生まれ変わったら
人生の終盤に近付いて思うこと多多ありですが、自身については失敗の連続であり、楽しかったことよりそれがちらちらと、走馬灯のように流れるのです。そして苦しかったことは若いときは平気で乗り越えたけれども、もう2度と嫌だということが一杯。
それで結論は、よく「今度生まれ変わったら・・・・」ということが言われるけれども、今まで失敗続きの人生で、ずっともう2度と生まれかわって人生を歩みたくないというものです。ただ自分の今の家族だけには恵まれたことを神様に感謝、そのうちに夫と子供との別れがこの上ない辛いものとなりましょう。
ところがコロナ禍の1年を過ごして、もし生まれ変わったら、頭も良く生まれ、心身ともに強さに恵まれて(願望)、医者になって人の役に立ちたい(願望)と思うようになりました。夢の話です。
昨年は読む機会も増え、昨年新年早々に夏目漱石記念館を訪れたのを機に、漱石全集全10巻を全部読み終えたことで、博覧強記ともいえる明治の文豪の顔を改めて知ることが出来ました。それにしても医学も薬学も今より発達していなかった時代の漱石の胃病が気の毒でならなかったです。
『無菌病棟より愛をこめて』加納朋子著
著者の初期の頃の作品が、「日常の謎」を解くストーリーが特徴と言われる北村薫に似ているということで両者あわせもって読んでいたのは昔。
小説と思って読み始めたら、なんと著者は急性白血病に罹って弟から骨髄移植を受けていた闘病記であった。
池江璃花子の闘病生活が酷いものであったという話と同じく、白血病もなかなかに大変なガンであることを知る。ただもう10年経過してまだお元気で活躍されておられるようで、治る病気でもあるのだ。池江さんもオリンピックに向かって頑張っているし、渡辺謙も1889年に罹り、再発し5年後に治癒している。
小説から想像していたほんわかした方と思いきや、闘病中も辛い中にも姉御肌風の実に威勢の良い方で、温かい家族、親・姉弟妹の恵まれた方であった。さすが小説家で具合が悪くても殆ど記録していたのである。酷い闘病生活ではあるが、明るく見えてしまう著者の人柄がなかなか好感度大の1冊。
『空白を満たしなさい』平野啓一郎
オカルトっぽい、SF的な部分があるのに一気読みした不思議な1冊。SFは映画は面白いけれど、本は苦手で殆どダメです。
妹さんの井上ユリさん(井上ひさしの後妻)が書かれていますが、万里さんは小さい頃から発明好きだったそうな。ものすごい集中力と思考力と馬鹿力があって、することがことごとく面白かったそうです。
で、この本には119の発明が書いてあるわけですが、笑ってしまったというか、実現したらいいのにと思ったのもたくさんありました。
・温暖化で上昇した海水を淡水化して、砂漠に巨大な穴をあけて作った人造湖に流入するとか、
・だんだん暑くなっていく地球で、1年中快適に過ごすには夏は南極の冷たい空気を北半球に、冬は北極の空気を南半球にパイプを通して送り込むと言った趣旨の稀有壮大な発明なのです。
56歳で亡くなる直前の2006年5月まで書き続けています。さし絵も全部ご自分で。119のうちの一つでも実現してほしかったなあ。
今もご存命だったら、まだまだたくさんの本を上梓して楽しませていただけたのに、向田邦子さん同様に惜しまれてならないです。
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