中東の安泰の王国と国なき民族
遠藤晴男著『オマーン見聞録~知られざる日本との文化交流~』
アフリカのモロッコ、中東のサウジアラビア、オマーン、バーレーン、ヨルダンなどの王国は政情が安定している。
同じ立憲君主国の首長国のカタール、クェート、アラブ首長国連邦などもそうである。
ところが共和国のイラク、シリア、レバノン、アフガニスタン、パキスタンなどは内戦の連続の所も多く悲惨である。
オマーンですが、国土は日本の四分の三。国土の約3%が平野、約15%が山岳部、残り約82%が不毛の砂漠だ。
山岳地帯は海から殆どが1800ⅿもそそり立ち、高いのが標高3760ⅿで北欧のフィヨルドそのもので「アラビアのノルウェー」と呼ばれているそうだ。
人の住む首都マスカット地方は、4~10月まで夏期で、暑い時期は最高気温45度前後、最低気温30度。11月から下がり始め、12月から2月は最高27度、最低14度で日本の秋のような気候が続き、「半分天国、半分地獄」と言われているという。
この国も部族や宗教の争いなど紆余曲折を経て、1940年生まれの現カブース国王が、父王の保守的専制的統治に対してクーデターを起こして国を統治し、あのブータンのように国民が幸せと呼ぶ国にまで発展させたそうだ。
カブース国王が即位した1970年には学校が3校、病院も小さいのが一つ、舗装道路は10㎞のみであったっという。それが今(2007年)には学校が1260校、舗装道路は2万㎞を超え、病院も整備された。GDP(国内総生産)も一人当たり16000ドルに達した。
国王は毎年国内を巡幸される。国民の大歓迎を受けるそうだ。
1967年以来石油が生産され石油依存型経済に転換した。親日国で文化交流、スポーツも盛んということだ。日本庭園も出来ているとか。
他の王国がどのような政治を行っているかを全然知らないけれど、王国は安定しているということ。特に今のオマーンの国王は素晴らしい。もう80歳になられるのかな。結婚されていないので、今後この国はどうなるのかはわからないが。
後日NHKの『海のシルクロード』でオマーンの一部を見る事が出来ました。
福島利之著『クルド人 国なき民族の年代記』
世界唯一の国を持たないクルド人が主に住むのは、トルコ南東部からシリア北部、イラク北部、イラン北西部にまたがる国境が複雑に交わる山岳地帯。「クルディスタンと呼ばれる。広さは52万平方キロでフランス国土に匹敵する。推定人口は3000万人。中東ではアラブ人、トルコ人、ペルシャ人に次ぐ。少数民族ではない。
固有の風習や文化、歴史、独自の言語を持ち、民族とされるだけの要件を十分満たす。
なぜクルド人が国を持てなかったのか?
第1次世界大戦中に西欧列強がオスマン帝国を分割するために引いた国境線による。その国境線は、連合国の英国、フランスにロシアを交えて1916年に秘密裏に結ばれた「サイクス・ピコ協定」を基ににしている。英国とフランスは、イラクやシリア、ヨルダンなどの国を誕生させて支配圏域を決める一方、クルド民族を存在しないとして扱った。国境線は、クルド人の居住地域であるクルディスタンの真ん中を割くように引かれた。
クルド人の存在が無視されたのは、20世紀初頭に「民族」を基本とする国家が続々と誕生した際、「民族自決」の波に乗り遅れたから。その原因はいくつかある。
山岳地帯に、谷ごとに分かれて暮らしてきたクルド人の社会には、近代になっても部族意識が強く残り、「クルド民族」としてのまとまりに欠けていた。
クルド語の標準語を確立できていないことも。
この苦境を脱するため、クルド人の部落や政党は、欧米の大国や隣国の地域大国にすり寄っては裏切られることを繰り返してきた。国際社会に真の友はいない。「山の他に 友はなし」ということわざが残る。
すさまじいイラクの弾圧、トルコとの小競り合いなど今までたくさんのクルド紛争を耳にしてきたけれど、よくわからなかったことがちょっと、最初の部分の解説で呑み込めた1冊だ。
国がない民と言われたユダヤ人はイスラエルを強引に建国したがこれがまた世界の火種になっている。

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コメント
オマーンのことを初めて知りました。
指導者に人を得るかどうかは国民にとって致命的ですね。
投稿: 佐平次 | 2020年10月22日 (木) 08:23
こんにちは
tonaさんのお庭には山野草コーナーがあるのですか。
ホトトギスたちが元気いっぱいですね。
ラストの多肉のお花も綺麗です。何という植物でしょう?
世界を改めて見渡すまでもなく、何にも知らない…という国が
数多あって、オマーンという国もその一つです。
Wikipediaによれば現国王のお祖父様は日本人と結婚したり、
その後も親日国というのに、自分はあまりに何も知らなくて
申し訳ない気持ちです。
おかげさまでいろいろ知ることができました。
カーブース国王は今年1月に亡くなって、従兄弟にあたる人が
新国王になったそうです(Wikipediaによる)。
知らないといえば、クルド民族のこともどういう民族で
なぜ国を持てないのか、近年「クルド民族」という言葉を
聞く機会が多いだけに疑問に思っていましたが、少しわかった
ように思います。でも「サイクス・ピコ協定」という取り決めの
犠牲になったようなもの?と、気の毒になりました。
ユダヤ民族の国が無かった理由やイスラエル建国のいきさつも、
やっぱりほとんど何も知らないでいます。
投稿: ポージィ | 2020年10月22日 (木) 11:07
すみません、訂正です。
6行目 「現国王」は「前国王」の間違いです <(_ _)>
投稿: ポージィ | 2020年10月22日 (木) 11:09
★佐平次さま、おはようござます。
本当にそうですね。
現在、アメリカ、ブラジル、ベラルーシーが話題になって。中国、ロシアも違った意味で話題になります。日本はだんだん不幸な道へと進んでいるような。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2020年10月23日 (金) 08:29
★ポージィさま
おはようございます。
多肉はよその家の塀のところにあったもので、名前を聞くことが出来なかったです。
花があまりにもきれいで外に出ていたのでお断りなしに撮らせていただきました。調べたらエケベリアというのしか見つかりませんでした。
オマーンの国王は無くなられていたのですね。79歳ということですから中東としては長生きされました。今年の1月ですのに全然気が付きませんでした。人民を締め付けていたという面があったということで、本の内容と現実とがまた違っていて、多面的に見る事は1冊の書物では全然読みとることができないことがわかりました。新しい従兄弟にあたる新国王がどのように進めていくか、気になるところです。
全然知らないでいて教えていただき有難うございました。
ヨーロッパ列強は部族で構成されていたアフリカをずたずたにして今日の悲惨なアフリカを生み、そしてクルドでもこんなことをしていたのですね。中南米もスペイン、ポルトガルの征服で現地民族と文明が滅ぼされました。今のEUはそんなかけらも持ち合わせていませんように見えますが。
東トルコに行ったときには紛争が起きていて、近寄らないで急いで通り抜けました。クルド人も見かけました。気の毒な民であります。
移民もしないで日本という国に、まるで胡坐をかいている自分はとても幸せなんだと世界地図を眺めると思います。
投稿: tona | 2020年10月23日 (金) 09:06
オマーン国の存在は40年くらい前から知って
いましたが、気候などはわかりません。
兵庫県出身の女性がオマーン国の王家に嫁いだ
からです。
今はもう次の世代になっていると思いますが。
忘れかけていたことでした。
投稿: matsubara | 2020年10月24日 (土) 08:17
★matsubaraさま
亡くなられた前国王の祖父が日本人と結婚されたのですね。
気候は1年の半分は日本人の私にはとても耐え
られそうにありません。
お隣のイエメンは今、大変な状態ですね。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2020年10月24日 (土) 20:28
tonaさん、こんにちは~♪
ホトトギスが綺麗に咲いていますね。
我が家の近くではあまり見かけませんが、昭和記念公園で
見たホトトギスもとても綺麗でした。
中東の国名だけはだいたいわかるのですが、地図上で示せと
言われれば、半分以上わからないかもしれません。
ヨーロッパでは日本を含めオリエンタルをまだ見下す国がある
そうですので、オマーンが親日国と知り嬉しかったです。
クルド人は世界中から独立を反対されてきたようですね。
「山の他に 友はなし」ということわざが残るそうですが、悲しすぎます。
民族衣装をまとったクルド人が、埼玉県南部の川口市や蕨市に多く集まリ、
公園でお祭りをしている様子をテレビで見たことがあります。
日本人と結婚して日本に永住したい人も多いようです。
私は複雑な心境になりましたが、日本が移民国家になるのも
仕方がないことかもしれませんね。
投稿: hiro | 2020年10月25日 (日) 16:57
★hiroさま
こんばんは♪
今年はホトトギスとミズヒキとキバナコスモスがはびこりました。地面の下には春の野草が埋もれているのですが、負けてしまったか心配です。まあ、今を楽しむことにします。いつ見られなくなるかわからない世であり年齢です。
中東と言えば、トルコしか行ったことがありません。後はドバイとかドーハにトランジットして空港内だけです。しかし今は本当に行かれなくなった中東はイラク侵攻以来興味はあります。アフリカ同様悲惨ですね。
トルコとオマーンが親日国です。ヨーロッパではハンガリー(ドイツも??)でしょうか。
トルコでクルド人を見てから、親日国でありながら大統領がエルドアンに代わってから、ますますひどくなっていくトルコあたりの中東にも心が痛みます。
川口市や蕨市にクルド人が多いのですね。
イラン、イラク、シリア人も多くなってきているとか。移民についてはいろいろな考え方がありますが、今苦悩するヨーロッパを観ていますと、移民の次の世代、その次の世代と変わっていって生活差からテロへと変身していくということが怖いです。日本がそうならないように願いたいですが、所詮全然民族、宗教が違うわけですから難しいことも多そうですね。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2020年10月25日 (日) 21:05
クルド人のことは、中東を舞台にした映画に色々出てきます。
トルコのクルド人虐殺を扱った映画も以前観ました。
彼らが国を持たないそもそもの理由については知らなかったのですが
「サイクス・ピコ協定」という取り決めの犠牲になったとしたら、ひどい話ですね。
結局ヨーロッパ列強の利己主義の犠牲になったということですものね。
投稿: zooey | 2020年11月 1日 (日) 20:58
★zooeyさま
>トルコのクルド人虐殺を扱った映画・・知りませんでした。
アフリカも欧州列強によって線引きされて、ずっとひどいことになっています。
9年前に東トルコに行ったとき国境で小競り合いをしていて避けるように急いだこともありました。勿論クルド人をたくさん見かけました。
国を持たないなんて悲しいですね。戦争も絶えませんし。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2020年11月 2日 (月) 09:47