2025年1月18日 (土)

小田宅子

俳優・高倉健・本名は小田 剛一(おだ たけいち)の5代前の直系の、歌人・小田宅子(いえこ)は『東路日記』を著した。
九州中間市に居を構えた裕福な商人の出である。養子を取り、のちにに弟が生まれたので家督を譲り、醬油屋に職を変えているが。
その先祖の一人に北条篤時(金沢文庫の創設者・実時の子)がいるそうだ。
宅子さんは子育てを終えてから和歌を学び、万葉集から源氏、平家物語、本居宣長などまで勉強し古典の教養溢れた女性である。
天保12年(1841)に宅子さんは53歳で他女3人と従者3人で伊勢へと旅立つ。
瀬戸内海は船に乗ったり下りたりで山口や錦帯橋や安芸の宮島など多数見物する。大阪に到着後山越えして奈良の地をあちこち見物し、伊勢へ。その後中山道木曽(九州との貧富の余りの凄さに驚いている)から善光寺へ向かい、そこから日光、江戸で遊び、甲州街道から秋葉街道(今でも大変な峠道のようだ)、三重県、京都で長い事遊び、大阪にも滞在し、瀬戸内海を帰っていく。
5ヶ月3200キロお買い物遊山紀行であった。
以前東北の三井夫人の豪遊の時も触れたような気もして重複して申し訳ないですが、あまり衣服、履物など恵まれてない時代に、その土地その土地で、素晴らしい歌を作っているのでそれを観賞しながらの、我々とは全然味の違うその昔の街道旅を味わえました。
女性でありながら一日に7里半、時には8里つまり30㎞も32kmも歩いてしまうのですからちょっと心も体も出来が違う。私たちは最大28㎞か。
豊かで心と体が丈夫ならこんな大変なことを人間はしてしまうということです。これは田辺聖子著『花ざかり 花の旅笠』で知りました。


昨日17日は阪神大震災から30年でした。あの恐怖をテレビで見て、そのあと、ニューヨークビルの倒壊、そして東日本大震災の大津波や原子力発電所の途方もない事故を見守ってきたわけです。
そんな中我が家では同じ日に結婚60年、すなわちダイヤモンド婚を迎えました。金婚式ではもう無理だと思っていたのですが、お陰様にてここまでずっと喋る相手がいて幸せなことでした。

お若いお隣のご夫婦から心のこもったお花を頂戴して感激で胸がいっぱいになった幸せ者です。半年前にちょっと雑談で喋ってしまったことを覚えていてくださったのです。

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2024年12月 5日 (木)

老いとはどんなか?

ホトトギスはまだ咲き続ける
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マルバルコウソウが3本家に現れた。今日咲き終わりました。
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久坂部羊著『人はどう老いるか』ベストセラーと言うことで読みました。

この作者は医者でもあって、よくもこんなにすらすらと状況を書けるものと感心した作家です。
他の本『人はどう死ぬのか』『人はどう悩むのか』でもみんなこんな調子でわかりやすく、超高齢に向かう人の状態を鮮やかに描き出し、どうししたらよいかを問いける。ただただ頷くのでした。というのもこの順に自分が進んできたからです。
最近、『人生これからが~』とか『~歳からが一番充実して楽しい』という系の本が多く出回っています。それが該当するのは前期高齢者で、後期高齢・それも80歳を過ぎたあたりからは下記のようになって行くのです。
高齢者でない方は全然及びでないし関係ないので読む必要はないかと。

これは最初の方の部分ですが、私も途中まで該当するのが多くて共感し、的確にしかも鋭く並べていますので作者・久坂部羊先生へすみませんが・・丸写しします。

<自然な老化現象>
肉体的及び機能的な劣化が進む
・目が見えにくくなり、耳が遠くなり、物忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きが鈍くなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになる。
・他につまずく、コケる、落とす、引っかける、食べたものをこぼす、むせる、丸呑みする。
オシッコのチョロッともれ、頻尿、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流生尿失禁、混合型尿失禁、大便の失禁も生じます。
・見た目も劣化し、ハゲる、白髪(眉毛、睫毛、鼻毛、腋毛、陰毛も)、シワ、シミ、たるみ、イボ、肝斑、色素沈着、青あざもできやすくなる。
・根気もなくなり、好奇心もなくなり、社会に対する関心もなくまり、好きなこと、おもしろいことへの興味も失せる。

精神面での老化(若い人に嫌われるオンパレード)
・頑固になる、キレやすくなる、辛抱がなくなる、愚痴が増える、小言が増える、心配が増える、不安が増える、疑り深くなる、嫉妬が深くなる、自分を抑えられなくなる、待てなくなる、わがままになる。

更に
関節が痛くなり、あちこち痛くなり、手が震え、脚が震えて歩けなくなり、細かい字も書けなくなり、着替え・入浴・食事・排泄・洗顔・移動が出来なくなり最後は寝たきり。

<様々な病気>が襲いかかる
がん、うつ病、認知症、肺炎、心不全、脳血管障害・・・一般的なもの
パーキンソン病、脊柱管狭窄症、変形性膝関節症、リウマチ、膠原病、肺気腫、肝硬変、狭心症・・・苦しい病気
脊髄小脳変性症やALS(筋萎縮性側索硬化症)・・・難病

最後に
下手に老いて苦しんでいる人、油断している人、浮かれ情報に乗って現実を見ずに明るく気楽で前向きな言葉を信じた人・・
いつまでも元気にこだわるといずれ敗北の憂き目を見る。
老いれば機能が劣化する分、あくせくすることが減る。あくせくしても仕方ないし、それで得られることも大したものでないとわかる。そういう知恵が達観に通じる。


新聞川柳に載っていた。最近訃報をはがきなどで友人が二人逝ったのを知りました。それでこの句がしみじみとながら飛び込んできました。
「ああ死んで
いくんだなあと
分かる年」

 

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2024年9月25日 (水)

隙間時間に読書できる幸せ

とうとう古くてぐずぐずと読み渋っていた本2冊、
岡倉天心著『茶の本』
河上肇著『貧乏物語』が読めました。
前書は天心は英語で書いたそうで欧米で出版されたとか。利休はともかく、躙り口とか茶に関する専門用語をローマ字?で表したのかいろいろ疑問がありましたが、それほどまでに英語にあの時代に傑出していたことに驚きました。これを日本語訳にした本だったのです。

『貧乏物語』は予想と違って特にロンドンの様子やマルクス理論などが出てきて、それでもよく読めば少しはわかると言うものでした。

草生亜紀子著『逃げても逃げてもシェクスピア』~翻訳家・松岡和子の仕事~
2021年に37本のシェクスピアの戯曲を完訳した。79歳で。
完訳は坪内逍遥、小田島雄志に続いて3人目である。
ご両親がすごい人たちだ。読んだら今の自分が軟弱だと痛感する。
松岡さん自身も東京医科歯科大の教授でありながら、夫は単身赴任、二人の子育て、やがて認知症になった姑の世話、夜は観劇に出かけ帰宅して劇評を書き、翻訳など一人何役もこなす。
今もまだ気になる箇所は翻訳のし直しで手を加えると言う、常にシェクスピアとともにあり、表題名も頷ける。
体を鍛えるために乗馬やテニスをしていると言う。
私とほぼ同年齢で(1歳下)、何かに熱中し、そのための苦労をいとわない人は殆ど元気です。


秋咲きの擬宝珠、暑かったけれども今年も無事咲きました。
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9月20日に公園でもう枯れかかっていた彼岸花。ここ1か所しかありません。
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2024年9月14日 (土)

稲垣えみ子著『家事か地獄か』

2011年3月11日の東日本大震災の時、当時朝日新聞社の記者だった著者は、福島の事故が起きて停電になった時、家電製品を一切やめ、普段の生活を一変させまるで江戸時代のような生活に変えた。
その事は以前他の本数冊で読んだのですが、その部分の総括のようなこの本、面白かったです。もちろん我々普通の生活をしている人には不可能ですが。
さすが元記者で文章はうまく、よくまとめ上げているのです。

今回は家事は天国なわけです。殆どないのですから
要するにこれは一人でしかも元気でないと出来ないのですが、
まず家電が全然ないのです。おまけにガスはカセット。風呂は銭湯(ガス代よりこの方が高いと思われるけど、水がいらない)
家電がないと言う事は電子レンジもトースターも炊飯器もなく、掃除機なし、洗濯機がないから手洗い、。冷蔵庫がないので日持ちしないものはなく、ほとんどベランダで干した野菜や買ってきた豆腐などで作った食事だそうで。これだけで栄養がとれるの?体は大丈夫なの?という疑問が出てくるが、著者はいたって健康で、ご飯もいつも同じでもとても美味しいのだそうだ。
ベッドと箪笥と本棚風雑物入れとちゃぶ台だけなので掃除数分、洗濯(シーツはどうしているか疑問あり)も10分、ご飯も10分で出来上がってしまうのだそうだ。
昼ごはんも夕ご飯もこんな時間でできてしまうそう。
午前と午後数時間はカフェで著作、たくさんの一日の残りは時間が出来たので、うれしくて、ピアノ(これも本を出していたけど有名な先生についてもうリストまで弾ける)、書道、絵、編み物その他いくつかやりたかったことをやる時間が出来たことが、仕事をやめて主収入は無くなったけど、インフラの欠けたワンルームでの愉快な生活が実現できたそうな。

最近は断捨離とか年金〇万円生活の本が流行っているけど稲垣さんは究極の物持ちなしの人と思われる。
驚いちゃったので、全然真似するわけではなく思わずノートしてしまいました。

フェイスタオル1本、化粧品なし、シャンプー、ヘアケアなし。
住まいと衣類の洗剤、石鹸、重曹、クエン酸。
掃除用具は雑巾1枚。
これがびっくり!!トイレブラシなし。小さな布で排水溝の奥まで手を突っ込んで拭く。(これ私には絶対にできない)

衣類編、フランス人と同じく全部で10着をめざす。羽織るものも吊るすところがないからタンスにたたむ。

台所編、小鍋と小フライパン、しゃもじ1つ。
    カトラリー・・箸2膳、スプーン1、フォーク1。
    調味料・・塩、味噌、醤油。
    香辛料・・胡椒、唐辛子、カレー粉。

電気代 200円プラスα、ガス(カセット+銭湯)、水道月1㎥、ごみ出し2か月に一度。

稲垣さん、家事を簡単に楽しくやって、趣味をいっぱいやって万歳人生。

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2024年8月26日 (月)

『世界の国旗図鑑』刈安望著

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各国の国旗で世界一周してきました。オリンピックメダル授与式で後ろに掲げられた国旗がG7など数か国の他どこの国か紹介されるまで殆どわからなかった。
国旗もきれいなものです。日本みたいな世界でもっとも単純なものから複雑な紋章がいくつも重なって描かれたものまでいろいろで、ただただ素晴らしい国旗と感激です。
縦横比は2:3が最も多く、1:2や3:5なども多い。どこか凄い横長の国もあったが、オリンピックでは2:3に統一しているとか。
汎アフリカ色は緑・黄色・赤
汎アラブ色は緑・白・赤・黒
汎スラブ色は白・青・赤

縦横2分割、3分割、対角分割、T字、V字、山型、十字などいろいろあって面白い。
ユーラシア大陸、南北アメリカ、アフリカはわかりやすく行ったりして知っている国は多いが、さっぱりわからないのが、カリブ海の島国と、南太平洋(ミクロネシア、ポリネシア、メラネシア)です。ハワイしか行ったことがないですし。
国旗も国によっては次々意匠を変えていったのも多く、色にそれぞれ意味があることも知った。

日本は北朝鮮を承認していないが、合わせると独立国は世界で197か国、国連加盟国は193か国。
実質独立国の他、自治領、海外県、海外領土を含めると249か国だそうだ。それだけの旗を凡そこの本で見ることが出来る。

医者の帰りに見た国分寺の今は柳とサルスベリのコラボがなかなかに美しい。
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お寺の中にヒオウギが咲いていた。
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2024年6月30日 (日)

『マザー・テレサ語る』ルシンダ・ヴァーディ編

『マザー・テレサ語る』ルシンダ・ヴァーディ編

マザー・テレサについては以前にも本を読んだことがあって、凄い人だなあとごく普通の感想をもっただけであった。
しかし、その行動の原点は一体信仰だけなのであろうか?そうしたらその信仰こそはこの世で一番凄いのではないだろうか?

そうなのでした。テレサにとってイエスは「私の神」「私の伴侶」「私の命」「私の唯一の愛」「私の抱くすべて」「私のあらゆるもののすべて」
それでイエスとともにイエスのためにイエスに対してしているのです。
テレサの神への、イエスへの信仰は凄まじいものであることを知ることになります。祈ることに始まり、深く信仰し、あらゆる人へ愛を与え、この世のどん底の人々を救って安らぎへと導き奉仕の日々が亡くなる日まで続くのです。
元々、シスターたちの神への愛はアフリカの未開の奥地から南アメリカのジャングルの中、そして世界でも最も貧しい人々のいる例えば
テレサが築いたインド・カルカッタ(コルカタ)の「死を待つ人の家」やその他、ハンセン病、エイズ患者の家など、普通の人が目を背けるような不便な大変な気候の地へ、大変混沌とした不潔な悪臭を放った、病原菌で溢れた地へ赴かせるのに驚いていただけです。
しかしマザー・テレサのもとから巣立った人は、どんなに貧しかったり汚れていたり、臭かったり、気持ちがすさんだ人に会っても驚かなくなるといいます。
神の力の偉大さを知る瞬間です。

しかし私は無神論者で、仏教もキリスト教も信じていません。神さえも。しかしながら困った時の神頼みをするから浅はかな人間です。
自分のことで精いっぱいでいかに現状の体調を維持していくかにかかりっきりと言っても過言ではありません。
いくつになっても悟ることができないのが情けないというか、人さまへのお邪魔虫というか、極端な意志薄弱というか。

時々こんな偉い人がいるんだということを思い出したいです。

 

10日前に我が家のヒマワリが咲きました。第1号。昨年お隣からいただいた種子10個のうち発芽したのは3つでした。
高さは今2m35㎝です。

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2024年6月22日 (土)

根深誠著『求道の越境者・河口慧海』

根深誠著『求道の越境者・河口慧海』

行けなかったチベットへ、昔潜入した10人の日本人は有名でその中でも仏教者が多い。
中でも一番有名な河口慧海の旅行記は多くの日本人に衝撃を与えた。
その河口慧海がネパールからチベットへどの峠から入ったかははっきりしていなかったらしく、著者はネパールのトルボ地方にあしかけ49年間かけて9回出かけて、75歳の時か、2022年に遂にそのルートを突き止めた、蛇足が多いがその記録である。
帰ってからや途中で、ある時は風や下痢に始まり、肝炎にかかり、デボラ出血熱になったり、出かけるたびにその他重病を何度も繰り返しながら行くその執念に男のロマン達成を感じた。今は最初のころと違って、チベットは中国のチベット自治区となり、中国共産党により国境線は警備が厳しく、多くのお金を請求しながら見せてくれないなどいろなところで行われているようであり、嫌な気持ちにさせられる。

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西川一三氏とも交流があり、本の中の一文を添えたりしている。
椎名誠の奥さんの渡辺一枝さんはチベット好きが高じて一人で何度も旅行し数冊のチベット本を上梓してるから、有言実行の女性である。

そろそろチベットも卒業しよう。



もう1週間経ってしまい、しかも1つを食べてしまって撮影の父の日の子供からのプレゼント。病人に食べやすいプリンとゼリーが重なってそれぞれ違う高野の果物が入っていて微妙にマッチしているそうだ。
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2024年6月11日 (火)

『なぜヒトだけが老いるのか』小林武彦著

少し暑くなってまいりました。いつも梅雨のこの季節、まだ今年は1週間後かの見当もつきません。
こんな梅雨の季節に私は生を受け83歳になりました。
いつも娘からもらうお誕生日祝い、とても気に入っているのですが、今年はちょっとした買い物以外は外に出られない、またここしばらく音楽会(ほとんどサントリーホールでした)から遠ざかり、もう行かなくなるであろう私に私の好きなCDをプレゼントしてくれました。ショパンと小澤征爾のベスト101です。これから何回も聴くでしょう。ありがとうです。
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退院して1週間が経ちました。洗面所までも歩くことができ、特別食だけれども食べることもできよく寝てまあまあ落ち着いているので一安心といったところです。いざとなると主治医や介護士などが駆けつけてくださることになっていてよけいです。慌てふためくのは私だけでしょう。酸素を一日中吸っているのでガスに近づけないように、買い物時は元栓を切って用心します。

夫が初めて言い出したことですが、「こんな状態になって生きている意味がない。もう家から1歩も外にも出られないし。家族の皆にも申し訳ない」と申すのです。
いや、そんなことないよ。折角2つの病院で医療を駆使して、いろいろな人たちに助けられて命を救っていただけたのだから、ありがたく思って命ある限り、テレビ、読書、子供の来訪など楽しみにして最後まで仲良く楽しんで行きましょう・・と励ましたのでした。

 

 

『なぜヒトだけが老いるのか』小林武彦著
鮭が卵を産んでその時に死んでしまう有名な話、何故といつも思っていました。
老後期間があるのはシャチとゴンドウクジラと人間だけなのです。あとの動物は食われてしまうか、最期までピンピンコロリなのだそうです。
いつも理解しないで読みっぱなしの癖がついて、この表題の答えを必死に探しました。
どうやら人間は・・・
社会の中で進化してその集団の維持のため様々な機能を獲得しました。中でもヒトを人たらしめたのは、人と人との共感力であり、さらに他者を思いやる利他的で公共的な精神でした。それらの性質のおかげでヒトが老いることを許され、長い寿命を手に入れることができたのです。
なぜヒトだけが老いるのか。それは死を意識し公共を意識するためです。死は何のためにあるのか。それは進化のためです。進化は何のためにあるのか。それは私たちを含めた地球上の全ての生物の存在理由なのです。・・・

シニアの知識人はどんどん公共のために吐き出すべきでしょう。世の中にこんな面白いことがある、これは将来すごく役に立つなどの有益情報をすべて吐き出して「ゼロ」になれたら素晴らしい。

死があったからこそ生物は進化し、私たちは存在してこられたのですから。可愛い後輩たちのための最後のご奉公と思えば、老いることも死ぬことも、少しは楽に感じられるようになるかもしれません。

 

 

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2024年5月 9日 (木)

最近の読書

癌でベッドに伏して亡くなっていった家族や親戚、登山や会食をともにしたこともあって亡くなった方もここ数人いて、その時のつらい気持ちをちゃんと汲み取っていなかった。本で読んだりしても自分自身のことでないので、これはほかの病気でもいえることでしょう。

山本文緒『無人島のふたり』120日以上生きなくちゃ日記
坂本龍一『ぼくはあと何回満月を見るだろう』

文面の奥に隠れているその心情を汲み取れないけれども私なりに推測して、なんて切なく悲しいことだろうという感想のみでした。しかし仕事のある人はまた違った面があるのは事実です。

そこで思い出したのが、大学も同じで、かつての同僚が70の半ばにして癌で亡くなりました。後で冊子で知ったのですがお子さん二人も驚くほどの、母親のあまりに素晴らしい最後の方の所作と言葉、最期だったとのことで、想像ができないのですが、付き合っていたころの彼女からも想像もできませんでした。

与那原恵著『赤星鉄馬 消えた富豪』
武器商人の父の遺産で日本初の学術財団「啓明会」を設立した人。(親戚に有名人が多いが白洲正子がいる)。日本ゴルフの草創期を牽引。芦ノ湖にブラックマスを移入(今困っている)。吉田茂、樺山愛輔、岩崎小弥太と深い親交があった。何も書き残さず、静かに表舞台から消え去った・・・と紹介されている。しかし維新前後から続く薩摩はすごいの一言。

今、小さな段ボール1個分くらいしかないわが蔵書の2度読みをしています。図書館から遠のいて。まだ残しておきたいのだけにしたいと。
それもそろそろ片付いて、週刊朝日百科でいろいろ買っていた中の『世界の歴史』130冊プラス『旅の世界史』10冊を読み始めました。
根気のいる読書ですがまあ頭の体操、勉強になるのですが、一体いつ読み終わるか?
『世界の美術』も140冊でこれはもう好きな画家しか読めないか全く手つかずになるでしょう。
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書店、図書館詣でも時々しなくては。
富岡鉄舟は生きているうちにすべての地域に行き、すべての本を読むべしと精進したという。名前の通り鉄人ですね。

ジャーマンアイリス(そろそろ終わり)と月見草(昨晩は6つ咲いた)。
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近くにオオデマリとコデマリがそろって咲いていた。
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アヤメの咲いている家は珍しい。
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2024年2月10日 (土)

奥田秀朗著『罪の轍』

ネタバレかもです。
昭和39年(1964)にあった東京オリンピック前年の男児誘拐事件の犯罪捜査小説。
いまから思えば、この年、テレビや電話がどこの家にもないという貧しさだったか。
私的には1964年は大学を卒業し、就職し、お見合いをして翌1月に結婚したということがあって実によく覚えている年だったのですが。
確かに結婚した時は電話がなかった。テレビもなかった。

とそれはともかくとして、携帯がない時代の捜査は実に不便でまどろっこしい。犯人逮捕も、加えるに今の防犯カメラもない時代に捜査は歩く人道作戦で、警察官らは事件が起こると殆ど家にも帰れない。妻もその頃はちゃんと理解して結婚しているんですね。

今でも年何回も聞く、親もしくは義父に寄る幼い子の虐待、時には死に至らしめるその野蛮ともいえる行為は絶えません。
自分がされたからするという循環が多いと聞きます。
この小説に出てくる犯人の一人として追われる青年も義父の思わぬ行為によって頭に異常を来し、特殊学級に入る。実母も鬼親である。馬鹿と思われ、その障害があとで警察官の前などで現れ、色々な警察官によって解明されて行くのであるが。

2016年頃に書き始められたのであるが、設定がもう50年以上も前のことで医学的見地から見ても面白いし、自分がはっきりと覚えている時代で親近感が湧いた。

読み終わって直ぐビデオに入れた映画『あなたを抱きしめる日まで』は鬼親どころか、成り行きで実に悲しい母親役を、ジュディ・デンチが見事に演じていた。子供を探して何千里、そこには二重にも三重にも意外な事実が判明、涙をそそる。
親の都合で色々な親子関係があるものである。可哀想に子供が犠牲になる。

 


「ご自由にお持ちください」と書いてあったバケツの中から2枝ばかり戴いて来た梅。部屋がいい香りに包まれました。もう一つの部屋にはまだロウバイが、夕方から香ってきます。日が燦燦と部屋を暖めてくれ贅沢な事よと、また能登の人々に思いを馳せます。今日からボランティアの方々が入った地域があって、頭が下がります。
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昨年の種子から今月初めにたった一輪のみ咲いたビオラ。その後まだ咲きません。
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