« 退院 | トップページ | 根深誠著『求道の越境者・河口慧海』 »

2024年6月11日 (火)

『なぜヒトだけが老いるのか』小林武彦著

少し暑くなってまいりました。いつも梅雨のこの季節、まだ今年は1週間後かの見当もつきません。
こんな梅雨の季節に私は生を受け83歳になりました。
いつも娘からもらうお誕生日祝い、とても気に入っているのですが、今年はちょっとした買い物以外は外に出られない、またここしばらく音楽会(ほとんどサントリーホールでした)から遠ざかり、もう行かなくなるであろう私に私の好きなCDをプレゼントしてくれました。ショパンと小澤征爾のベスト101です。これから何回も聴くでしょう。ありがとうです。
Cd

退院して1週間が経ちました。洗面所までも歩くことができ、特別食だけれども食べることもできよく寝てまあまあ落ち着いているので一安心といったところです。いざとなると主治医や介護士などが駆けつけてくださることになっていてよけいです。慌てふためくのは私だけでしょう。酸素を一日中吸っているのでガスに近づけないように、買い物時は元栓を切って用心します。

夫が初めて言い出したことですが、「こんな状態になって生きている意味がない。もう家から1歩も外にも出られないし。家族の皆にも申し訳ない」と申すのです。
いや、そんなことないよ。折角2つの病院で医療を駆使して、いろいろな人たちに助けられて命を救っていただけたのだから、ありがたく思って命ある限り、テレビ、読書、子供の来訪など楽しみにして最後まで仲良く楽しんで行きましょう・・と励ましたのでした。

 

 

『なぜヒトだけが老いるのか』小林武彦著
鮭が卵を産んでその時に死んでしまう有名な話、何故といつも思っていました。
老後期間があるのはシャチとゴンドウクジラと人間だけなのです。あとの動物は食われてしまうか、最期までピンピンコロリなのだそうです。
いつも理解しないで読みっぱなしの癖がついて、この表題の答えを必死に探しました。
どうやら人間は・・・
社会の中で進化してその集団の維持のため様々な機能を獲得しました。中でもヒトを人たらしめたのは、人と人との共感力であり、さらに他者を思いやる利他的で公共的な精神でした。それらの性質のおかげでヒトが老いることを許され、長い寿命を手に入れることができたのです。
なぜヒトだけが老いるのか。それは死を意識し公共を意識するためです。死は何のためにあるのか。それは進化のためです。進化は何のためにあるのか。それは私たちを含めた地球上の全ての生物の存在理由なのです。・・・

シニアの知識人はどんどん公共のために吐き出すべきでしょう。世の中にこんな面白いことがある、これは将来すごく役に立つなどの有益情報をすべて吐き出して「ゼロ」になれたら素晴らしい。

死があったからこそ生物は進化し、私たちは存在してこられたのですから。可愛い後輩たちのための最後のご奉公と思えば、老いることも死ぬことも、少しは楽に感じられるようになるかもしれません。

 

 

| |

« 退院 | トップページ | 根深誠著『求道の越境者・河口慧海』 »