつつ 山部赤人
かささぎのわたせる橋におく霜のしろきをみれば夜ぞふけにける 大伴家持
実在不明の猿丸太夫
おく山に紅葉ふみわけなく鹿の 聲きく時ぞ秋はかなしき (新古今和歌集)
阿倍仲麿 日本に帰れず中国で亡くなる
天原ふりさけみれば春日なる 三笠の山にいでし月かも (古今和歌集)
この二人も万葉時代の人。
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4/23に東京・町田市の「えびね苑」と「薬師池公園」と「ぼたん園」を訪ねました。初めてです。この近くのダリア園には行ったことがあり、リス園はまだで、興味あります。
(その1)えびね苑 平成元年に開園 エビネの他、山野草がたくさん咲いていました。
エビネは海外に200種、日本に20種自生種がある。交雑しやすいので変性種が多いので区分が難しいそうだ。
町田で自生しているのはジエビネ(地海老根)のみだが、キエビネ(黄海老根)やタカネエビネ(ジエビネとキエビネの自然交雑種)などが植えられている。
エビネは花の構造を知っていると凡そ区別が出来そうだ。
花は花弁が3枚、萼片が3枚からなる。
花弁は真ん中にあるのを唇弁と言って、3つに裂ける。そして色が他の2枚の花弁(形は倒卵状披針形)=側弁花と違う。
花弁3枚の間に萼片(狭卵形という)があるが、この色が側弁花と同じ色なので、ついつい側弁花5枚あるいは萼片5枚と思ってしまっていた私です。
ジエビネは花の色(側弁、萼片)は褐色で、唇弁が白色または桃色



キエビネは花も唇弁も黄色い


タカネエビネ(ジエビネ・キエビネの交雑種) 

花が薄茶色で唇弁が黄色(これもタカネエビネか?)
花が黄色で唇弁が白
花が白で唇弁が黄色
花も唇弁も茶色
花が緑、唇弁が黄色・・・といろいろありました。
クマガイソウ、花と蕾


ムサシアブミ 葉が大きいこと!

ニオイスミレ とても小さなスミレです。
キンラン
クリンソウ

ジュウニヒトエ
ヒトリシズカ
チゴユリ
ハナイカダ
タツナミソウ
キランソウ
カキドオシ
(持統天皇 山部赤人)
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コメント
冒頭に歌のことを書いていただき嬉しく
存じます。
そういう見方もあるのですね。
面白いです。
リンクしている大五さんもエビネをアップ
しておられました。シーズンですものね。
海老根は文字通り根が海老みたいでしたね。
長く栽培していましたが、結局枯れました。
黄色は特に弱かったです。
エビネ以外の花はあまりよく分かりません。
実物は見ていないですので・・・
タツナミソウとジュウニヒトエ以外は・・・
投稿: matsubara | 2016年4月30日 (土) 15:23
★matsubaraさま ありがとうございます
藤原定家は万葉時代の人の歌も古今和歌集などから選んでいたのですね。私はこれらの歌はみんな万葉集に入っているとばかり思っていました。
お宅のお庭にもエビネを栽培しておられたとは!
このエビネ苑の人に聞いたら、ジエビネよりキエビネの栽培は難しいと言っていました。
ジエビネも普通の人が盗掘して自分の庭に持って行ってもなかなか難しいらしいです。
いろいろな山野草はちょっとした山に見かける花々です。私は12年前は全然知りませんでした。毎年見てやっと名前が出て来るようになりました。
投稿: tona | 2016年4月30日 (土) 16:34
私は山野草を収集してるので、この「えびね苑」に行った事ありますが
未だ足の手術前だったので、山に上る?事も大変でしたので10年位?前かもしれません。
沢山のエビネに興奮した事を覚えてますが、歩くのが辛くて殆ど歩いてないのですが
今年は「えびね苑」に行きたいと思っていたところでした。
tonaさんの写真を見て、尚更言って見たくなりました。
我が家には結構、たくさんのエビネがあるのですが
種類が6種類位あったのですが、tonaさんの記事にで交雑しやすいと・・・
今年は4種類の色になってしまいました。
投稿: ラッシーママ | 2016年4月30日 (土) 21:09
薬師池公園を中心に、さまざまな植物園がありますね。
エビネ園は時期がずれて、まだ観ていません。
こんなに種類があるとは、知りませんでした。
牡丹園、ダリア園は最盛期で素敵でした~
万葉集は覚えるのが苦手ですが、よくご存知ですね。
相当詠み込まれたんですね。
娘が学校の授業参観で、スラスラ暗誦してビックリ仰天でした。
やられたって感じ!
また余談ですが・・・公園の中心に、自由民権の鐘があります。
近くには資料館もあります。
町田は、民権運動が盛んだったようですね。
投稿: だんだん | 2016年4月30日 (土) 23:24
★ラッシーママさま ありがとうございます
えびね苑はアップダウンがありますね。
ここを歩けなかったなんて、本当に大変だったのですね。
ママさんの家にあるような山野草がいっぱいですね。
エビネの種類と構造がさっぱりわからなかったのですが、ここではっきりいたしました。
ただ交雑種の色の種類の多いのには驚きました。
6種類もあったそうで、4種類になったとはえ、よく育てられましたね。とても難しいのだそうすね。
投稿: tona | 2016年5月 1日 (日) 08:50
★だんだんさま ありがとうございます。
だんだんさんはこのエリアはもう既に行っていらっしゃるのですね。
他の市にはこんなにいろいろ集まっているところはないです。
素晴らしい春を体験しました。
次に行った薬師公園にモニュメントは見たのですが、あれ!鐘はどこにあったか?見ておりません。いつもこうのように、わたしは何か抜けているのです。
万葉集は、とても読み込むなんてとんでもありません。教えていただいたことなんです。
4500首も一生の間にはとても味わっている暇がなくなりました。
子供の百人一首をすぐ覚えて大会で取ることができる、その能力は大したものだと思います。大人になると何でもダメですね。
投稿: tona | 2016年5月 1日 (日) 09:01
エビネってこんなに種類があるのですね。
薬師寺公園、随分前に行ったことがあります。
こちら蓮池もあって、夏は綺麗なようですよ。
但し蓮の花は朝開くので
午後にノコノコ行った私は見られなかったのですが。
冒頭の歌は好きな歌ばかりです。
子供の頃は訳も分からず諳んじていましたが
今読むと、感慨がありますね。
投稿: zooey | 2016年5月 3日 (火) 08:42
★zooeyさま ありがとうございます
エビネの基本は少ないですが、交雑種が多くて驚きました。
色が微妙に違うのです。
薬師池公園はもういらしているのですね。
今日アップしようとしていますが、きれいでいいところですね。蓮田がありました。菖蒲と蓮田が園内の両方の端に位置していました。どちらも咲いたらきれいでしょうね。
我が家からは遠かったです。
藤原定家の選んだ基準が素晴らしいのか、百人一首として現在に至るまで盛んに人口に膾炙していますが、万葉歌人が計7人入っていたのは当時は知りませんでした。
まだちゃんと百人一首とれるでしょう。私はもう下の句が出てきません。
投稿: tona | 2016年5月 3日 (火) 09:06
エビネも交雑種が多いのですね。
いろいろな山野草、楽しましていただきした。
キンラン、クリンソウは初めて見ました。
山野草は素朴で味があり、好きでいろいろ栽培しましたが、やはり名前のごとく、
自然の環境、気候の中に生育するもの。栽培の難しさを感じました。
エビネ、クロユリ、他いろいろ緒戦しましたが、人的栽培はそれなりの手間をかけないと
駄目ですね。ちょっとうっかりが駄目にしてしまいました。
いま、生き残ってるのはサギソウだけになりました。これも毎年球根を掘り上げ、植え替えてます。
うっかり忘れても1~2年は何とか芽だけは出ますが花が咲きません。
片手間では駄目と分かりました。欲を出さないで、一つのものに絞ることと悟りました。
でもやっぱりいろいろやってみたい。
投稿: 夢閑人 | 2016年5月 3日 (火) 12:02
★夢閑人さま ありがとうございます。
エビネの交雑種の多さにビックリしました。
微妙に色が違ったり、反対の色が出ていたり面白いです。
こんなにじっくり眺めたことは初めてです。
近所のお寺のエビネも交雑種が1つあることがわかりました。
夢閑人さんは凄いですね。
難しいと言われるエビネや黒百合までいろいろ挑戦されていらっしゃる。
サギソウも難しそうです。
昭和記念公園で見たことがあります。お世話をされている方たち、大変のようでした。
色々やってみたいというその心意気がお元気で長生きの秘訣とみました。
投稿: tona | 2016年5月 3日 (火) 12:23