奥さんが泣いたであろう、あるいは奥さんが狂った作家三人
昨日5年ぶりくらいに吉祥寺に行き、ついでに井の頭公園に寄ったら、案の定散ってしまっていて花筏が緑の藻とからみ合ってきれいでした。
枝垂れ桜が1本だけ華やかに満開となって皆さん、見とれていました。鴨は殆どもういません。

太宰治は文庫本を全部揃えて30代に読んだのですが、凄い内容というのでずっと読めないで来ました二人の作家のを遂に読みました。
内容は文庫本の裏表紙の説明を並べます。
『火宅の人』檀一雄
<一郎は窃盗をやらかす。太郎は全身麻痺で寝たきり、弥太はヨチヨチ歩き、フミ子は鳥の餌を喰ってひよ子のように泣きわめく。サト子は生まれたばかり。妻は主人の放蕩・濫費・狂躁を見かねて家出騒ぎ。よしたとえ、わが身は火宅にあろうとも、人々の賑わいのなか、天然の旅情に従って己をどえらく開放してみたいー。壮絶な逸脱を通して謳い上げる、豪放な魂の記録。
「チチ帰った?「」うん帰ったよ」「もう、ドッコも行かん?「もう、ドッコも行く」「うん、ドッコも行く」女たち、酒。とめどない放浪。崩壊寸前のわが家をよそに、小説家桂一雄のアテドない放埓は、一層激しさを加えた。けれども、次郎の死を迎えて、身辺にわかに寂寞が・・・。二十年を費し、死の床に完成した執念の遺作長編。>
『死の棘』島尾敏雄
<思いやり深かった妻が、夫の(情事)のために突然神経に異常を来した。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻。ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?-ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦との絆は何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。>
太宰は愛人と心中してしまうし、救いようがないが、後世に残る小説を残した押しも押されぬ作家です。
檀一雄はとても稼いだので一頃は4軒も構え、外遊しこんな生活が出来たのですね。でも常に編集者に借金していたような。もうはちゃめちゃな一生。酒と女に溺れっぱなしの人生。
檀ふみはこの私小説を読んでどんな気持ちだったでしょう。それより、奥さんが奥さんであることをやめても、先妻の子1人と自分の産んだ子供4人(1人は脳膜炎により全身麻痺で寝たきりでやがて亡くなる)を生活費だけもらって育てていくのです。凄い女性だ。
島尾敏雄の方は実名で書いた小説で、奥さんが狂って大変な家族模様となる。この奥さんの狂気が驚きだ。後に作家になるのですね。
今ならすぐ離婚でしょう。私もこんな夫だったら耐えられない。
まあ、一番いい気というかどうにも自身を抑えられなかった檀一雄が一番呆れ果てました。人のことながらその異常な浪費に、読む私がお金の心配をしながらという珍しい読書でありました。お金の点では石川啄木も違う意味で節子さんが気の毒だった。
| 固定リンク | 0







コメント
こんにちは。この季節は花筏が楽しめますね。いつか弘前城の花筏を見に行きたいものです。
投稿: 多摩NTの住人 | 2022年4月 9日 (土) 17:11
こんにちは
桜と藻の筏に、こんな色の取り合わせの和菓子がありそうだなーと
思いながら拝見しました。柔らかな色合いで綺麗ですね。
今日もまだ名残りの桜たちが綺麗でした。
太宰治、檀一雄、島尾敏雄、石川啄木。ご家族は皆さん苦労と辛い思いを
されていますね。昔の作家はこんなにとんでもない個性の人が
多かったのでしょうか。それとも今でも??
作家として尊敬できたとしても、一緒に暮らすのは御免被りたいです。
この皆さんの作品は、走れメロスしか読んでいないかもですが(^^;)
投稿: ポージィ | 2022年4月 9日 (土) 17:48
どの作家も好きです。
檀は太宰とつるんで飲み歩いた愉快なエピソードもありますね。
井の頭公園は亡妻と最後に暮らした社宅のすぐ近くです。
毎朝、池の畔で気功をやって帰ると朝ごはんでした。
死後はしばらく近づきたくなかったです。
投稿: 佐平次 | 2022年4月 9日 (土) 18:04
★多摩NTの住人さま
千鳥ヶ淵で花筏を見たことがあります。
弘前城は遠くて、しかも満開の時期の見極めがつかないまま、とうとう行きそびれました。お城の花筏は素晴らしいでしょうね!
行かれたらいいですね。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2022年4月 9日 (土) 20:30
★ポージィさま
こんばんは。
この藻が隣り合わせの花筏、和菓子を連想されたとは!素敵!
我が家の方もまだ半分以上は花が付いている1本があって楽しんできました。
今より昔の作家の方にこんなに途方もない人がいたように思われます。
女性のうめき声が渦巻いていたような時代ですね。
女性を犠牲にして生まれた小説、他人ごとのようにして読める時代です。今はすぐに別れることが出来るのでこんな人の話は聞かないのですが、どこかにそんな作家がおられるでしょうか。
「走れメロス」は良い話でしたね。私も太宰治しか読んでいないです。
>一緒に暮らすのは御免被りたい・・・
まさしくその通りですよね。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2022年4月 9日 (土) 20:46
★佐平次さま
そうそう、太宰と檀は仲良く似た者同士、一緒に遊んでいたそうですね。
それを知って何だか笑ってしまいました。
どんなことを話して遊んでいたのでしょう。
色々なお話から想像しますに、丁度同じ頃私も前進座の隣り合わせに4年、井の頭4丁目に2年半住んでいましたから、早朝散歩をしていましたので、佐平次さんをお見掛けしていたかもしれません。
公園は色々な人を見ていたのですね。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2022年4月 9日 (土) 20:59
桜ももう終わりがけになってきましたね。
「火宅の人」も「死の棘」も若い頃に読みましたが
自分とはまったく別世界の人、特殊な作家の世界の話と思って読んだような気がします。
でも、作家であっても一人の人間であって
妻や子供がいたのですものねえ。
今読んだら違う感慨を持つでしょうか。
投稿: zooey | 2022年4月 9日 (土) 22:06
★zooeyさま
次は八重桜ですね。次々とお花が咲く季節を迎えてあの陰鬱な冬が去ったことを喜ぶ今年です。でも戦争が引っかかりますが。
戦争でコロナも私の中からかなりどこかへ移動してしまいました。
読書家でもあるzooeyさんならもうお若き日に読まれたと思っていました。その通りでしたね。
昔は今ほど純文学の作家は多くなかったでしょうか。
今読みますと特殊が抜けて、太宰ではないですが人間失格の人が作家であったという感じです。なんて失礼なことを言いましたが、女性がまだまだ虐げられていた時代とも感じました。
檀さんは飛んでいる女が良かったのかも。入江杏子とは!
ありがとうございました。
投稿: tona | 2022年4月10日 (日) 08:53
井の頭公園のすてきなさくらを見せていただき
ありがとうございます。
30年前に行ったきりです。
檀一雄のものは読まなくても内容が想像され
奥さんのことと娘さんもいろいろ大変だったと
思いますが、割り切っておられたのでしょうか。
石川啄木も本人も周囲も大変な人生でしたが、
歴史に名前を残して満足だったと思います。
結核で奥さんも家族も全員感染してこれも
悲劇的でした。
太宰治は昔流行のように読みましたね。
青森の実家の邸宅を見たいものですが
まだ行っていません。
投稿: matsubara | 2022年4月10日 (日) 10:57
tonaさん、こんにちは~♪
井の頭公園、懐かしいです。
友人が二人住んでいたことがあり、そのうちの一人は
ご長男に嫁がれたので、まだ公園の近くの家に住んでいます。
夫は子供の頃の遊び場だったようです。
桜の頃も好きですが、新緑の頃が大好きでした。
お庭の花も花盛りで春爛漫ですね。
それにしても25年物のビオラは素晴らしいですね。
太宰治は若い頃、一番好きな作家でした。
初めて読んだのは「皮膚と心」で女心がよくわかる人だと思いました。
馬目男の部分もありましたが好きでした。
『火宅の人』と『死の棘』はまだ読んでいません。
投稿: hiro | 2022年4月10日 (日) 11:15
★matsubaraさま
こちらこそいつもありがとうございます。
30年前はまだ井の頭に居ました。あの頃と変わってないです。ただ池は空堀を2、3回しました。水が少しはきれいになったようです。
檀一雄の奥さんは大した方ですね。ふみさんも明るく立派に成長して女優さんをやられて。一郎さんは奥さんと一緒に料理研究家ですね。
私生活が大変でも名を遺した作家たちは他にもおられますが、この方たち小説にほとんどそのままに反映しているのですから初めて読んで驚きました。
青森旅行で家の前を通りました。大きな家でした。
投稿: tona | 2022年4月10日 (日) 19:28
★hiroさま
こんばんは♪
井の頭公園にはそんなご縁があったのですか。
ご主人様の遊び場だったとは!
私は6年半も住んでいましたので早朝の散歩で鴨を見たり、犬種も殆ど覚えました(今は忘れたのが多いです)。
そうそう、こんな緑とは関係ないですが、ごみ箱にバラバラ死体があって恐怖を覚えたこともありました。
ビオラは最初の色が殆どなくなってしまいました。でも毎年たくさん出てきます。
太宰治の小説は読みやすいですね。その文庫本も全部捨てました。今は図書館で何でも借りられますので、あまり読みそうにないのは断捨離です。
「皮膚と心」はもう内容を忘れています。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2022年4月10日 (日) 19:38
井の頭公園も桜の盛りは過ぎても輝く新緑が目に眩しいですね!この週末も今日も初夏のような陽気でした。一年で一番過ごし易い季節を平和のありがたさを噛みしめながら健康に過ごしていきたいものです!爽やかな空気を吸って春爛漫を楽しんでいきましょう!明日も相当に気温が上がりそうですね~。暑さに体が慣れていないので要注意!
投稿: ローリングウエスト | 2022年4月11日 (月) 21:34
★ローリングウエストさま
井の頭公園、そうなのですね。
桜が終わっても柳などの緑の美しさ、水辺の輝きが意外や素敵だなあと感じました。
やっとあの陰鬱な冬から解放されて、色々な花が散歩で目を楽しませてくれます。
暗いニュースが続いていますが、自分まで心を病ませてはいけないですが春が救ってくれています。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2022年4月12日 (火) 08:27
結婚後11年、井の頭公園に近い三鷹台に住んでいましたので、吉祥寺は週に一回は行きました。
桜の季節の土日は公園から地響きのような人の声が聞こえてきましたから、地元民は避けていました。
tonaさんのように満開の時期を避けると、花筏が見られるのですね。
懐かしい風景をありがとうございました。
太宰治と壇一雄は20代~30代に読みました。
好きな小説家か?と問われれば、今ならいいえと答えられますが、若い当時は有名な芸術作品に触れる事に貪欲でしたね。
特に「火宅の人」は若い私には驚きでしたが、、、
檀ふみさんが出て来た時、爽やかな感じがして、そんな凄まじい家庭のお嬢さんとは思えず、、、
小説家もその生き方が芸術の為のポーズなのかな?と感じましたが果たして?
ですね。
投稿: nao♪ | 2022年4月13日 (水) 15:49
★nao♪さま
こちらこそありがとうございます。
花筏を見るのは池や堀、川しか見られませんものね。
吉祥寺は第3の故郷のような感じで、本当は吉祥寺に住みたかったです。
でも貧乏人には縁のない町になりました。
でも公園は懐かしく、その後初詣に20年以上も通っていました。
高齢のためにコロナを境に近所の神社に替えました。
『火宅の人』を今になってまさか読むとは自分でも思っていませんでしたが、まあ読んで良かったです。
本当に檀ふみさんがそのお嬢さんとはとても思えませんね。
芸術のためのポーズ・・・nao♪さん、上手いことをおっしゃいます。
投稿: tona | 2022年4月13日 (水) 16:21