奥田秀朗著『罪の轍』
ネタバレかもです。
昭和39年(1964)にあった東京オリンピック前年の男児誘拐事件の犯罪捜査小説。
いまから思えば、この年、テレビや電話がどこの家にもないという貧しさだったか。
私的には1964年は大学を卒業し、就職し、お見合いをして翌1月に結婚したということがあって実によく覚えている年だったのですが。
確かに結婚した時は電話がなかった。テレビもなかった。
とそれはともかくとして、携帯がない時代の捜査は実に不便でまどろっこしい。犯人逮捕も、加えるに今の防犯カメラもない時代に捜査は歩く人道作戦で、警察官らは事件が起こると殆ど家にも帰れない。妻もその頃はちゃんと理解して結婚しているんですね。
今でも年何回も聞く、親もしくは義父に寄る幼い子の虐待、時には死に至らしめるその野蛮ともいえる行為は絶えません。
自分がされたからするという循環が多いと聞きます。
この小説に出てくる犯人の一人として追われる青年も義父の思わぬ行為によって頭に異常を来し、特殊学級に入る。実母も鬼親である。馬鹿と思われ、その障害があとで警察官の前などで現れ、色々な警察官によって解明されて行くのであるが。
2016年頃に書き始められたのであるが、設定がもう50年以上も前のことで医学的見地から見ても面白いし、自分がはっきりと覚えている時代で親近感が湧いた。
読み終わって直ぐビデオに入れた映画『あなたを抱きしめる日まで』は鬼親どころか、成り行きで実に悲しい母親役を、ジュディ・デンチが見事に演じていた。子供を探して何千里、そこには二重にも三重にも意外な事実が判明、涙をそそる。
親の都合で色々な親子関係があるものである。可哀想に子供が犠牲になる。
「ご自由にお持ちください」と書いてあったバケツの中から2枝ばかり戴いて来た梅。部屋がいい香りに包まれました。もう一つの部屋にはまだロウバイが、夕方から香ってきます。日が燦燦と部屋を暖めてくれ贅沢な事よと、また能登の人々に思いを馳せます。今日からボランティアの方々が入った地域があって、頭が下がります。
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