『凍』『天路の旅』『檀』
今年は蝉があまり鳴きません。聞いたのは3回だけ。鶯はもう鳴かなくなりました。涼しいところに行ったのでしょうか。
ウグイスの合間にカッコウが毎年2日くらい来て鳴いています。真夏の小鳥は雀さんだけです。
ノンフィクションの大家・沢木耕太郎氏が聞き書きして上梓された3冊。うまいなあ、と心打たれるものがありました。
『凍』は最高のクライマーと名高い山野井泰史と妻のやはりその道で知られた妙子。ヒマラヤ難峰・ギャチュンカンを泰史だけが登頂成功したが、5日も遅れて遭難と言われた矢先に無事帰還した話と、その後の病院生活の話しだ。
最高のクライマーを支えていく妙子さんが余り類を見ない女傑なので、いやはや見習いたくても見習えない人物。全編、特に高山病で10日間も飲まず食わずで帰還した彼女の凄さにはただただ驚嘆するしかない。
何しろこの時には以前になくした指の一部に加えて、完全に両手は10本指がなく、足は2本を除いてやはり指がなくなった。それ以前には鼻もこそげてなくなって、おでこから移植したとか。手術の時は旦那は大声上げて泣いて叫んだそうだが、奥さんは殆ど声も上げなかったという。指のない手で、料理、裁縫、畑をこなすのです。その5年後にはグリーンランドのミルネ島にある高さ1,300mの大岩壁のクライミングをしている。その他、至る所に極限の世界がたくさん出てきてよくぞこんなに書かれたと、作者の方も尊敬です。最後がちょっと素敵な構成です。
『天路の旅』は西川一三氏に聞いて氏亡き後に上梓した作品。西川一三氏は既に『秘境西域八年の潜行』 芙蓉書房(上・下・別巻)を書いていて、慕辺未行様よりご紹介いただいて数年前読み、こんな凄い日本人がいたのかと感想を書いたものでした。
『天路の旅』にはその後の日本における生活も書かれていて、最期まで凛として、その生涯を閉じたことがわかります。
『檀』は檀一雄の『火宅の人』と同じ内容で沢木氏が奥さんに聞いて、その内容を奥さんが語っているという面白い形式です。
奥さんの悲惨さは『火宅の人』でも伝わってくるが、私にはまだ檀氏の気持ちが奥さんから見たのと違っていて(当たり前)、両方から読めたのが面白かった。悲惨な内容を面白がっているわけではないのですが。檀ふみさんの明るさはお母さんから受け継がれたのか。
お鷹の道に昨年新しいマンホールが昨年出来ました。武蔵国分寺跡、史跡指定100周年記念のマンンホールカードをオタカフェでもらってきました。
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コメント
tonaさんへ
おはようございます。又しても良い本をご紹介頂き、ありがとうございます。沢木耕太郎作品は殆ど読んだことがありませんが、西川一三の帰国後の盛岡暮らしが書かれているとのこと、先ほど早速「天路の旅人」を柏市図書館に予約しました。何と144人待ち、昨年読んだ「秘境西域八年の潜行」は直ぐに借りられたのですが、沢木耕太郎作品は、人気があるようです。ありがとうございました。
投稿: shikamasonjin | 2023年8月 3日 (木) 10:01
どれも面白そうですね。
だんだん読んでいきましょう。
投稿: 佐平次 | 2023年8月 3日 (木) 10:36
お恥ずかしいことにどれも読んでいません。
それにしましたも慕辺未行さんの紹介の
本まで記憶され、読まれたとは素晴らしい
です。
私は完璧に忘れています。
私も30年前武蔵国分寺跡を訪ねましたので、
懐かしいです。
スペアミントは毎年生えてきます。
投稿: matsubara | 2023年8月 3日 (木) 11:10
こんにちは。久し振りに檀ふみさんの名前を見ました。彼女は私よりひとつ上ですが、一浪して慶應に入学したので同学年になりました。私はW大でしたが私の友人が慶應で彼女と同じクラスになりずいぶん自慢されました。
投稿: 多摩NTの住人 | 2023年8月 3日 (木) 18:17
★ shikamasonjinさま
こんばんは。
今日は今帰ってきました。
144人待ちとは!私もかつて200人以上待ったことがあって、買わないで待ちました。
「秘境西域八年の潜行」と内容が同じで、三分の一くらいになっています。
きっと読まれるとそのまま思い出されるでしょう。
『深夜特急』は読みましたが、他にたくさん書かれているのでまたいつか読めるといいのですが。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2023年8月 3日 (木) 21:38
★佐平次さま
人好き好きですが、山や旅行好きで偏っております。
もう後少ししか時間がないのでえりすぐって読みたいのですが、なかなかうまくいきません。
しかも好きな本でなければ。それも読んでみないとわかりません。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2023年8月 3日 (木) 21:45
tonaさん、今私の手元に沢木耕太郎の「天路の旅人」の本があります。
コミニティーハウスの図書室で予約していたこの本、昨日順番が来て借りてきました。
「凍」に比べると、思っていた以上に分厚くて、2週間以内に読めるか気になっていましたが頑張ります。
以前tonaさんが「凍」の読後の感想を書かれていた時「私の本棚にあり読みました」というコメントを入れた覚えがありますが・・・
断捨離中なので、最近はできるだけ図書室利用をモットーにしています。
沢木耕太郎は「深夜特急」以来好きな作家となりました。
一昨日の突然の「ゲリラ雷雨」で、その夜は久しぶりにエアコンなしで眠れましたが、すぐに又猛暑の夏に戻りましたね。
我が家周辺は雷の音は激しかったのですが、雨量はさほどでもなく、庭や畑の水不足は続いていますよ。
投稿: nao♪ | 2023年8月 3日 (木) 21:49
★matsubaraさま
ヒマラヤに行かれていた慕辺未行さんが感動されたご様子で、読みましたら凄い日本人がおられたので驚きました。川口慧海も凄かったのですが。
武蔵国分寺跡もすっかり整備され指定を受けてから101年も経ちました。いろいろな国分寺跡に行きましたが、武蔵は大きい方だそうです。
スペアミントはいつも葉を触らせていただいて、香りを楽しんでいます。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2023年8月 3日 (木) 21:52
★多摩NTの住人さま
こんばんは。
檀ふみさんのことを自慢されていらっしゃる多摩NTの住人さまのお顔が目に浮かぶようです。御友人もよっぽど嬉しかったのでしょうね。W大からじゃとても手が届かなかった
!
阿川佐和子との凸凹コンビでも有名ですが、ふみさんが大きいのは、お母さんが大きな人だったのですね。という事を知りました。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2023年8月 3日 (木) 22:07
★nao♪さま
『天路の旅人』の順番が回ってきたのですか。ラッキーですね。
2週間あれば大丈夫、読めますよ。
『凍』は断捨離の中で捨てなかった本です。
その情熱が凄くて、どうしてどんな困難にもめげずに持てるのか、私にはないではないかと落ち込む本ではあります。
行動するのの出発が遅くて、その情熱を達成しなうちに登れない年齢になってしまってしょぼんです。nao♪さんはあと5年は大丈夫だからいいですね。頑張ってね。
わが家の方も全然降りません。東京砂漠です。草木が随分枯れます。朝晩の水やりが必要ですね。
さあ、読書頑張って。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2023年8月 3日 (木) 22:19
澤木耕太郎は、若い頃「深夜特急」を全巻読み、好きな作家です。
『凍』も気になっていましたが、指を全部失くすシーンなど残酷そうで…
大丈夫でしたか?
『天路の旅』も気になって、話題になった頃すぐに図書館にリクエストしましたが
300人以上待ちでした。
気長に待ちます~
投稿: zooey | 2023年8月 4日 (金) 10:47
★zooeyさま ありがとうございます。
深夜特急、2回ほど読みました。
私は実際に見るとダメそうですが、書かれているのはなんでもないです。
それは妙子さんの強さがそう思わせるのですね。鼻がこそげてなくなっても、本人は人前でも平気みたいです。かといって人前にしゃしゃり出る人ではないのですよ。
お読みになれば人柄がとてもよくわかります。逆立ちしても真似られません。
『天路の旅』が300人待ちですって。忘れたころに読めますね。半年以上かしら。
投稿: tona | 2023年8月 4日 (金) 16:45
「天路の旅」は少し前新聞の書評でみてすごい人がいたものだと感心しました。
図書館での予約が144人、300人待ちと聞いてその人気ぶりがうかがえますね。
私はもう少し落ち着いてからにしましょう。(;^_^A
「凍」の妙子さんの指を無くし、鼻がこそげても動じない女傑ぶりにはただただ驚きです。
こんな強い女性の何十分の一、否何百分の一でもの強さがあったらなと思いますが
それでも彼女の豪胆ぶりには及ばないでしょうね。
投稿: ビオラ | 2023年8月 5日 (土) 17:31
こんばんは(^o^)/!
いやはや・・・拝見して私自身ちょっと”こっばずかしく(小恥ずかしく)”なりました (^_^;;アセッ!まさか、ずいぶん前に書いたブログを思い出して下さるとは?!
西川一美氏については私のブログで2013年10月20日(http://dsching.cocolog-nifty.com/bohemien/2013/10/post-6cce.html)
、27日(http://dsching.cocolog-nifty.com/bohemien/2013/10/post-fd63.html)、11月3日(http://dsching.cocolog-nifty.com/bohemien/2013/11/post-4462.html)に紹介しています。いずれも30数年前に放送された”新世界紀行”という番組をもとに書いたものです。
沢木耕太郎氏の『深夜特急』は全巻読みましたし、TVでも単発でドラマ化されてそれも見ました。その沢木耕太郎氏が西川一美氏のことを書いていたとは知りませんでした。近年すっかり活字離れしている私ですが、ご紹介のこの『天路の旅』はぜひ読んでみたくなりました。
投稿: 慕辺未行 | 2023年8月 6日 (日) 00:11
★ビオラさま
山でもう危ないのではないかという時も妙子さんは動じないそうです。
女子でも世界的クライマーであった妙子さんは表に決して出ないから有名でないらしい。でも語学も事務能力も優れ、何時もそちらを担当している。スポンサーをつけないから、筋金入りの節約家でその生活ぶりが凄いです。
私、百分の一にもなれません。
ビオラさんも相当強いとお見受けします。
しかしどうしてあんな極限の世界に挑戦しようと思うのか、考えてもその心がわからないほどなのです。
最近死の端を覗くようになったのですがね。それだから急いでやらなくては思うこともありますが。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2023年8月 6日 (日) 08:38
★慕辺未行さま
以前の記事がきっかけになって3冊の膨大な内容の本を読み、驚きでした。
以前の記事も出していただきありがとうございました。
「新世界紀行」という番組があったのですね。
3冊の実に大河小説のような長さですが、沢木氏のは三分の一になっています。
世の中にはこんなに頑健な体と心の持ち主がいるものでしょうか。とても信じられなかったですが、再び西川氏に本の中で接してその思いを強くしました。
ありがとうございました。
投稿: tona | 2023年8月 6日 (日) 08:57